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O plus E 2021年Webページ専用記事#2
 
第93回アカデミー賞の予想
   
   
 
コロナ禍で2ヶ月遅れ,対象作品もやや低レベル

 (2021年4月2日記)

 
 

 大半の読者は既にご存知だろうが,冬季五輪開催年以外は現地時間で2月最終日曜日の夜(日本時間で翌月曜日の昼間)に行われるアカデミー賞の授賞式が,今回はコロナ禍で2ヶ月遅れの開催となった。即ち,本来2月28日開催の授賞式が現地時間4月25日(日)の夜に延期され,日本時間4月26日(月)の午前中から続々と結果が伝わってくる訳である。
 この延期は,早々と昨年6月中旬に発表されていた。当時は10ヶ月後のこの時期にはもうコロナ騒動も収まっていると考えていたのだろうが,米国では11月頃から感染者数急増で,さらなる延期も噂されていた。ワクチン接種の効果もあってか,2月頃から感染者数も減り始め,3月14日夜(日本時間 3月15日昼)には無事各部門のノミネート作品が発表されている。もうここまで来たら,受賞作が選ばれることは間違いない。レッドカーペットでのセレブ達の華やかな入場風景はないかも知れないが,授賞式自体はやるに違いない。前哨戦のゴールデングローブ賞(以下,GG賞)の授賞式も約1ヶ月余延期されたが,ちゃっかり本来アカデミー賞の予定日だった2月28日にニューヨークとロサンジェルスの2会場を同時中継して開催され,注目を集めていた。となると,本家アカデミー賞はそれよりも派手にやることだろう。
 とはいえ,今年はやはり対象作品のレベルが高くない。例年なら,10月半ばから年末にかけて賞狙いの有力作品が続々と公開されるのに,正にその時期がパンデミックのピークだったので,まともな映画興行ができなかった。何度も公開延期になった作品も少なくない。そのため,従来はLA地区での映画館上映が条件となっていたのに,今年だけの特例として,映画館上映を予定していたが,止むなくビデオ・オン・デマンドやネット配信に切り替えざるを得なかった映画も対象とする措置がとられている。
 さて,前哨戦で話題になった有力作品のノミネート状況を概観してみよう。こうしたライバルが少ない年なら,有力数作に投票が集中するかと思ったのに,さほどでもなかった。昨年は2桁ノミネート作品が4本もあったのに,今年は『Mank/マンク』(20年Web専用#6)1本が10部門ノミネートを果たしているだけだ。それでいて,この作品が全部門で断トツの有力候補というほどでもなさそうだ。次いでは差がある6ノミネートで,この同数2位が6本もある。当欄で既に紹介した中では,『シカゴ7裁判』(同号)『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』(21年Web専用#1)『ミナリ』(21年3・4月号)『ノマドランド』(同号)『ファーザー』(同号)の5本が,6部門の候補作である。本邦で公開予定のない『Judas and the Black Messiah』(20)が5部門で6ノミネート(助演男優賞に2人)となっている。ノミネート数だけで見ても,ドングリの背比べの印象が強い。
 配給ルート別に見れば,元々メジャー系の娯楽大作が候補となることは少なく,この10数年はインディペンデント系の良作がかなりの比率を占めていた。その空気を一変させたのは,ネット配信映画の興隆である。GG賞候補作では,Netflixに続けと,Amazon Prime,Disney+,Apple TV+,Hulu等の躍進も目立つことは既に述べた。このアカデミー賞に関しては,圧倒的にNetflixが強い。他が2〜3本止まりなのに対して,下記で触れる部門だけで13本もノミネートされている。この予想では扱わないドキュメンタリー部門や短編部門まで加えると,18本に達している。果たして,Netflixがオスカーをいくつ獲るかも注目の的である(GG賞にはテレビ部門があるので,10冠だった)。
 さて,映画業界の一大祭典であるので,例年通りの余興として,今年も個人的な好みも含めて予想し,下記の印をつける。多少表現は変えたが,印の種類はこれまでと同じだ。昨年と同様,「予想的中」の曖昧さを避けるため,各部門には◎と★を同時には入れていない。

