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          O plus E 2020年Webページ専用記事#4 | 
         
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                            『ザ・ループ TALES FROM THE LOOP』 
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                            | (アマゾン・スタジオ) | 
                           
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                      (C) Amazon Studios 
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                      オフィシャルサイト[日本語][英語] | 
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                      [4月3日よりAmazonプライム・ビデオにて独占配信中] | 
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                      2020年9月2日 全8話ネット観賞完了
                        
                        
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    (注:本映画時評の評点は,上から   ,  , , の順で,その中間に をつけています。) | 
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    原作はアートブック,古典的な本格派SFを感じさせる | 
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     |   |  このWeb専用#4で予定していたメイン2本を本誌9・10月号に回してしまったため,この欄が手薄になってしまった。短評だけでは淋しいので,カラー画像も掲載するメイン記事も1つは載せておきたい。ただし,劇場公開映画ではなく,Amazon Primeで視聴できる全8話のTVシリーズである。といっても,Cinefex誌6月号に取り上げられた作品であるから,VFX的には一定レベルに達している。 
 劇場公開のVFX大作のほぼすべてが公開延期で,再開の見通しが立たなくなったため,緊急避難でCinefex誌6月号の掲載記事がすべてネット配信かTV放映のシリーズ作品になったことは既に触れた。隔月刊の次号の8月号はどうなるのだろうと思っていたら,8月号,10月号を休刊し,次は12月号だという。質・量ともに単調増加の成長を遂げてきたVFX業界にとっても,このコロナ禍は歴史に残る異常事態であったという証拠である。 
 Cinefex誌に先立って,当欄ではネット配信のTVシリーズを取り上げて来たが,これが5作目である。個人的に困るのは,全6∼10話で各エピソードが40∼60分というのが,視聴を終えるのに時間がかかり過ぎることである。業界としては,顧客をつなぎ止めて,毎月の会費を継続的に獲得する営業方針上,約2時間の「映画扱い」の単発作品よりも,「TVシリーズ扱い」の複数話ものを重視していることは理解できる。 
 本作は4月3日に配信開始だったが,5・6月号で紹介した『ダーククリスタル:エイジ・オブ・レジスタンス(全10話)』と『ザ・ボーイズ(全8話)』を見終えた5月上旬から見始めた。全8話の内,半分の第4話までは順調に観ていたのだが,そこで大きく中断してしまった。同じAmazon Primeで後から配信が始まった『アップロード 〜デジタルなあの世へようこそ(全10話)』(20年7・8月号)を一気に観てしまい,それに先を越されてしまったからだ。これは『アップロード…』の方が個々は短尺で,思わず次を観たくなる作りだったのに対して,本作の各話は独立性が高く,後回しでも良いと感じさせる構成だったためである。その後,第5話以降を散発的に観て,ようやく最近,最終話まで辿りついた次第である。 
 さて,本論の本作の中身に入ろう。原作は,スウェーデンのアーティスト,シモン・ストーレンハーグが2014年に出版したストーリー付きのアートブック(絵本というよりは画集)とのことだ。この作家の存在は知らなかったが,デザイナー,ミュージシャンでもあるようだ。視聴後に知ったのだが,彼が描いた挿画(写真1)は極めて写実的で,まるで映画の1シーンかと思ってしまった。いかにもSFだ。こういうビジュアルが最初からあるなら,この原作を映像作品に仕立てるかは,そう難しくなかっただろう。実際,原作者もこのシリーズの脚本には深く関わったようだ。 
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              | 写真1 原作のアートブックからの画像。なるほどリアルだ。
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  |   |  シーズン1は全8話で,各話は50∼57分だから,少し長めだ。シーズン2の配信も噂されているが,まだその予告はない。製作されるとすれば,先に続編のアートブックが出版されることだろう。 
 劇中で時代は明確にされていないが,登場するカメラ,クルマ,人々の服装から判断して,ベースとなる物語は1960年代の終わりから1970年代前半かと思われる。物語中にTV受像機は描かれていない。勿論,PCやスマホはまだ存在していない。Mercerなる田舎町とその郊外が舞台で,原作では当然スウェーデン国内だが,町の看板の文字や人々の名前からすると,本作では米国の小都市なのだろう。いずれであっても,物語に本質的な違いはない。 
 MCEP (The Mercer Center for Experimental Physics)なる組織があり,通常「ループ」と呼ばれている。地上はさほど大きくない建物だが,地下に広大な研究実験施設が存在していて,宇宙の謎を解き明かすことが目的だという。町の住人の多くがこの施設で働いている。その創設者である老所長のラス・ウィラード氏とその長男のジョージ夫妻,孫2人やその友人の家族を中心に物語が展開する。 
 第1話「ループ」の主人公は少女ロレッタで,母アルマと暮らしていたが,ループの実験事故で母は姿を消してしまう。その後も不思議な現象が次々と起こり,ロレッタは既に結婚して2児の母となった未来の自分に出会う。年齢の違う2人が同時に存在して,顔を合わせてしまった訳だ。 
