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O plus E誌 2014年7月号掲載
 
 
マレフィセント』
(ウォルト・ディズニー映画)
      (C) 2014 Disney Enterprises, Inc.
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [7月5日よりTOHOシネマズ日劇他全国ロードショー公開予定]   2014年6月11日 TOHOシネマズ梅田別館[完成披露試写会(大阪)]
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  これもディズニー,これぞのディズニーの新解釈  
  フルCGアニメ『アナと雪の女王』(14年3月号)がメガヒットを記録し,傘下に収めたマーヴェル・コミックスの『アベンジャーズ』シリーズ各作品も好調で,ウォルト・ディズニー・スタジオの快進撃が続いている。強いて言えば,ピクサーが若干もたついている程度だ。世界中でのブランド力,これまでに積み上げたキャラクターの版権,その上,新技術の導入にも熱心という企業姿勢が上手くリンクし,功を奏しているようだ。
 1990年前後に,セル調アニメの制作にコンピュータを駆使するCAPS の開発でピクサーと組んだのが,『トイ・ストーリー』(95)を共同製作するきっかけだった。失敗作であったとはいえ,1980年前半にCG利用の嚆矢となった『トロン』(82)もディズニー作品であった。21世紀に入って大ヒットを記録する『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズは,テーマパークの人気アトラクションを元に,CG/VFXの魅力を大いに加味した企画であった。本作も,CGは多用されているがアメコミの実写化とは違う路線だなと感じる意欲的な作品だ。
 往年のセル調アニメでは『101匹わんちゃん大行進』(61)『ふしぎの国のアリス』(51)は,既に『101』(96)『アリス・イン・ワンダーランド』(10年5月号)として実写映画化されている。今回題材として選ばれたのは,ディズニーアニメ史上に燦然と輝く『眠れる森の美女』(59)だった。創業者ウォルト・ディズニーが直接製作に関わった最後の映画で,全面的に手書きで描かれ,過去最高の製作費を投じた記念碑作品だった。元は欧州に古くから伝わる民話「Sleeping Beauty」だが,ディズニー流のロマンティックなプリンセス物語に脚色されていた。初公開当時,筆者は中学生であったが,色の鮮やかさと壮大なステレオ音響に感激した覚えがある。
 これを素直に実写映画化したのではなく,前作のアニメでオーロラ姫に永遠の眠りの呪いをかけた魔女マレフィセント(写真1)を主人公とし,彼女の側から観た物語として描いている。主演は,アンジェリーナ・ジョリー。大きな角にエラを強調したメイク,この貫禄はダーク・ファンタジーの主人公にピッタリだ(写真2)。すぐに思い出したのは,「白雪姫」を実写化した『スノーホワイト』(12年7月号)でシャーリーズ・セロンが演じた邪悪な王妃のラヴェンナである。これはパラマウント配給作品であったが,同作や『アリス・イン…』のプロデューサー,ジョー・ロスが本作も担当している。今度はディズニー・ブランドの下で,同じ路線を踏襲し,悪の化身を堂々と主役に据えてきた訳である。

 
 
 
 
 
写真1 これが1959年版アニメのマレフィセント
 
 
 
 
 
写真2 この貫禄,この存在感,さすが本作の主人公
 
 
  冒頭の数分間はフルCGの描写で始まる。それに続いて,少女時代のマレフィセントの恋や彼女が住む森の描写も魅力十分だ。マレフィセントが大きな翼で飛翔する姿を初め,森の木々,茨のバリア,妖精たちの振る舞いなど,CG/VFXで加工したシーンが続く。マーヴェルものとは違い,かつてのアニメ調の演出を,実写とCGのミックスで自由自在に表現している。
 出色なのは,オーロラ姫を育てる騒々しい3人の妖精のキャラ設定だ(写真3)。そのリーダー格のノットグラスを演じているのは,イメルダ・スタウントン。『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(07年8月号) でピンクの服を着たアンブリッジ先生を演じていた,あのオバサンだ。表情豊かな彼女らを妖精サイズに仕上げるには,USC-ICTのLight Stageを用いてデジタル表現したようだ(写真4)。カラスのディアヴァルは,マレフィセントの魔力で様々な動物や人間の姿で登場する。この変身が実に楽しいし,幻想的な森の夜の描写には目を見張る。クリーチャー類のデザインもハイレベルだ(写真5)。そして,クライマックスで登場するのは火を吹くドラゴンだ。また定番のドラゴンかと思うだろうが,この描写が絶妙で,出番の作り方も上手い(写真6)
 
 
 
 
 
写真3 3人の妖精のCG表現は最新技術の賜物
 
 
 
 
 
 
 
 
 
写真4 上:Light Stage内でのデータ収録風景,中:様々な表情を自在に表現,下:収録後に記念撮影(右端がPaul Debevec博士)
 
 
 
 
 
 
 
 
写真5 森に住むクリーチャーは,ちょっぴりトトロ風
 
 
 
 
 
 
写真6 お馴染みのドラゴンだが,存在感は抜群
(C) 2014 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
 
 
  監督は,美術監督出身でこれが監督デビュー作となるロバート・ストロンバーグ。『アバター』(10年2月号) 『アリス・イン…』で2度もアカデミー賞美術賞を得ているというから,本作のビジュアルが優れている理由が理解できる。これが『ノア 約束の舟』や『トランセンデンス』との大きな違いとなったようだ。
 オーロラ姫役は,エル・ファニング。『SUPER 8/スーパーエイト』(11)のヒロイン役だったあの美少女である。アニメ版で彼女の眠りを解くフィリップ王子役は,いかにもいかにもの若手イケメン男優で,白馬に乗る姿までが,まるでアニメから飛び出して来たかのようだ。この草食系男子のキスでオーロラ姫の眠りを覚ますことは無理だろうと想像していたら,案の定,外してきた(これが最近のディズニー流だ)。では,誰のキスで覚醒するのかと言えば,『スノーホワイト』(即ち,変身したディアヴァル)か『アナと雪の女王』(即ち,マレフィセント)のいずれかのパターンだと予想できよう。正解は映画館で観てのお愉しみということにしておこう。

 
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  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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