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plus E誌 2010年5月号掲載 |
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『アリス・イン・ワンダーランド』 |
(ウォルト・ディズニー映画) |
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(C) Disney Enterprises, Inc.
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オフィシャルサイト[日本語][英語] |
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[4月17日より丸の内ルーブルほか全国ロードショー公開中]
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2010年3月30日 なんばパークスシネマ[完成披露試写会(大阪)] |
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(注:本映画時評の評点は,上から![](../image/star2.gif) ![](../image/star2.gif) ,![](../image/star2.gif) , , の順で,その中間に をつけています。) |
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不朽の名作のバートン流描写は,少し目が疲れる
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何でこんなカタカナの題名にするのだろう? 原作小説には「不思議の国のアリス」という,誰もが知っている立派な邦題がありながら,わざわざカタカナにする理由が分からない。厳密に言えば,原作の英題は「Alice's Adventures in Wonderland」だが,最近は省略形が用いられているし,邦題はもともとそれにピッタリの題なのである。続編の「鏡の国のアリス」も含めた映画化だからという言い訳なのだろうか? いや,両作品を一緒にした映画化も今まで何度も行われている。ディズニーランドの人気アトラクション「カリブの海賊」を映画化した際,『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(03年9月号) にした前科もあるが,児童文学史に残る名作の題を,こうも軽んじていいものか。
原作はこれまで130以上の言語に翻訳され,日本では20人以上の役者による翻訳書が出版されている。映画化だけでも過去に20回以上もあり,TVアニメ,絵本,舞台劇になった回数は数え切れない。筆者自身は,中学生の頃から何度もこの本に挑戦したが,どうにもこの物語を好きになれなかった。それまで,少年少女向けの児童文学書しか読んだことのない中学生にとって,本格的な翻訳書の文体は難解で全く歯が立たなかった。爾来,従来の映画化作品を観ても,アニメを観ても,楽しいと感じたことがなかった。
言葉を喋る動物やトランプの札が住む不思議な別世界の物語は,英国で生まれた元祖ファンタジーであり,他作品にも大きな影響を与えた古典である。作者ルイス・キャロルは英国オックスフォード大学の数学講師であり,類い稀なる想像力と文学的才能を併せ持った才人だ。彼の言葉遊びや風刺をふんだんに盛り込んだ著作を,正確に伝えようとした翻訳書や映画が面白い訳はない。ましてや,パラドックスと不条理と幻想体験が題材となると,これは少年少女が対象の児童文学の枠を超えている。ところが,最新映画化作品の監督がティム・バートンと知って,少なからず期待した。
その期待の1つは,毒をもって毒を制すで,奇才ティム・バートンなら「不思議の国」を見事な解釈で描いてくれるだろうという楽しみである。児童文学の映画化は,『チャーリーとチョコレート工場』(05年9月号) で経験済みである。もう1つは,本格的CG映像の到来以降,始めての映画化であるので,どこまでCG/VFXの威力で豪華なビジュアルにするかの期待である。しかも3D作品というから,さらに期待度は増す。
ところが,スチル写真やポスターを観た時から,何か違和感があった。アリスは少女ではなく,妙齢の女性ではないか。6歳の時にワンダーランドを体験したアリスが19歳になり,白うさぎに導かれて,再び摩訶不思議な地下世界(写真1)を体験するという設定のようだ。2つの原作のエピソードを盛り込み,お馴染みのキャラも多数登場するものの,全体はオリジナル・ストーリーでの3D映画化ということらしい。
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写真1 これが地下にあった「不思議の国」 |
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主演のアリスは,オーストラリア出身のミア・ワシコウスカ。ちょっとグウィネス・パルトロウに似た清楚な新人女優である。バートン映画お馴染のジョニー・デップは,個性的なメイクの帽子屋マッドハッターとして,バートン監督夫人のヘレナ・ボナム=カーターは,デカ頭の「赤の女王」なる強烈なキャラクターで登場する。ふむふむ,この2人は期待通りのバートン流人物造形だ。「赤の女王」の妹「白の女王」役にアン・ハサウェイ,ハートのジャック役にクリスピン・グローヴァーが配され,その他はCG製の動物たちが多数登場する。
知名度は抜群,ディズニー製の3D大作とあって,興行成績も上々だ。この作品を面白く感じるかと言えば,観客の好みによって分かれるだろう。CG/VFX的にはかなりの大作だ。以下,その見どころである。
■ 『アバター』(10年2月号)同様,2台のHDカメラを駆使しての実写撮影かと思いきや,本作は1台での単眼映像を,ほぼ全編「2D→3D変換」で立体映像化したらしい。その理由の1つとして,ステレオカメラでは,巨大化したり,小人化したりするアリス(写真2)と他の人物との合成時の視差調整が大変とのことのようだ。頭部が異様に大きい「赤の女王」(写真3)は,同じ実写映像の頭部を拡大し,胴体部と合成しているが,この場合も同様に視差調整が難しい。
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写真2 実写で小人のアリスの立体的合成は難しい |
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写真3 赤の女王は,頭部だけ拡大して胴体と合成 |
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■ デブの双子の兄弟トウィードルダムとトウィードルディーは,顔の中央だけが実写で,他はCG製の肥満ボディをMoCapデータで動かしている(写真4)。マッドハッターは目だけをVFXで拡大しているが,いずれも合成とは思えない良質の出来映えだ。
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写真4 デブの双子は,顔の中央部以外はCG製 |
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■ 白うさぎは絵本等で見慣れたルックスだが,チェシャ猫や青い芋虫のアブソレムは予想以上のいい出来だった(写真5)。ブルドッグのバンダースナッチ,ドラゴンに似たジャバウォッキー等も悪くない。最初と最後の地上世界を除いては,ほぼ全編グリーンバックでの撮影だという。城や宮殿の描写も素晴らしい。造形的にはかなり手の込んだ作品で,CG関係者必見であることは言うまでもない。それでいて,あまり大きな驚きはない。VFXの主担当はSony Pictures Imageworksで,クリエータ約500人を投入している。他に,CafeFX,Legacy Effects,Matte World Digital等も参加している。
■ ビジュアル面では大いに見どころのある一作だが,この3D映画は絵的に騒々しく,目が疲れた。『アバター』に比べて遥かに疲れる。これは構図のせいか,カメラワークのせいか,それとも「2D→3D変換」の限界なのだろうか。理由は不明だが,疲れたことは事実だ。
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写真5 絵本でお馴染のキャラたちも,CGで見事に描写
(C) Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.
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(画像は,O plus E誌掲載分を一部削除し,追加しています) |
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