 第2話「入れ替わり」では,未来のロレッタの長男ジェイコブが親友のダニーと森に行き,球形のポッドを見つけて,2人でそこに入る。すると彼らの心が入れ替わってしまい,2人は自分と違う別の姿で過ごすことになる……。 
 第3話「静止」の主人公は,ジェイコブの彼女だったメイで,彼女は湖で不思議な装置を見つける。勤務先のループにあった部品で修理すると,それには時間を止める機能があり,彼女と新しい恋人のイーサン以外の人々は時間が静止した状態で固まってしまう……。 
 といった風に,いかにもSFらしいアイディアのエピソードが続く。個々は,SFとして特段に新しいネタではないのだが,本格的SFの香りがして,少し嬉しくなる。最近は宇宙空間での事故や,暗い未来社会を描いたディストピアものが多いゆえに,むしろ新鮮に感じるほどだ。前述したように,各話はかなり独立しているので,どういう人間関係であったのか,繋がりを思い出すのに苦労するくらいだ。それでも,最終話に近づくと過去の経緯が少し分かるようになっていて,シリーズものとしての繋がりが出て来る。 
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    TVシリーズにしては上出来だと感じさせるVFX | 
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     |   |  製作総指揮には多数の名前があるが,その筆頭はマット・リーヴスだ。『猿の惑星:新世紀(ライジング)』(14年10月号)『同:聖戦記(グレート・ウォー)』(17年10月号)の監督で,当欄ではお馴染みだ。2021年公開予定の『バットマン』新シリーズの監督も任されている。 
 この種のTVシリーズの監督は1人ではなく,複数人が交替で演出するのが普通だが,このシーズン1は8話すべて監督が違う。名のあるところでは,第4話「エコースフィア」は,『ファインディング・ニモ』(03年12月号)『WALL・E/ウォーリー』(08年12月号)のアンドリュー・スタントンが担当している。そして最終話「ホーム」の担当が,2度主演女優賞部門でオスカーを得た大女優のジョディ・フォスターである。既にTVシリーズ4本,劇場用映画4本の監督経験がある。 
 俳優陣では,主演のロレッタ役が,ウディ・アレン監督が『それでも恋するバルセロナ』(09年7月号)で主演に抜擢したレベッカ・ホールだった。ラス役は,名優のジョナサン・プライスで,『2人のローマ教皇』(19年Web専用#6)と『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』(20年1・2月号)での存在感が記憶に新しい。この2人だけが名の通った俳優で,他はその他多数レベルの助演クラスか,ほとんど無名の俳優ばかりだ。 
 以下,当欄の視点からの感想と論評である。 
 ■ この種のシリーズは,通常,第1話が抜群に面白く,脚本も練れている。CG/VFX的にもかなり力が入っていて、製作費のかなりの割合が投じられている。継続して観てもらうのには,まず第1話で目を惹くのは当然の戦略だろう。その例に漏れず,本シリーズも第1話「ループ」にSF的なビジュアルが多数登場していた。まず,MCEP(ループ)の心臓部にある物体エクリプス(写真2)は,表面は六角形のプレートを敷き詰め,全体は球形で,いかにもSF的な香りを感じさせる。少女ロレッタが触れる一部だけが実物で,残りをCGで描き加えたそうだ。反重力の物体が浮き上がるシーンは,勿論CGによる描写だ。少し驚いたのは,ロレッタの家がバラバラになり,宙に舞い上がるシーンだ(写真3)。それまでは普通の家に見えたのだが,最初からCGで描いていた訳だ。TVシリーズにしては高級なCG/VFXで,なかなかやるじゃないかと感じた。 
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              | 写真3 普通の実物の家だと思っていたのに,こんな現象が! 
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       |  ■ 第1話から武骨なロボットが登場する(写真4)。もうちょっとスマートなデザインに出来なかったのかと思うが,意図的な武骨さなのだろう。第5話「コントロール」で登場するロボット(写真5)は,原作のイラスト画をそのまま実機で具現化したようだ。いずれも,リモコンでのパペット操作でロボットにぎこちない動きをさせているように見える。計算通りの演出だが,そんな大きな重機を子役の近くで動かしては危ないから,別撮りしたものを合成しているのだろう。最終話では,写真4のロボットが別の蜘蛛型ロボットと戦うシーンがある(写真6)。いずれも動きが速く,かつ複雑だ。とてもこれを実機のパペット操作で動かせるとは思えないので,両方ともCGに違いない。となると,その周囲の林もCGで追加して描いているのだろう。一見武骨でローテクに見せておいて,なかなかの腕前だ。 
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              | 写真4 意図的なデザインだろうが,余りの武骨さに呆れる 
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              | 写真5 こちらは原作の画像(写真1左)通りに具現化した 
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       |  ■ その他,CG/VFXの活躍場面は随所で見られる。第1話に登場する少女ロレッタと少年コールの凍った湖でのシーン(写真7)は,本当にロケしたと思えないから,当然VFX合成だろう。第6話「異次元世界」に登場するトラクターは宙に浮いている(写真8)。かつて『スター・ウォーズ』(77)で,ミラーを使って実現した原始的なSFXでなく,最近のVFXなら簡単なデジタル加工で簡単に支柱等は消去できる。このシーンで,なぜ宙に浮いているかの説明はない。本シリーズの最大の不満は,色々不思議な現象を見せておいて,それが何に由来するのか,原因も物理的意味も,説明が一切ないことだ。これではSFとしての楽しさがなく,得体の知れない現象を題材にした人間関係のドラマに過ぎない。 
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              | 写真7 背景の凍った湖面はクロマキー合成(こんなところでロケする訳がない!) 
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              | 写真8 なぜ浮いているかの説明がなく,物語にも影響しない  | 
             