 ◎:世評を考慮した比較的素直な予想での「本命」
 ○:同上の意味での「対抗」となる作品
 ★:好きな映画ではないが,捻くれ者のアカデミー会員が選ぶと想像する変則の「予想」
 ☆:自分ならこれに投票する,これを選んで欲しいという「願望」

 
 
部門毎の予想と個人的願望

 (2021年4月10日記,4月23日修正)

 
 

 ●作品賞部門:2009年に一挙に倍増して10本がノミネートされたが,2011年から再度ルールが変わり,8〜9本ノミネートが続いている。今年は昨年より1本減って8本だった。前哨戦の映画賞やメディアでの世評では『ノマドランド』が大本命のようだ。紹介記事中でも書いたが,楽しい映画でなく,好きにもなれない。登場する現代のノマドを羨ましくもなければ,同調も感動もしない。ただし,この映画の企画力と実行力には感心した。こういう映画があってもいいかと思う。対抗視されている『ミナリ』は,好い映画の部類には入ると思うが,平凡で,この程度の良作はどこの国にもあると思う。さりとて他に有力な対抗馬がないので,予想としては『ノマドランド』に★に近い感覚で◎をつけておこう。個人的な好みは『シカゴ7裁判』が一番で,☆印をつけるが,受賞はしないと思う。
 ●監督賞部門:上記と同じ意味で,『ノマドランド』のクロエ・ジャオが大本命だ。昨年に続きアジア系監督というのがニュース・バリューになる。その点は『ミナリ』のリー・アイザック・チョンも同じだが,女性監督というのもオスカー獲得にとって加点要素だろう。政治的には米中対立時代だが,映画業界はリベラルだから,彼女が中国国籍であることはさほどマイナスにはならないと思う。むしろ政治と文化は別だとのアピールになるかも知れない。ここも対抗馬はなしだ。
 ●主演男優賞部門:『マ・レイニーのブラックボトム』(20年Web専用#6)を観終わった瞬間,チャドウィック・ボーズマンのオスカー獲得を確信した。遺作に相応しい鬼気迫る演技だった。高齢者の名優に敬意を表して『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスを○にしておくが,この◎と○はかなりの差がある。
 ●主演女優賞部門:『プロミシング・ヤング・ウーマン』(20)のキャリー・マリガンが本命視されている。日本では夏公開というこの映画をまだ観ていないので,評価できない。既に観た中では,『マ・レイニーのブラックボトム』のヴィオラ・デイヴィスに一票を入れておきたい。『ノマドランド』のフランシス・マクドーマンドの3度目の主演女優賞はないだろう。製作者の1人として,作品賞の舞台に立てばいいじゃないかと誰もが思うはずだ。
 ●助演男優賞部門:ここも本命を選べない。2人ノミネートされている『Judas and the Black Messiah』を日本では見られないからだ。観た中では,強いて選べば『あの夜,マイアミで』(21年Web専用#1)でサム・クックを演じたレスリー・オドム・Jrを☆にしておこう。ルックスは本人に全く似ていなかったが,歌唱力を高く評価しておきたい。
 ●助演女優賞部門:『ファーザー』のオリヴィア・コールマンも悪くないが,本命視されているのは『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』(21年Web専用#1)の祖母役グレン・クローズだ。過去7回もノミネートされているので,その過去の貢献も考慮に入れて,筆者も彼女に一票だ。『ミナリ』にも何か賞を与えなくてはと考える会員がいるなら,この部門が有望で,主人公の母を好演したユン・ヨジョンにも票が集まるだろう。家族内の位置づけはG・クローズと相似形であり,共に1947年生まれの「団塊の世代」の老婆対決である。
 ●脚本賞部門:この部門でも,未見の『プロミシング…』と『Judas and…』が気になるが仕方がない。観た3本の中では,当然一番気に入りの『シカゴ7裁判』を推したい。
 ●脚色賞部門:候補5作品はすべて観ている。勢いからすると,『ノマドランド』が★予想となる。個人的には,作品賞候補作以外でノミネートされている『ザ・ホワイトタイガー』(21年Web専用#1)に一票を入れたい。
 ●撮影賞部門:ここも素直に『ノマドランド』が本命◎だ。最多ノミネートなのに他に何も獲れそうになかったら,せめてこの部門でと思う会員が『Mank/マンク』を推してくれるだろう。
 ●美術賞部門:モノクロ化に適した美術セットの工夫で『Mank/マンク』に◎,家庭内の調度類の見事な配置で『ファーザー』に○だ。
 ●メイキャップ&ヘアスタイリング賞部門: 『ヒルビリー・エレジー…』の多数の出演俳優を実在の人物に似せたメイクの腕で本命◎だ。本邦公開予定のない2本『Emma.』(20)『Pinocchio』(19)は当然未見で,全くレベルが分からない。そのいずれかが受賞したら止むを得ない。
 ●衣装デザイン賞: ここでも上記の未見の2本がノミネートされているので,まともな予想ができない。既に観た『ムーラン』(20年9・10月号)『Mank/マンク』『マ・レイニーの…』の3本で無理に優劣をつけてもいいのだが,頭1つ抜けた作品はなく,予想はやめておこう。
 ●編集賞部門:好きな映画でないと言いつつも,やはりこの部門でも『ノマドランド』を本命◎にしてしまう。過去の実録映像を頻出させて,その時代を思い出させる『シカゴ7裁判』も捨てがたく○にしておこう。
 ●音響賞部門:今年から録音賞と音響編集賞が一本化されて「音響賞」になった。主人公の聴力を衰え,人工的な聴力を演出して聞かせてくれた『サウンド・オブ・メタル…』が,断然の本命◎だ。
 ●主題歌賞部門:珍しく本命なしの年だ。さほど優れた主題歌はなかった。GG賞受賞の『これからの人生』(21年Web専用#1)の主題歌も悪くないが,『あの夜,マイアミで』のエンドソング「Speak Now」を◎に推したい。これはオリジナル曲だが,劇中でサム・クックのヒット曲を歌ったレスリー・オドム・Jrの歌唱力も加味されて票を集めるのではないかと思う 。
 ●作曲賞部門:トータルで『ソウルフル・ワールド』(20年Web専用#6)が◎だろう。そのサントラ盤ガイドでも詳しく書いたように,オリジナルスコア,電子音,ジャズのバランスが絶妙で,総合的に頭1つ抜けている。全く曲調は違うが,『この茫漠たる荒野で』(21年Web専用#1)のオリジナルスコアも西部劇らしい味のある映画音楽だった。
 ●国際長編映画賞部門:かつての外国語映画賞が,昨年からこの名称になった。例年2,3本は既に日本でも公開されていて,観ているのだが,今年の5本は全く未見である。内2本の本邦公開はまだ少し先のようで,残る3本はその予定すらない。この部門にソフィァ・ローレン主演の『これからの人生』がなかったのが不思議だった。実質的にはイタリア映画だが,各国から1作品だけが出品されるというルールがあるので,米国籍のNetflixが世界に独占配信した本作はイタリア代表作になれなかったのかと想像している。

