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  O plus E VFX映画時評 2023年1月号  
 
  私の選んだ2022年度ベスト5&10  
 
 映画業界の動向を語る前に,ベスト5&10の集計対象の変更を述べておきたい。昨年(2021年度分)は,「2021年1・2月号〜2021年Web専用#6」掲載分が対象であったが,今回は対象作品を「2022年Web専用#1〜2023年1月号(厳密には数作品を除き,筆者が年内に視聴したものまで)」とした。こうしないと,既に観終えているGG賞やアカデミー賞候補作のいくつかが対象外となり,1年後に高い順位でランクインさせても白けてしまうからである。
 昨年,GG賞候補作の特集を2022年1月に掲載するため,前年の21年Web専用#6を2つに分けて,22Webs専用1を設けた(このため2022年末分は,22年Web専用#7になってしまった)。これが例外だったのである。今回は,そのGG賞候補作の特集ページ分も,上記の理由により2022年度の集計対象とした。O plus E誌がかつて月間であった頃は,「2月号(1/25発行)〜翌年1月号(12/25発行)」が対象,隔月刊になってからは,ほぼ同期間の「1・2月号〜Web専用#6」を対象としていたので,ほぼその形に戻した訳である。
 コロナ禍はまだ続いているものの,「With コロナ政策」に転じたため,映画館の営業自粛や大作の公開延期もなくなった。むしろ,コロナ騒動前に輸入してあった作品群や公開延期分が押し寄せ,新作公開のラッシュが続いている。そのため,単館系作品などは公開枠,上映スクリーンの確保も簡単ではなく,公開期間も短くなりがちである。試写案内が沢山届くのは嬉しいことだが,最近はオンライン試写が主流になり,ついつい安易に早めに申し込んでしまうため,それを全部見る時間を確保するのに四苦八苦している。
 映画産業は活気を取り戻したように見えるが,観客数は伸び悩み,もはや以前に戻ることはないとの否定的な見方もされている。有料のネット配信映画の視聴も当たり前になり,それも影響しているのだろう。邦高洋低も定着してしまい,当欄で紹介する洋画のスペクタクル大作や単館系の良作の興行成績が芳しくないのは残念なことだ。ほんの僅かなヒット作に観客が集中する傾向も,複雑な心境である。
 そんな状況下で,今回の対象作品は,メイン欄39本,短評欄229本となった。2019年「44本+180本」,2020年「26本+165本」,2021年「29本+195本」であったから,大幅な作品数増である。今回2023年1月号までを入れなかったとしても,「37本+210本」であるから,やはり紹介作品数はかなり増えている。とりわけ,メイン欄のCG/VFX多用作(即ち,話題を呼ぶブロックバスター映画)がようやくコロナ前の水準に戻ったと言える。
「総合評価のBest5」は,『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』(22年Web専用#7)の記事中でも述べたように,過去2年間の4作品選定から脱出して,フルの5作品を選ぶことができた。メイン欄での☆☆☆評価は「4本→11本」と急回復していたのだが,自分でも少し甘くつけ過ぎたかと感じていたこともあり,自信をもって「Best 5」と呼べるものは少なかった。結果的には『ギレルモ・デル…』が救世主的存在となり,枠一杯を選んだだけでなく,12月公開作品で1,2フィニッシュの形になった。
 この部門で特筆すべきは,メイン欄でなく,短評欄で紹介した『RRR』(22年Web専用#6)をランクインさせたことである。そもそもインド映画の娯楽大作で,作品的にもVFX利用の面でも刮目すべき映画であったのに,代表的なVFXシーンの提供&掲載を配給会社が許可してくれないため,短評欄での紹介を余儀なくされた。筆者としては,せめてこの年間Best 5の選定時で一矢報いたかった次第である。この部門全体としては,定番の「実写+CG」のVFX作品が2本,フルCGアニメ,2Dセル調アニメ,コマ撮りアニメが各1本という珍しい形になった。バラエティに富んでいて,まさに「総合評価のBest 5」の面目躍如である。
「SFX/VFX技術」部門は過去5年間,上記の「総合評価のBest 5」の該当作品を外し,かつ選んだ5本に順位をつけなかった。CG/VFX技術の進歩により,(総合評価での選定作も含めて)大作での利用に大差がなく,甲乙つけ難かった。よって,少しでも枠を広げてランクインする作品数を増やそうとしたのである。今回は,VFX的にも『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(22年Web専用#7)が圧倒的な第1位であることは,誰の目にも明らかだ。これは外せない。このため,2位以下に同ランクで4作品を並べた(まるで,衆議院や参議院の比例代表選挙における各政党の候補者名簿のような順位づけだ)。苦肉の策である。
 短評欄の一般作品は,対象が229本もあり,評価だけで28本もある。ああでもない,こうでもないと悩みながら,かつ楽しみながら,ようやく下記の10作品を選んだ。1位と2位は,昨年のアカデミー賞作品賞候補作品である。これらが今回の対象作品で残っている以上,高順位となるのも当然の成り行きだ。とりわけ,前者の『コーダ あいのうた』(22年1・2月号)は,筆者自身も作品賞を獲らせたい作品のトップに挙げ,実際に作品賞,助演男優賞,脚本賞の3部門でオスカーを得たのだから,約1年後の掲載で多少白けても,1位以外が考えられない作品である。ただし,この映画は本邦で1月21日公開作品で,2021年12月14日に観終えていたのであるから,今年の基準なら前年の「一般作品のBest 10」に入っていたはずの映画だ。一方,『イニシェリン島の精霊』『モリコーネ 映画が恋した音楽家』『アルゼンチン1985 〜歴史を変えた裁判〜』の3本は,今回,対象を2023年1月号掲載分までに含めたため,選ぶことができた映画である。
 邦画からは,『ある男』(22年11・12月号)『この子は邪悪』(22年Web専用#5)の2本がランクインした。昨年は番外扱いも含めての2本であり,今回は純然たるBest 10内に2本であるから,素直に嬉しい。
 
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  ◆◆ 総合評価 ◆◆  
 
 
  1. アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
    
  2. ギレルモ・デル・トロのピノッキオ
    
  3. RRR
    
  4. FLEE フリー
    
  5. 私ときどきレッサーパンダ 
    
 
 
◆◆ SFX/VFX技術(同点2位は掲載順)◆◆
 
  1. アバター:ウェイ・オブ・ウォーター 
    
  2. スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム
    
  2. ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス
    
  2. ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 
    
  2. ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー 
    
 
◆◆ その他の一般作品◆◆
 
  1. コーダ あいのうた 
    
  2. リコリス・ピザ  
    
  3. イニシェリン島の精霊 
    
  4. モリコーネ 映画が恋した音楽家 
    
  5. ブラック・フォン 
    
  6. ある男 
    
  7. アルゼンチン1985 〜歴史を変えた裁判〜 
    
  8. アルピニスト  
    
  9. ライダーズ・オブ・ジャスティス 
    
  10. この子は邪悪 
    
 
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