          
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  |   |  ■ デザイン的に印象に残ったのは,サイロのような形状をした3つの建造物だ(写真9)。全編の至るところで登場するから,本作のシンボル的存在である。地下のMCEPの換気口か冷却塔のようだ。勿論,CGで描写されている。町のどこからでも見えているから,大きさはきちんと計算されているのか,少し疑った。最終話でコール少年がこの塔に登るシーン(写真10)から,相当大きな建造物という設定であることが分かる。本作のCG/VFXの主担当はRodeo FX,副担当はLegacy Effectsで. 一部はMPC,Bot VFXの助力も得て達成している。 
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              | 写真9 何度も登場する3体は,地下施設の冷却塔らしい
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              写真10 少年がこの塔に登ろうとするシーンで,ようやくその巨大さが実感できる  (C) Amazon Studios  | 
             
          
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|   |  ■ 全編を通じて,音楽が印象的だった。殆どがピアノと弦楽器だけの演奏だが,余りにも暗くて陰鬱的過ぎる。物静かで落ち着きを与えてくれるが,少し不気味で怖い感じがした。何か大きな悲劇的な出来事が起こるのではないかと不安をかき立てられるが,(ネタバレになるが)実は何も起こらない。明るく,躍動感のある音楽なら,このシリーズの印象は全く違っていたかと思われる。 
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