(2023年2月22日記)

O plus E VFX映画時評 2024年2月号

第96回アカデミー賞の予想(+結果分析)

(注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています)


今年は書く気になれなかったが, 半ば義務感からの予想を

(2024年2月25日記,2月28日,3月6日加筆)

 昨年同様,「第81回ゴールデングローブ賞ノミネート作品」(24年1月号)を書いた時に,この恒例の「アカデミー賞予想」は2月中旬に公表と予告しておきながら,今年も少し遅くなってしまった。1月24日午前中(日本時間)に全部門のノミネート作品の発表があったが,その時点では,半数の試写を観る予定が立たなかった(1本は公開時期未定,4本は国内公開の予定なし)。この予想を初めて14回目になるが,こんなことは初めてであった。半数しか観ていないのでは,とてもまともな予想はできない,と予想記事の準備をする気が失せてしまった。「予告した以上,そうも行かない」と思い直して,本稿を書き始めたが,現時点でまだ4作品が未見である。
 ノミネート数では,最多は『オッペンハイマー』の13部門で,昨年の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(23年3月号)の11ノミネートよりも2件多い。第90回の『シェイプ・オブ・ウォーター』(18年3・4月号)と同数で,『ラ・ラ・ランド』(17年3月号)の13部門,14ノミネート(史上最多タイ)と部門数では同じだ。それに続くのは,『哀れなるものたち』の11部門,『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の10部門,『バービー』の7部門,8ノミネート,『マエストロ:その音楽と愛と』の7部門となっている。数的には,昨年同様,3強対決を思わせるが,報道では話題作『オッペンハイマー』が圧倒的で,過去最高の11部門受賞を超えるかと賑わっていて,完全に1強ムードが漂っている。
 今年の授賞式は3月10日夜(現地時間)に行われる。昨年は『TAR/ター』(23年5月号)と『ウーマン・トーキング 私たちの選択』(23年6月号)の試写を,授賞式前に観られなかった。年々アカデミー賞に関する報道が増え,TVや新聞の記者が多数マスコミ試写にやって来るので,当欄のようなマイナーメディアは試写会の座席割当の優先順位が下がるためだ。今年は『オッペンハイマー』『関心領域』『ホールドオーバーズ(仮題)』がそれに相当する。『アメリカン・フィクション』だけは,2月27日からAmazon Prime Videoで独占配信されることになった。このため,配信開始日に同作を観てから,必要なら本稿を加筆修正することにした。
 監督賞候補が作品賞候補作のサブセットになるのは納得できるが,今年は4つの演技賞や技術賞部門でも,作品賞候補作以外からのノミネートが殆どない。となると,最多ノミネートの『オッペンハイマー』を観ていないのは,予想記事として致命的だ。止むをせず,臨時措置として下記の予想印に,▲(不戦敗)を追加することにした。◎と★が重ならないようにしているのは,昨年までと同様である。

 ◎:世評を考慮した比較的素直な予想での「本命」
 ○:同上の意味での「対抗」となる作品
 ★:好きな映画ではないが,アカデミー会員ならこれを選ぶと想像する変則の「予想」
 ☆:個人的な好みで,これが選ばれれば嬉しいという「願望」
 ▲:不戦敗。世評だと有力だが,試写を観る機会がなかったので判断できずにお手上げ。


