head
titlehome略歴表彰学協会等委員会歴主要編著書論文・解説コンピュータイメージフロンティア
| TOP | CIFシネマフリートーク | DVD/BD特典映像ガイド | 年間ベスト5&10 |
title
 
O plus E誌 2019年7・8月号掲載
 
その他の作品の短評
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
   『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』:韓国の工作員が,北朝鮮の核開発を探るスパイ・ストーリーだ。現代の話ではなく,1990年代の朝鮮半島の南北政治情勢が克明に描かれている。日本人には馴染みが薄いが,軍事政権から見た金大中の扱いなどは理解できる。元軍人のパク・ソギョン(ファン・ジョンミン)は「黒金星」というコードネームを与えられ,ビジネスマンを装って北に潜入し,機密情報収集することを命じられる。主人公は実在の人物だが,交渉相手の北のリ所長はかなり脚色されているのだろう。当時の北京の町やホテル,北朝鮮の大通りや会議室は,まるで本物のようだ。将軍様・金正日はシンボル的にちらっと登場するのかと思ったら,出番も多く,セリフも沢山あった。そっくりさん俳優が演じ,体形,表情,声色までも生き写しだ。これは笑える。監督はユン・ジョンビン。終盤のサスペンスの演出は見事で,結末もうまくまとめている。
 『ポラロイド』:日本ではメイン欄の『チャイルド・プレイ』と同日公開になったが,同じラース・クレヴバーグ監督の作品で,本作が長編デビュー作である。自身の短編ホラーを長編化しただけあって,よく練れた作品に仕上がっていた。女子高生バード(キャサリン・プレスコット)がアンティーク・ショップで古いポラロイドカメラを入手するが,このカメラで撮影された友人達が次々と悲惨な死を遂げる。写真を焼けば,被写体の人物の身体に火がついてしまう…。ハイテク度では『チャイルド・プレイ』に負けるが,逆にポラロイドの名機SX-70というのがミソだ。こちらはしっかり怨霊が取り憑いている。一体どうやってこの怨霊を退治するのかが楽しみだが,悪くないアイデアだった,目の肥えたホラーファンを満足させる新趣向としては,まずまず合格点だ。サスペンス重視で,あまり怖くない。CG/VFXの使用度は低いが,本作にはこれで十分だ。
 『東京喰種 トーキョーグール【S】』:人肉を主食とする種族「喰種(グール)」と人間の戦いを描いた前作(17年8月号)は,テーマはグロテスクながら,見どころの多いダークファンタジーだった。人間との混血の「半喰種」であるカネキ(窪田正孝)が主人公で,彼の葛藤や行動にも素直に感情移入できた。本作はその続編で,題名には【S】が付されている。パートナーのトーカ役は,前作の清水富美加が出家騒動で降板し,山本舞香が抜擢されている。存在感の敵役は,美食家の喰種である月山習(松田翔太)で,本作は「喰種 vs. 喰種」がテーマだ。メイン欄で紹介するつもりだったが,期待を裏切る出来映えだった。ドラマ性に欠け,CGの使用量も減り,アクション演出も2流だ。同じ松竹作品の『ザ・ファブル』(19年5・6月号)とは雲泥の差である。なぜここまで劣化したのか,脚本家も監督も入れ替えたせいだろう。3作目を作る気なら,元に戻すべきだと進言したい。