 
 
 
当欄にとっての主要2部門の予想

 (2021年4月13日記,4月24日付記)

 
  ●長編アニメ賞部門
 いつもなら日本で未公開の,題名すら知らなかった欧州製のアニメが何本か入っているのだが,今年は候補作5本をすべて既に観ている。力作揃いで,紹介記事では『ウルフウォーカー』(20年Web専用#5)にも☆☆☆評価をつけたのだが,今年は『ソウルフル・ワールド』が断トツであり,大本命の敵なしと見る。
 本作は年末にDisney+での配信だったが,今年の特例措置に救われた形だ。ピクサー史上の最高傑作であり,音響賞,作曲賞にもノミネートされているくらいだから,総合力で他の4本とは格が違う。今年のこの部門は実に楽な予想だった。
 ●視覚効果賞部門
 最も予想を外しては行けない部門なのだが,思い入れのある作品を推してしまうためか,結果的に結構外れている。今年は別の意味で予想しにくかった。VFX大作の大半が公開されずに越年しているのだから,本来この部門に出揃うべき作品の名前がない。公開された中では『ワンダーウーマン 1984』(20年Web専用#6)が一番かと思ったのだが,ノミネートされなかった。
 世評では『TENET テネット』(20年9・10月号)が本命のようだ。他の大作がどんどん逃げ出して行く中で,当初予定通りの劇場公開に踏み切ったクリストファー・ノーラン監督の映画人魂に票が集まることだろう。筆者がこの作品のVFXを余り評価しない理由は,紹介記事に書いた通りだが,★の意味で本作が受賞すると予想しておく。
 ノミネートが予想外だったのは,その存在すら知らなかった『ゴリラのアイヴァン』(21年Web専用#2)だ。後追いで,最近ようやく眺めたが,主役のCG製ゴリラの感情表現が素晴らしい。これを願望の☆にしておこう。
[付記]もう1本『Love and Monsters』も存在を知らなかった映画で,日本公開はないものと考え,触れなかった。ところが,4月14日からNetflixで『ラブ&モンスターズ』の題名で配信されているではないか。嬉しい誤算だ。早速眺めたが,青少年向きの楽しい怪獣映画である。これは次の5・6月号のメイン欄で紹介することにしよう。ただし,VFX技術としての評価は『ゴリラのアイヴァン』の方が上なので,予想印は変わらない。
 