部門毎の予想と個人的願望

 ●作品賞部門:最多ノミネート作品が受賞しないという傾向がしばらく続いたが,昨年はジンクスを跳ねのけて『エブエブ』がオスカーを得た。前哨戦や世評からすると『オッペンハイマー』の可能性が高いが,アカデミー会員にはへそ曲がりが多いのと,作品賞だけ独自の投票方式のために,僅差の逆転もあり得ると考える。候補10作品全部に順位つけする方式なので,『オッペンハイマー』は満遍なく支持を受けるだろうが,誰もがそう思うと,ユニークさで突出した作品が勝つ可能性がある。
 個人的には,昨年度短評欄のBest 1に選んだ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の方が好みなのだが,『オッペンハイマー』に対抗し得るのは『哀れなるものたち』だと思う。
 ●監督賞部門:上記と同じ2強対決で,2人とも自身のオスカー受賞経験はない。監督賞の場合は,上記と選考方式が異なるので,米国人で映画業界への貢献度大のクリストファー・ノーランが有利だろう。功労賞の意味も込めて『ディパーテッド』(07年2月号)で受賞したマーティン・スコセッシ監督(『キラーズ・オブ…』)の受賞はない。
 ●主演男優賞部門:既に観たのは『マエストロ:その音楽と愛と』と『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』の2本だけだが,いずれもオスカーには値しない。前哨戦の結果からは,順当にキリアン・マーフィーになると考えるのが普通だ。
 ●主演女優賞部門:この部門には『オッペンハイマー』からの該当者がないので,素直に◎○の印をつけられる。エマ・ストーンは既に『ラ・ラ・ランド』で受賞しているが,全く役柄が違い,圧倒的存在感の『哀れなるものたち』での演技で2度目の受賞の可能性が高い。再受賞がマイナス要因となる場合は,『キラーズ・オブ…』のリリー・グラッドストーンが浮上する。同作の役は「助演女優賞」扱いでもおかしくはなかった。それであればオスカーは確実だったので,少しもったいなかったという気がする。
 ●助演男優賞部門:この部門は既に3本を観ているが,『キラーズ・オブ…』のロバート・デ・ニーロは,主演&助演の両方でオスカーを得ているので,もはや敬意を表してのノミネートだけで十分だ。残るは上記「主演男優賞」と同じ論理で,ロバート・ダウニーJr.にならざるを得ない。「アイアンマン」を続けていたら演技賞に縁はなかったから,彼にとっては絶好の機会だ。
 ●助演女優賞部門:ここも3本しか見ていないが,L・グラッドストーンがいないお陰で,『カラーパープル』のダニエル・ブルックスが,体重でも迫力でも,他を圧倒している。未見の『ホールドオーバーズ』のダヴァイン・ジョイ・ランドルフには,体重では完敗している。顔合わせした場合には,戦わずして不戦敗だ。
 ●脚本賞部門:ここも未見が2本だが,『落下の解剖学』が図抜けていて,対抗馬はないと信じる。
 ●脚色賞部門:作品賞,監督賞と同じ2強が,オリジナル脚本でなく両方ともこの部門の扱いだ。両賞の有力候補であるということは,脚本や演出が優れているということであるから,当部門もそのままのこの2強の構図のはずだ。
 と当初は考えたのだが,『アメリカン・フィクション』を観て,巧みな脚色が気に入った。原作の複雑な構造を見事に映画化している。受賞はしないと思うが,個人的願望として付記しておきたい。
 ●撮影賞部門:作品賞候補作以外の1本『伯爵』だけが,分かりやすかった。99%モノクロ映像で,これが頗る美しい。遠近法を強調した構図やマット画と思しき背景も巧みに配置されている。これを本命にするが,『オッペンハイマー』のカメラワークが優れていたなら,全くの不戦敗で,ゴメンナサイだ。
 ●メイキャップ&ヘアスタイリング賞部門: 無理やり◎○を選んだが,例年ほどの自信はない。それだけメイキャップが目立つ作品がなかったからだ。強いて言えば,『マエストロ:その音楽と愛と』では,主演のブラッドリー・クーパーをレナード・バーンスタインに化けさせていた。元々よく似た顔立ちなので,鼻を少し大きくし,老け顔にする程度で,大幅な特殊メイクとは言い難い。
『雪山の絆』は,多数の生存者を日数経過とともに,俳優本人の減量に加えて,痩せたように見せるメイクも加えたようだ。激変する訳ではないので地味だが,人数が多い分,連日のメイクはスケジュール的に大変だったことだろう。
 ●主題歌賞部門:GG賞ではノミネート6曲中3曲が,このアカデミー賞では5曲中2曲(“I’m Just Ken”と“What Was I Made For?”)が『バービー』から選ばれている。映画の大ヒットが後押ししたのだろう。若手人気歌手Billie Eilishが歌った“What Was I Made For?”がGG賞を受賞し,グラミー賞の「年間最優秀楽曲賞」と「最優秀映画映像作品楽曲賞」にも選ばれたと聞くと,もうこの曲しかないと思えてくる。さほどの曲とは感じなかったのだが,「何のために私は作られたの?」とウィスパーヴォイスで語りかける歌詞が,自分のアイデンティティに悩む若い女性の心の琴線に触れるそうだ。
 それならば,対抗として『フレーミングホット!チートス物語』の主題歌“The Fire Inside”を推しておきたい。シンガーソングライターBecky Gが歌うラテン系のこの曲は,労働者階級から大企業の役員に出世した主人公の未来志向のマインドを歌っており,映画の代表シーンを鏤めた公式ミュージックビデオの出来映えも素晴らしかった。
 ただし,この本命と対抗の間には大きな差がある。願望としての対抗であるので,『バービー』の“What Was I Made For?”が大本命であることは動かない。
 ●美術賞/編集賞/衣装デザイン賞部門:今年の技術賞部門は,全く何を選んで良いのか分からない。それぞれ専門分野であるなら,美術や衣装だけ優れた作品がいくつもあるはずだが,作品賞候補作の中から選び過ぎだ。この3部門で,作品賞候補外からノミネートされたのは『ナポレオン』だけだが,同作もとりわけ美術や衣装で目を惹く感じはしなかった。となると,ここでも投票は監督賞,脚色賞の2強に流れるのだろう。とりわけ,作品賞,監督賞で劣勢を伝えられる『キラーズ・オブ…』がこの辺りで複数受賞しても不思議ではない。
 さらに強いていえば,『バービー』がその商業的貢献を加味して,美術賞,衣装デザイン賞のいずれかを受賞するかも知れない。『キラーズ・オブ…』の重厚さとは真逆で,ハリウッド流商業主義の申し子のような明るく軽快な美術セットとファッションに対してである。ただし,取らせたいと思う訳ではないので,つけるべき印がないが…。
 ●作曲賞/音響賞部門:この両部門は,どの映画が優れているのか予想ができない。テーマ的には,音響賞で『マエストロ…』が頭1つ抜けていても不思議はないのだが,未見作品からのノミネートもあるので,今年は予想の対象外とした。
 ●国際長編映画賞部門:願望と確信をもって,邦画の『PERFECT DAYS』を大本命にしたい。作品賞を含む5分門ノミネートの『関心領域』が気になる存在だが,全くどんな映画だか知らないので,そちらになったらお手上げだ。


