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(注:本映画時評の評点は,上から,,,の順で,その中間にをつけています) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
当欄は, この映画の味方です! | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2作目はフルCGアニメの新作で,個性的な怪盗集団が活躍するクライムコメディだ。本邦での公開日は10月にずれこんだが,米国では『ミニオンズ フィーバー』(22年Web専用#4)や『DC がんばれ!スーパーペット』(同Web専用#5)より早い4月22日に公開され,2週連続Box Office No.1の座を得ている。 既に『DC がんばれ…』の記事中で,当欄は本作を応援することを宣言した。その第1の理由は,DreamWorks Animation (DWA)の最新作だからだ。ピクサー社を追って,すぐにフルCG長編映画に参入した「第2の老舗」でありながら,日本国内での知名度が上がらない。『シュレック』『カンフー・パンダ』『ヒックとドラゴン』等の名作シリーズを生み出し,現在は『ボス・ベイビー』シリーズで善戦しているが,ブランドとしてはディズニー/ピクサー連合に及ばず,人気でも後発のイルミネーション・スタジオの後塵を拝している。その最大の理由は,DreamWorks作品自体の配給網が安定せず,国内では劇場公開を見送られた作品もあったからだろう。ようやくユニバーサル傘下に入り,CGアニメに熱心な東宝東和から配給されるようになったが,優先順位が『ミニオンズ』のイルミネーション作品より下である印象は否めない。品質では劣ってないゆえに,判官贔屓の当欄は応援したくなる訳である。 第2の理由は,筆者は今がフルCGアニメの第2黄金期だと感じるからだ。コロナ渦で大作の大半が公開延期になったためその印象が薄いが,もしそれがなければ,実写作品全体に比べて,最近のCG作品の完成度の高さがもっと注目されていたと思う。その理由は,表現技術としてのCGの実力が格段に進歩したこと,当該分野の人材が豊富になったこと,その結果,劇場用映画としての新しい演出が試みられ,CGアニメのバラエティが増したことが挙げられる。本作は,その可能性をさらに拡げるものとして注目していて,応援することにした次第だ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
楽しみな新シリーズは, フルCGのクライムコメディ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本作の原作は,オーストラリアの作家アーロン・ブレイビーの児童書(コミックブック)シリーズで,複数社の競合の結果,DreamWorksが映画化権を得たという。DWA作品は,元来シニカルなタッチが得意で,ファミリー映画であっても対象年齢層が少し高い。映画ファンの大人も楽しめるものが多いので,怪盗集団が主役というのは似合っている。この映画化に当たっては,第4巻までの内容を盛り込んだそうだ。 監督は,これが長編映画デビューとなるピエール・ペリフェル。フランス生まれで,2007年のDWA入社以来,多数の作品のアニメーターや短編監督を経験している。クライムコメディとしては,スティーヴン・ソダーバーグ,ガイ・リッチー,クエンティン・タランティーノ作品のテイストを盛り込んだという。なるほど,バッドガイズたちの首から下だけを描いたキービジュアルは,『オーシャンズ11』(02年1月号)のパロディだ(写真1)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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怪盗集団は,「天才的スリのミスター・ウルフ」がリーダーで,メンバーは「金庫破り名人のスネーク」「肉体派で怪力のピラニア」「変装の達人のシャーク」「天才的ハッカーのタランチュラ」の計5人組だ。この組合せは,TVシリーズのヒット作『スパイ大作戦』(映画版は『ミッション:インポッシブル』シリーズ)を意識している。 個々の性格付けは原作で済んでいるので,CGキャラとしてどんなルックスで登場するのかが楽しみだったが,原作のラフで稚拙な絵柄(写真2)に比べて,実に見事な出来映えだった(写真3)。大きさの差は誇張され,色のバランスも絶妙だ。ただし,巨漢のシャークが怪力担当でなく,変装の達人というのが笑えてくる(この体形で変装して,何に化けられる?)(写真4)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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本作の設定でユニークに感じたのは,動物と人間の関係だ。擬人化された動物だけで構成する童話ではなく,多数の人間も登場する。過去作を少し整理してみた。 @『トイ・ストーリー 』のオモチャや『ペット』シリーズの動物は,仲間内では言葉を話すが,人間達はそれを知らない。存在としては,あくまでオモチャと動物だ。 A『パディントン』や『テッド』は言葉を解し,人間とも会話するが,人間と生活する特異な動物として描かれている。二足歩行できるが,存在としてはいずれも「熊」である。 B擬人化された動物だけが登場する作品は数多い。『ズートピア』『SING/シング』『カンフー・パンダ』等はいずれもそうで,『カーズ』もこの範疇に入る。 こう整理してみると,本作の動物キャラはAに近いが,全く人間と対等に交流し,会話している。動物と人間が共生している世界らしいが,珍しい設定である。 物語としては,伝説のお宝「黄金のイルカ」を狙った5人組はあと1歩のところで失敗し,逮捕される。その結果,悪者を「グッドガイズ」に変えるマーマレード教授の更生プログラムの実験対象にされてしまう。危機を感じた彼らは,実験計画に従ったふりをして脱出に成功し,お宝強奪に再挑戦しようするが,世界を揺るがす巨悪の進行を知り,それを阻止しようとするが…。 愛すべき小悪人たちを巨悪に対抗するために利用するのはよくあるパターンで,最近の『ワイルド・スピード』シリーズや『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党, 集結』(21年Web専用#4)もその類いだ。それゆえ,シリーズものとして発展させる余地があると感じた。 以下,当欄の視点での論評である。 ■ 映画は,ダイナーでウルフとスネークが語り合うシーンから始まる(写真5)。『パルプ・フィクション』(94)のパロディだ。声色までジョン・トラボルタとサミュエル・L・ジャクソンを真似ている。会話を終え,店から銀行への移動は1カット2分57秒7の長回しで,CGアニメ史上の最長だという。フルCGなら,カット割りもカメラワークもどうにでもなるはずだが,実写映画風の作りであることをアピールしているに過ぎない。他にもいくつかパロディシーンが登場するが,それと分かる映画ファンを意識した演出だ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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■ バッドガイズの面々の他,遣り手の女性知事ダイアンはアカギツネ(写真6),マーマレード教授はモルモットだ(写真7)。一方,バッドガイズ逮捕に賭ける警察署長(写真8)や多数の警官,TVレポーターのティファニーは人間だ。大半が人間なので,当初は動物と人間の違いは何なのかと気になるが,やがて全く意識しなくなる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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■ かつてのフルCGアニメでは,登場人物は漫画風のキャラで描くものの,背景はリアルに描くことを競っていた。本作では,室内や市中を写実的に描くことは控え,キャラとのバランスを重視している。その一方,光の反射,逆光,もや,光沢物への映り込み等の照明効果はしっかり描いている(写真9)。この点では,2Dセル調アニメとの差別化をしたかったのだろう。バッドガイズの隠れ家や金庫内部等の描写は,デザイン的に凝っている(写真10)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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■ カーチェイス等のアクションシーン(写真11)のテンポやキレも上々で,ギャグも多彩だ。ファミリー映画らしい,ほのぼのとしたシーンもあり,物語的には安定している。原作があるゆえ,5人組の個性もはっきりしている。当然,シリーズ化するものと思われるので,次回作以降も楽しみだ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(O plus E誌掲載本文に加筆し,画像も追加しています) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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