 
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以上をまとめると,以下のようになる。
・作品賞:

◎『ノマドランド』

☆『シカゴ7裁判』

・監督賞:

◎クロエ・ジャオ ~『ノマドランド』

・主演男優賞:

◎チャドウィック・ボーズマン~『マ・レイニーのブラックボトム』

○アンソニー・ホプキンス 〜『ファーザー』

・主演女優賞:

☆ヴィオラ・デイヴィス ~『マ・レイニーのブラックボトム』

・助演男優賞:

☆レスリー・オドム・Jr ~『あの夜,マイアミで』

・助演女優賞:

◎グレン・クローズ ~『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』

○ユン・ヨジョン ~『ミナリ』

・脚本賞:

☆『シカゴ7裁判』

・脚色賞:

★『ノマドランド』

☆『ザ・ホワイトタイガー』

・撮影賞:

◎『ノマドランド』

○『Mank/マンク』

・美術賞:

◎『Mank/マンク』

○『ファーザー』

・編集賞:

◎『ノマドランド』

○『シカゴ7裁判』

・メイキャップ&ヘアスタイリング賞:

◎『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』

・音響賞:

◎『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』

・主題歌賞:

◎『あの夜,マイアミで』

○『これからの人生』

・作曲賞:

◎『ソウルフル・ワールド』

○『この茫漠たる荒野で』

・衣装デザイン賞,国際長編映画賞:

予想なし

・長編アニメ賞:

◎『ソウルフル・ワールド』

・視覚効果賞:

★『TENET テネット』

☆『ゴリラのアイヴァン』

 
 
◆付記:受賞結果を振り返って

 (2021年4月27日記)

 
 ■ 的中率は良くないのだが,昨年のようなハズレ感はない
 ◎か★印が受賞する的中とするなら,昨年は17部門予想での9部門的中だったが,「過去数年で最低である。いくらお遊びとはいえ,これでは情けない」と書いている。その計算で行けば,今年も同じ17部門予想で,的中は7部門に過ぎない。○印を入れてようやく10部門だ。ところが,昨年のような惨敗の敗北感はなく,あまりハズレ感がない。
 まず,受賞作が未見で,不戦敗と言えるのが3部門もあった。そして,当欄にとって主要部門と言える「作品賞」「監督賞」「長編アニメ賞」「視覚効果賞」の4部門で,昨年は3部門をハズしたのだが,今年は全勝だった。このため,あまり自信もなく,適当に予想した部門でのハズレには,敗北感を感じないのかと思う。
 意外かつ少し快感だったのは,授賞式の大トリでの出来事だ。例年なら「作品賞」の発表が最後なのに,なぜか今年はそれが最後から3番目であり,「主演女優賞」「主演男優賞」の受賞者発表が後に続いていた。「主演男優賞」は『マ・レイニーのブラックボトム』の故チャドウィック・ボーズマンが大本命視されていたので,彼が受賞すれば,在りし日の映像を流し,関係者が壇上に上がって,涙ながらに追悼の弁を述べる演出を考えていたのかと想像する。
 ところが受賞したのは,『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスだった。同部門の最高齢者受賞という話題性はあったものの,本人は会場には出席していなかった。誰も壇上に上がらず,本人のビデオメッセージ,代理人のスピーチもないという有様で,すっかり白けたエンディングだったようだ。
 筆者の予想は,(上述のように)C・ボーズマンを本命◎,A・ホプキンス対抗○で,「この◎と○はかなりの差がある」と書いている。そう付記したものの,「我ながら,よく○で入れておいたものだ」と,少しこそばゆい感じなのである。これでは,敗北感など感じようがない。
 受賞作の分布を眺めると,最多受賞数は『ノマドランド』の3部門だ。これは少ない。過去数十年で「作品賞」「監督賞」の同時受賞作で,3部門というのは最低数だ。しかも前評判通りの本命だった作品としては,意外なほどの少なさだ。どの予想でも,他に余り有力作もなく,「作品賞」はこれで仕方ないと思っただけで,映像作品のクオリティとしてはさほど抜けた存在ではなかった訳だ。
 近年は,各部門の授賞は作品賞ノミネート作に分散される傾向にある。各映画は,何か1つは取れることが多いが,今年は『シカゴ7裁判』だけが無冠に終わった。筆者のお気に入りであっただけに,少し残念だ。