当欄にとっての主要2部門の予想

(2024年3月4日加筆)

 ●長編アニメ賞部門:過去13年間でこの部門の成績は,12勝1敗である。昨年のこの欄で,「今年も外す訳には行かない。例年よりもレベルが高く,少し驚きなのは,常連のディズニー&ピクサー組からはピクサー作品の『私ときどきレッサーパンダ』だけで,本家ディズニー・アニメーション作品も人気のイルミネーション・スタジオ作品も選に漏れるという年になったことだ」と書いている。今年も同じ形で,ピクサーからの『マイ・エレメント』だけになってしまった。ただし,全体のレベルは昨年ほど高くない。
 本命の◎は,アニー賞の結果通り,『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』がクオリティ的に断然だ。前作『スパイダーマン:スパイダーバース』(19年Web専用#1)が第91回で既にオスカーを得ているのがハンデとなりそうだが,この5年間の進歩が大きく,そのハンデをものともしないと思う。『マイ・エレメント』も優れたCGアニメであるので。敬意を表する意味で○をつけたが,◎と○の差はかなり大きい。
[付記]アニメーション専門の映画祭「アニー賞」は今年で51回目となり,2月17日(現地時間)に今年の受賞作が発表された。邦画の『君たちはどう生きるか』が長編キャラクター部門と長編ストーリーボード賞を受賞したことを快挙のように報じられていたが,対象年齢別,長編/短編等で多部門に細分化されていて,全体で32部門もある。その2部門だけなら,さほどの快挙でもない。『ニモーナ』は最多9部門にノミネートされていたが,同じく長編声優賞,長編脚本賞の2部門受賞だけに留まった。主要な長編作品賞,長編監督賞は,7部門ノミネートですべてを受賞した『スパイダーマン:アクロス…』が制し,圧勝であった。
 ●視覚効果賞部門:過去13年間の成績は,9勝3敗,1不戦敗である。こちらも願望と確信をもって,『ゴジラ−1.0』が一推しの本命だ。これに続く有力候補は,『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE 』と『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3』で,当欄の「2023年度ベスト5&10」(24年1月号)の「総合評価」と全く同じ順序である。『ミッション…』は映画業界への貢献大であるが,(意図的に挿入した)実演シーンがセールスポイントになっていて,VFX的にさほど優れていた訳ではない。よって,対抗の○はつけず,単勝1点買いの予想とする。