 『存在のない子供たち』:衝撃と感動の映画だ。舞台は中東のレバノンで,12歳の少年が両親を訴えた裁判の場面から始まる。両親が出生届を出さなかったため,彼にはIDもなく,真摯な愛情も注がれなかったため,自分を生んだこと自体を告発している。中東の貧困や移民問題を浮き彫りにした作品で,現地出身の女性監督が描いたフィクションだが,まるで実話,まるでドキュメンタリー映画のように感じてしまう。それもそのはず,自ら弁護士役を演じた他は,出演者は全員素人で,それも役柄に近い貧民や移民を起用したという。ゲームやスマホにばかり興じる若者には,(淀川長治さんじゃないが)もっとこういう映画を観て,世界を知り,文化や社会を学べと言いたくなる。主演の少年と1歳の赤ん坊の演技が驚異的だ。一体,どうやって撮影したのかと思う。観ていることがつらい物語だが,最後に救いがある。信じる者が救われるという,陳腐な言葉が浮かんだ。
 『よこがお』:主演は筒井真理子だが,なぜ脇役専門の目立たない,地味な中年(初老)女性が主演なのかと不思議だった。『淵に立つ』(16)の深田晃司監督が,最初から彼女をイメージして脚本を書いたのだという。共演は市川実日子と池松壮亮。ともに好きな俳優だ。冒頭の美容院のシーンだけで,美容師役の池松壮亮はまた年上の女性リサ(筒井真理子)と深い仲になると想像した。実際,その通りに進行するとも言えるし,少し違うとも言える。市川実日子が演じる基子はもっと重い役で,リサがかつて市子と名乗っていた時代に2人は密接な関係にある。現代から始まり,時代を往き来して,次々に色々な事実が明るみに出て来る。市子/リサの髪形で区別しないと,どちらの時代だか分からなくなる。まるでミステリーであり,ヒューマンサスペンスだ。傍若無人なマスコミの振舞いはよく描けている。人間模様は納得の行くことばかりで,味わい深い邦画だった。
 『ブレス あの波の向こうへ』:オーストラリアの西南海岸沿いの小さな町を舞台にした青春映画で,14歳の少年2人がサーフィンを通して成長して行く物語だ。豪州出身で,現在はハリウッド映画で活躍し,TVシリーズ『メンタリスト』の主演で人気を得たサイモン・ベイカーの初監督作品である。同国の代表的作家ティム・ウィントンの自伝小説を気に入り,自ら製作・脚本も担当し,少年2人を導く元プロサーファーのサンドー役も演じた。平凡な両親の下で育った内向的な少年パイクレットと無鉄砲な友人のルーニーが,存在感のある謎めいた男サンドーと美人妻のイーヴァ(エリザベス・デビッキ)に魅せられて行く。思春期の少年の心を的確に描いている。雄大な海の大波でサーフィンに挑むのは3人だけで,どう見ても本人達が演じている。S・ベイカー自身もプロ級の腕前であり,少年2人は演技未経験の上級サーファーから選んだという。納得だ。
 『あなたの名前を呼べたなら』:インド製のラブストーリーで,舞台は発展著しいム大都市ムンバイ(旧名ボンベイ)だ。地方の村出身で未亡人のメイドが,米国帰りで婚約破棄した富豪の跡継ぎの世話をする。広く豪華なマンションに2人で住む内に,心を通わせるのは自然の成り行きだ。普通ならシンデレラストーリーだと浮き浮きして観るところだが,インドではまだまだ道ならぬ「身分違いの恋」らしい。使用人たちは外出から帰ると,靴を脱いで裸足で過ごし,食事は床に座って食べる。そんな陋習の中で,本作を自立する女性の物語として描くのは,CA, NY,パリに在住経験のあるインド人女性監督で,これが長編デビュー作である。豪華邸宅のインテリアやメイドが作る料理も目を引くが。当然,2人の恋の結末が気になる。まさか,オープンカーに乗り,花束を持って彼女を迎えに来たりはしない。ラストが秀逸だ。題名の意味は,そこで初めて判る。
