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  O plus E 2020年Webページ専用記事#6  
 
  私の選んだ2020年度ベスト5&10  
 
 何しろ映画業界にとって激動の1年だった。まだそれは終わっていなくて,2021年の前半も続くことだろう。当映画評欄もまともに影響を受けたことを,この稿を書くに当たって改めて感じた。大作の殆どが何度も公開延期になったのだから,CG/VFX多用作を紹介するメイン欄のネタにも困った。配給会社や興行界はもっと大変で,本国の方針変更に翻弄されたことだろう。
 本誌掲載6回分とWeb専用記事6回分で,結果的にメイン欄26本,短評欄165本を紹介した。このスタイルになってからは,2018年は「42本+166本」,2019年は「44本+180本」であったから,メイン欄が激減していることが数字の上でも如実に表れている。
 昨年は「総合評価のベスト5は,比較的すんなりと選べた」と書いたのだが,今年は困った。メイン26本の中でも,『アイリッシュマン』と『クロース』は日本でも2019年11月の公開(配信開始)された作品だ。これらを2020年になってから紹介したのは,アカデミー賞のノミネート作だったからに過ぎない。さらに,ネタ切れの苦肉の策で,ネット配信の複数話シリーズ4本(4組というべきか)を取り上げたが,これも例外的な扱いなので,真っ当な候補作は20本しかない。この内,☆☆☆評価を与えたのは4本に過ぎず,ベスト5を挙げようにもそれに満たなかった。その結果,総合ベスト1は『1917 命をかけた伝令』(20年Web専用#1)とした。英国アカデミー賞の作品賞,第77回ゴールデングローブ賞で作品賞(ドラマ部門)と監督賞の受賞作であり,第92回アカデミー賞では10部門にノミネートされ,撮影賞,録音賞,視覚効果賞に輝いた秀作である。例年は,日本公開が年初めであったため,この年間ランキングでも高順位を与えざるを得ない(少し古い)映画の存在を疎ましく思うのだが,今年はこの秀作が残っていたため,お粗末な総合第1位にならず,助かったと言うべき感じだ。賞獲りレースでライバルだった『アイリッシュマン』は「番外」扱いとした。
「SFX/VFX技術」部門は,上記の『1917 命をかけた伝令』を除くメイン作品の中から,過去数年間と同様,「順位なし」で5作品を選んだ。例年に比べるとレベルは低いが,かろうじて5本は確保した感じだ。何とかCG/VFXの多用作と呼んで差し支えない範囲には入っている。
 一方,短評欄の一般作品は対象がどっさりあった。春先から2ヶ月近く,映画館でまともな新作が公開されない時期があったが,夏前から単館系の秀作がどんどん公開され,遅れを取り戻した。インデペンデント系の配給会社としては,観客をかっさらうメジャーの大作がないうちに,公開枠を確保してしまえという思いだったのだろう。洋画はコロナ禍以前に海外公開されて高評価を得ていた作品が大半なので,質的には例年と全く見劣りしない。ただし,紹介した165本の内,公開延期となったままの映画が3本ある。これは今年のランキングの対象外とした。内1本は☆☆☆評価の邦画『燃えよ剣』(20年5・6号,2021年10月公開予定)で,ベスト10に入れたかっただけに残念だ。
 
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  ◆◆ 総合評価 ◆◆  
 
 
  1. 1917 命をかけた伝令
    
  2. ソウルフル・ワールド
    
  3. ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒
    
  4. 透明人間
    
  番外 アイリッシュマン 
    
 
 
◆◆ SFX/VFX技術(順位なし,掲載順)◆◆
 
  ミッドウェイ 
    
  TENET テネット 
    
  ムーラン 
    
  ジングル・ジャングル 〜魔法のクリスマスギフト〜 
    
  ワンダーウーマン 1984 
    
 
◆◆ その他の一般作品◆◆
 
  1. シカゴ7裁判 
    
  2. この世界に残されて  
    
  3. ペイン・アンド・グローリー 
    
  4. ある画家の数奇な運命 
    
  5. ジュディ 虹の彼方に 
    
  6. Mank/マンク 
    
  7. 燃ゆる女の肖像 
    
  8. シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!  
    
  9. 三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 
    
  10. マ・レイニーのブラックボトム 
    
 
[余談]
 親しい愛読者から,「話題の『鬼滅の刃』はどうなんだ?」と問われている。このランキング入れるか云々ではなく,「まだ観ていないのか,評価記事は書かないのか」という意味である。結論を先に言えば,このコロナ禍にわざわざ映画館に足を運ぶ気にはなれず,記事を書くことはないだろう。これは現在の劇場版アニメに関してであって,実写映画化された場合は,きっと観るに違いない。
 元々,筆者が和製セル調アニメを好きでないことは読者なら先刻ご承知の通りである。それでも,大っ嫌いな宮崎アニメは,当欄では取り上げないまでも,DVD等で目を通している。細田守監督作品は肌が合うのか,すっかりファンになり,『バケモノの子』(15)と『未来のミライ』(18年7・8月号)は当欄で紹介している。さほど好きではないが,新海誠作品もヒット作ゆえに『君の名は。』(16)や『天気の子』(20年Web専用#3)は取り上げた。
 それなら,日本映画史上で最高の興行収入額を更新した『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』(20)に触れなくては行けないのだが,どうもそういう気になれない。その最大の理由は,同作が単独作品ではなく,原作コミックの連載途中の一部であり,TVアニメの続編であることだ。紹介する以上,連載の冒頭や前作を学習しておきたいが,その時間的余裕はない。第2に,5歳の孫がすっかりハマっていると聴き,何だそのレベルの作品かと感じてしまう(中高生や大人の観賞にも堪えるそうだが)。そして,筆者が生理的に合わない『週刊少年ジャンプ』の連載コミックが原作であり,登場人物に奇妙な名前をつけたがる作家の作品という,マイナス要因も重なっている。
 という毛嫌い理由を列挙してみたのだが,全くの食わず嫌いは良くないと思い,NetflixでTV版アニメの第1話「残酷」を眺めることにした。約15分間は観たのだが,それ以上続ける気にはならず,挫折した。筆者の視点・嗜好を知る長年の読者なら,それが参考になるだろう。
 
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