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以上をまとめると,以下のようになる。
・作品賞:◎『哀れなるものたち』
     ▲『オッペンハイマー』
     ☆『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
・監督賞:▲クリストファー・ノーラン ~『オッペンハイマー』(実質,◎評価)
     ○ヨルゴス・ランティモス ~『哀れなるものたち』
・主演男優賞:▲キリアン・マーフィー ~『オッペンハイマー』
・主演女優賞:◎エマ・ストーン ~『哀れなるものたち』
       ○リリー・グラッドストーン ~『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
・助演男優賞:▲ロバート・ダウニーJr. ~『オッペンハイマー』
・助演女優賞:◎ダニエル・ブルックス ~『カラーパープル』
       ▲ダバイン・ジョイ・ランドルフ ~『ホールドオーバーズ』
・脚本賞:◎『落下の解剖学』
・脚色賞:◎『哀れなるものたち』
     ▲『オッペンハイマー』』
     ☆『アメリカン・フィクション』
・撮影賞:☆『伯爵』
     ▲『オッペンハイマー』
・メイキャップ&ヘアスタイリング賞:◎『マエストロ:その音楽と愛と』
                  ○『雪山の絆』
・主題歌賞:◎What Was I Made for? 〜『バービー』
      ○The Fire Inside 〜『フレーミングホット!チートス物語』
・美術賞/編集賞/衣装デザイン賞:☆『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
                 ▲『オッペンハイマー』
・作曲賞/音響賞:予想なし
・国際長編映画賞:◎『PERFECT DAYS』
         ▲『関心領域』
・長編アニメ賞:◎『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』
        ○『マイ・エレメント』
・視覚効果賞:◎『ゴジラ−1.0』


付記:受賞結果を振り返って

(2024年3月12日記)

■結果はほぼ順当,当予想は大混乱,すべては『オッペンハイマー』のせいだが…
 最多13部門ノミネートの『オッペンハイマー』が7部門受賞,続く11部門ノミネートの『哀れなるものたち』は4部門で受賞した。いずれも昨年の1位,2位と同数であるから,まずは順当な結果と言える。その半面,10部門ノミネートの『キラーズ・オブ…』,7部門の『マエストロ…』,2部門の『パスト ライブス/再会』が無冠に終わっている。この予想を始めてからの14年間で,2桁部門ノミネート作が無冠に終わったのは第86回(2014年)の『アメリカン・ハッスル』(13)だけである。当欄は同作に高評価を与えず,授賞式直前号での作品紹介で「筆者はこの作品を好きになれなかった」「これがオスカー最有力とは認め難い」と書いているから,意外でも,残念でもなかった。一方,『キラーズ・オブ…』は高く評価し,「私の選んだ2023年度ベスト5&10」の「その他の一般作品部門」の1位にしていただけに,かなり残念だった。『オッペンハイマー』の一強ムードの中では苦戦すると思っていたが,せめて技術賞部門で何か1つは獲って欲しかった。
 当欄の予想結果はと言えば,下記に予想印毎の結果を記したが,◎(本命)の受賞はたった4本で,過去最低である。未見作品が3本もあり,『関心領域』 も2部門受賞したので,▲(不戦敗)の受賞本数の方がずっと多い。「不戦敗」と言いながら, ▲印で作品名を挙げていて,しかも同部門で2つは挙げなかったので,例年の★予想と似たようなものである。そうしなかったのは,「映画を観た上で◎にしない」のと,「観ていないが,世評ではこれが有力」では意味が違うと考えたからである。
 それやこれやで,見出しのように『オッペンハイマー』のせいにしてしまったが,この映画に責任はない。マイナーメディアの当映画評では,マスコミ試写の席が与えられなかっただけに過ぎない。いやいや,やはり『オッペンハイマー』の内容のせいだ。米国公開は昨年の7月21日で『バービー』と同日であった。被爆国の我が国にとって微妙な内容の映画を,こともあろうに原爆投下の平和記念日の直前に加害国で公開したのだから,いつもの配給会社が国内公開を見送ったのも無理はない。『バービー』より少し遅い秋にでも公開されていたら,試写はなくても,悠々この時期までに映画館で観られたはずだ。というのは,単なる負け惜しみに過ぎない(笑)。