 『ピータールー マンチェスターの悲劇』:丁度200年前に英国マンチェスター市で起きた「ピータールーの虐殺」の様子を克明に描いた映画だ。政府軍による一般民衆の制圧・殺戮で,誰もが30年前の中国・天安門前広場を思い出す。監督は英国の名匠マイク・リーで,当欄では『家族の庭』(10)を激賞した監督だ。何しろ映像がリアルで,当時の衣装,民家,馬車,軍隊の装備等を徹底して再現している。脚本賞だけでなく,数々の撮影賞・美術賞を受賞しているのも頷ける。ラスト30分の広場での集会・制圧シーンが圧巻だ。長回しの1テイクではないが,そう思わせる臨場感で,まるでライブ映像だ。ただし物語自体は退屈で,ラストのイベントのために2時間待った感がある。英国人の議論好き,屁理屈好きの国民性が表われている。上流階級は国民を愚弄し,最後の王妃の言葉「愛しのイギリスは何処へ行く?」は,そっくり迷走する現在の英国に当て嵌まる。
 『カーライル ニューヨークが恋したホテル』:NYマンハッタンで活躍する芸術家を描いたドキュメンタリーは多数紹介してきたが,本作の主役はセレブ達が愛する高級ホテルである。アッパー・イースト・サイドに建つこのホテルの名前は知らなかった。英国王室ご用達であり,J・F・ケネディ大統領はマリリン・モンローとの情事に利用したホテルとの噂もある。「ダイアナ妃とマイケル・ジャクソンとスティーブ・ジョブズが同じエレベーターに乗り合わせた」と聴くだけで驚く。紹介に気取りはなく,ジョージ・クルーニーやハリソン・フォードらの常連客や従業員が語るインタビューは楽しく,このホテルを愛する気持ちがストレートに伝わってくる。高層階の客室からの眺めは絶景で,装飾や調度類はまさに芸術品,レストランやバーの雰囲気は言葉に表せない。大半の勤続数十年の従業員達の笑顔が魅力的だ。宿泊の機会はないだろうが,至福の90分だった。
 『マイ・エンジェル』:フランス映画で主演はマリオン・コティヤール,舞台は南仏コート・ダジュールの海辺の街と聞くと,燃えるような恋愛映画を想像するが,実体は全く違った。彼女が演じるのは自堕落なシングルマザーのマルレーヌで,どうしようもないダメ女だ。あろうことか,再婚の披露宴を抜け出し,別の男とのセックスに興じているところを新郎に見つかって破談になる。実質の主演は8歳の娘エリーで,何と平気で常習的にアルコールを飲む。それもワイン,ウィスキー,カクテルと何でもござれだ。いくら何でも,この描写はやり過ぎだ。その分,孤独なエリーが父親に見放された男・フリオ(アルバン・ルノワール)と心を慰め合い,擬似親子関係になる過程がいじらしい。学校でも路上でも,激しいイジメに遭う。これも現代社会の一面だ。監督・脚本はこれがデビュー作となるヴァネッサ・フィロ。女性監督らしい視点で,エンディングを締め括っている。
 『永遠に僕のもの』:最近邦題を褒めることが多いが,これもその範疇の一作だ。1971年のアルゼンチンを舞台にした青春クライム・ムービーで,原題は『El Angel』だ。金髪で天使のような顔をした少年は,天性の窃盗犯であり,友人の犯罪者一家と交流する内に,平気で殺人も犯すようになる。12人以上を殺害し,強盗は数十件,逮捕に至るまでの間,警察が何をしていたのか全く描かれない。主人公の視点だけで,物語と犯罪行為が淡々と進行する。主人公が,強烈で独善的な美意識に浸っている様子を描いているのだろう。何1つ,主人公には全く同意できないし,感情移入することもなかった。強いて言えば,平凡かつ実直な両親に同情したくなった。こんな息子をもったことが,さぞかし嘆かわしいことだろう。音楽も強烈だった。1970年前後にヒットしたロックやラテンの名曲が数々流れる。とりわけ印象的だったのは「朝日のあたる家」で,アニマルズの演奏とは言語も歌詞も異なっていたが,心に滲み入った。