■ 予想印毎の結果
(a) ★が受賞:視覚効果賞
「視覚効果賞」と「脚色賞」の2部門に★をつけ,前者だけが的中した。同じ部門に◎と★を同時につけないという制約を課しているが,2部門にしか★をつけなかったのは,今年は予想合戦も低調で,個性溢れる作品がしのぎを削っている感じがしなかったからだろう。
 当欄にとっての特別な「視覚効果賞」が★に収まったので,まさに読み通りだった訳だ。これも全体としてハズレ感が少ない主要因なのかと思う。来年は,もっとVFX大作同士が高いレベルでぶつかり合って,その中で的中/ハズレに一喜一憂したいものだ。

(b) ◎が受賞:作品賞,監督賞,美術賞,音響賞,作曲賞,長編アニメ賞
 上記の総括で述べたように,昨年と12部門に◎をつけて,的中は1つ少ない6部門だった。自信をもって◎単独しかつけなかったのに外れたのは,「メイキャップ&ヘアスタイリング賞」だけだった。「音響賞」「作曲賞」「長編アニメ賞」は,まずまず順当な結果である。さほど本命視されていなかった「美術賞」の『Mank/マンク』が当たったのは,少し気分がいい。

(c) ○が受賞:主演男優賞,助演女優賞,撮影賞
 ◎をつけた12部門の内,7部門だけに○もつけた。接戦を予想しての保険で,競馬で言えば,単勝を2点買いするか,馬連を買うような感じだ。結果は3部門的中だったが,何といっても達成感は「主演男優賞」に尽きる。配当1倍台の大本命が飛び,2番人気に配当が7〜8倍もついた感じだ。その逆に,「助演女優賞」は本命の噂が高かった『ミナリ』を対抗扱いにしかせず,かろうじて収支は僅かなプラスだった感じだ。

(d) ☆が受賞:なし
 6部門に「これが選ばれれば嬉しいという願望」で☆を付けたが,結果は受賞ゼロだった。一昨年もゼロで,昨年は5分の1だったから,筆者の「願望予想」など滅多に当たらないということだ。

(e) 無印が受賞:主演女優賞,助演男優賞,脚本賞,脚色賞,編集賞,メイキャップ&ヘアスタイリング賞,主題歌賞
 ハズレ6部門の内,「助演男優賞」「主題歌賞」の『Judas and…』,「脚本賞」の『プロミシング…』は未見だったので,「ハズレ」というより,「不戦敗」扱いが妥当だろう。「主演女優賞」のF・マクドーマンドは,受賞しても不思議はないが,「さすがに3度目の受賞はない」と考えたので,見事なハズレだ。
「メイキャップ&ヘアスタイリング賞」は,主要登場人物のそっくりメイクを高く評価して『ヒルビリー・エレジー…』にしたのだが,『マ・レイニーのブラックボトム』が受賞した。V・デイヴィスの堂々たる演技に「主演女優賞」で☆印予想をしたのだが,本編紹介時には「実在のマに似せるため,メイクで無理に老けさせ,大胆に太らせている。もの凄い迫力だ」と書いている。正直言って,すっかり忘れていた。思い出していれば,この部門で○印をつけたのに…というのが,少し口惜しい,負け惜しみの言い訳である。
 
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