■ 予想印毎の結果分析
(a) ▲が受賞:作品賞,監督賞,主演男優賞,助演男優賞,助演女優賞,撮影賞,編集賞,国際賞
17部門での予想の11部門に▲を入れ,8部門で受賞した。これが最多で,この比率だから,上記のような愚痴になる訳である。監督賞,主演男優賞,助演男優賞は,実質,本命予想しているようなものだ。『オッペンハイマー』以外の未見作品を▲にした助演女優賞も国際賞も,しっかり有力候補扱いしている。映画全編は未見だが,予告編は観ていた。競馬予想に譬えれば,他誌の予想と調教時計を頼りに予想印をつけ,馬券ではプラス配当を得た感じだ。

(b) ◎が受賞:主演女優賞,脚本賞,主題歌賞,視覚効果賞
 17部門中の8部門にしか◎予想を入れていない。過去2年間は16部門で,それ以前も12か13部門に◎をつけているので,この数は極端に少ない。その半数の4本が受賞は,多いとは言えないが,今年のような特殊な年だから,余り敗北感はない。
 単独予想(単勝1点買い)の2本(脚本賞,視覚効果賞)は,いずれも的中で気分がいい。特に『ゴジラ−1.0』のオスカー受賞は素直に嬉しい。ずっと応援してきた山崎監督作品だけに,当予想の面目躍如だ。これで視覚効果賞部門は「10勝3敗,1不戦敗」である。

(c) ○,★が受賞:なし
保険的な意味合いの○は5部門につけた。予想印は残したものの,実質★予想は全くしなかった。よって,この結果も当然と言える。

(d) ☆が受賞:脚色賞
 5部門に願望の☆を入れ,その内,追加で印を入れた「脚色賞」だけが受賞した。既につけた◎を変更するわけには行かないので,ようやく観た『アメリカン・フィクション』を☆で追加した形だが,好い眼力だった。ただし,加筆した本文中では「受賞はしないと思うが,個人的願望として…」と書いているので,余り自慢は出来ない。競馬で言えば,推奨馬に加えておきながら,馬券は買っていない馬が勝ってしまった感じである。

(e) 無印が受賞:メイキャップ&ヘアスタイリング賞,美術賞,衣装デザイン賞,長編アニメ賞
 最初(2月25日)の掲載原稿にケアレスミスがあった。まとめ欄で「美術賞/編集賞/衣装デザイン賞」を2回書いてしまい,片方では『哀れなるものたち』を,他方では『キラーズ・オブ…』を☆にしている。その前の解説文中から分かるように,後者は正しい。よって,「美術賞」「衣装デザイン賞」とも外れである。
「長編アニメ賞」は,全くの外れとなった。受賞作はGG賞や英国アカデミー賞の結果からは十分有り得たのだが,(ご存知の通り)題名を出すのも嫌な作品だったので,意図的に無視した。★印にする手もあったのだが,そうするとアニー賞7部門受賞の本命『スパイダーマン:アクロス…』の◎を外さざるを得なくなる。そういう変節はしたくなかったので,ここでも敗北感は全くない。戦績が「12勝2敗」になってしまったことだけが残念だ。


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