 『KESARI/ケサリ 21人の勇者たち』:本号は格別に製作国が多彩だが,本作は2本目のインド映画だ。1897年の壮絶な「サラガリの戦い」を描いた戦争スペクタクルで,主演は『パッドマン』(18)のアクシャイ・クマール。小さな砦で大軍を迎え撃つのは,テキサス独立戦争の「アラモの戦い」を思い出すが,人数が違う。アラモ砦は約250人を数千人のメキシコ軍が攻めたが,こちらは砦を守る21人のシク教徒分隊を,何と1万人の部族連合が一斉攻撃する。154分の長尺だが,筋立ては分かりやすい。当然ミュージカル・シーンはあり,砦の遠景や大軍の兵士等を,しっかりCG/VFXで描画しているのが嬉しい。21人が散り行く様を,見事なアクション演出で描いている。映画黄金時代のオーソドックスな娯楽巨編の作り方で,好感が持てた。終盤の激しい戦いの後,少し哀愁を帯びたエンドソングが流れるのは,やはり『アラモ』(60)を手本にしているなと感じた。
 『ロケットマン』:2年前なら,誰もが米国大統領が北朝鮮の独裁者を揶揄して言った蔑称(愛称?)だと思っただろうが,勿論,本作はそれとは無縁だ。若者は知らないだろうが,英国の人気歌手エルトン・ジョンのヒット曲名で,全盛期の1970年代前半の1曲である。彼の半生を描いた音楽伝記映画で,主演は『キングスマン』シリーズなどのタロン・エガートン。およそ似ていないと思ったが,ド派手な衣装と眼鏡だけでエルトンに見える。外連味たっぷりステージを盛り上げた姿も見事に再現している。監督は『ボヘミアン・ラブソディ』(18)の監督降板後の後始末を引き受けたデクスター・フレッチャー。当然,彼もT・エガートンも,同作でのラミ・マレックのパフォーマンスを意識したことだろう。伝記映画としては同作を凌ぎ,『Ray/レイ』(04)に迫る出来映えだが,主演男優自らが全曲を歌っている分,評価は上だと言える(別項も参照のこと)。
 『ザ・ネゴシエーション』:韓国製のクライム・サスペンスで,ソウル市警危機交渉班の女性警部補が交渉人として,多数の人質をとった凶悪犯と向かい合う物語だ。バンコクとソウル間をビデオ会議で中継して交渉し,様々なハイテク機器を駆使して犯人を割り出す等の工夫はあるが,交渉人と犯人のやりとりに面白みがない。交渉人がプロと思えないし,説得できない,危機が迫るという切迫感がない。同系統の『交渉人』(98)『交渉人 真下正義』(05)には遥か及ばないし,米倉涼子が女性交渉人を演じた『交渉人 THE MOVIE 』(10年2月号)にも負けている 主演女優ソン・イェジンはNHKの桑子真帆アナ似だが,さほど美人ではないし,何よりもこの役に向いていない。犯人役のヒョンビンのイケメン度も韓国映画の平均以下で,犯人らしくない。韓国映画初の交渉人ものという点でも脚本の完成度が低く,監督イ・ジョンソクもこれが監督デビュー作だという。
 『ガーンジー島の読書会の秘密』:第2次世界大戦直後の1946年,英国王室領でフランス寄りの島が舞台となっている。ナチスドイツに占領されていた大戦中に始まり,戦後も続いているという読書会に興味をもった女流作家のジュリエット(リリー・ジェームズ)は,単身この島に取材に出かける。ところが,読書会の発起人であったエリザベスの姿はなく,誰も彼女のことを語りたがらない……。気品ある美人女優が主演で読書会がテーマであっても,文芸調の映画ではなく,むしろミステリータッチで物語は進行する。殺人事件を追う訳ではないが,女流探偵ぶりは,アガサ・クリスティを生んだ国だと感じさせる。美しい島の景観は観光映画の側面もあるが,その半面,ドイツ軍に占領された怨念も感じさせる。主人公ジュリエットは,自分の意志をしっかり持った現代風女性として描かれていて,終盤のラブロマンスは観客の大半が予想する形で収束する。
 『引っ越し大名!』:題名だけで,松竹配給の『超高速!参勤交代』シリーズの時代劇だと分かる。原作者も同じ土橋章宏で,史実を基にしながら,時代小説に現代のサラリーマン社会に通じる素材を盛り込んでいる。幕府から減封での国替を命じられた各藩の立場は,さしずめ親会社の意向で事業所移転,縮小均衡経営を強いられた子会社で,思い切った断捨離やリストラが必須となる。本作はコメディタッチで,インド映画風のミュージカル・シーンが何度も登場する。そこそこアクションもあれば,ほろりとさせるヒューマンドラマの味付けもある。主役の引き籠りの書庫番を演じるのは,人気ミュージシャン,エッセイストの星野源で,好演だ。俳優としても十分に主演の力量があることを示している。共演は,高橋一生,高畑充希,濱田岳らで,それぞれの持ち味を犬童一心監督が引き出している。エンタメとしては上々の出来映えで,シリーズの次回作も楽しみだ。
 『やっぱり契約破棄していいですか!?』:この長い題名は,邦画のお馬鹿映画かと思ってしまった。英国製のコメディだったが,オフザケ度は相当なものだ。自殺願望だが失敗続きの小説家の青年(アナイリン・バーナード)と腕が鈍って廃業寸前の暗殺者(トム・ウィルキンソン)の2人が主人公である。殺し屋の勧誘に応じ,彼らは1週間以内に命を奪うことを契約する。ところが,彼女が出来,小説家としての見込みも生じたことから,青年は契約破棄を申し入れるが,殺し屋は聴き入れてくれない…。暗殺者組合の描写が馬鹿馬鹿しく,呆れて,笑える。およそクールさとは無縁で,さすがMr.ビーンを生んだ国だと納得する。2組のカップルが織りなすエピソード,辻褄合わせが楽しい。このまま単純なハッピーエンドはないなと予想できるが,オチが良かった。さて,落ち目の英国のブレグジットはどんな着地をするのか,この映画に負けないオチを期待したい。
 『フリーソロ』:殆ど予備知識なしにこの映画を観て驚いた。チラシ写真から山岳映画と分かっていて,実話ベースの物語かと想像したが,実話も実話,これまでに観た最高のドキュメンタリー映画の中に入る。全く用具に頼らず素手で岩壁を登る「フリークライミング」は知っていて,「フリーソロ」はその単独登攀のことかと思ったら,何と,命綱すら着けずに断崖を登る究極の冒険だった。被写体はこの分野のスーパースター,アレックス・オノルドで,目指すは米国ヨセミテ国立公園のエル・キャピタン。驚くべき絶壁だ。眼下に見える景色は頗る美しく,彼女も飛び切り可愛い。いきなり無謀な挑戦をするのではなく,綿密に下見し,一挙一動を計算した上で4時間以上かけて登る。それでも同業者の大半は落命しているという。終盤の緊迫感はどんなサスペンス映画よりも凄い。観ているだけで足が竦み,手に汗し,肩に力が入った。本作が今年のアカデミー賞受賞作であることは,観賞後に知った。当然の受賞だ。
 『SHADOW/影武者』:中国の巨匠チャン・イーモウ監督の最新作で,黒澤明作品の影響があるのかと思ったが,全くそれは感じなかった。「三国志」中の逸話「荊州争奪戦」を基にしているが,時代設定と登場人物を借用しているだけで,大胆な脚色で原形を留めない。炎国からの領土奪還を願う沛(ペイ)国の都督とその影武者(ダン・チャオの2役),都督の妻・小艾が物語の中心をなす。『HERO 』(02)『LOVERS 』(04)の主要スタッフ再結集というが,大作は不得手という感があった。その後の『王妃の紋章』(06)『グレートウォール』(16)でも,装飾過多で大味な演出を見せていた。一転,本作の美術はユニークで,見どころ満載だ。屋内のセットも屋外の景観も,まるで墨絵のようなグレートーン一色である。傘形状の金属製武器での戦いも独創的だった。武侠アクションというよりアクロバット・ショーに近い。なるほど,北京五輪開会式の総合演出の経験がここで活きていた。
 
   
     
  ()  
   
  Page Top  
  sen  
 
back index next