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O plus E誌 2016年8月号掲載
 
 
インデペンデンス・デイ:リサージェンス』
(20世紀フォックス映画)
      (C) 2016 Twentieth Century Fox Film Corporation
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [7月9日よりTOHOシネマズ スカラ座他全国ロードショー公開中]   2016年6月30日 TOHOシネマズなんば[完成披露試写会(大阪)]
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  前作のファンの目を意識した20年ぶりの続編  
  本作の米国公開は6月24日,本邦での公開は7月9日だから,本号が出る頃には既に2週間以上が経過している。宣伝効果を考えると,配給元が米国の独立記念日前後の公開を選ぶのは当然だが,月刊誌掲載の当欄の締切日とは相性が悪く,7月号に間に合わなかった。通常なら,Webページでの後追い掲載で済ませてしまうのだが,少し遅れてでも,誌上で語っておきたい作品である。VFX映画史上に残る記念碑的作品『インデペンデンス・デイ』(96)の20年振りの正統な続編であるので,その間のCG技術進歩や類似作品との比較も含めて論じておきたい次第だ。
 VFX映画史上で位置づけるなら,『ターミネーター2』(91)『ジュラシック・パーク』(93)で劇場用映画へのCG利用が一気に注目を集め,その後の金字塔『タイタニック』(98年2月号)『マトリックス』(99年9月号)が現れるまでの間に登場したSF娯楽大作である。それまでにも,宇宙からの侵略者の恐怖を描いた作品は存在したが,空を覆う巨大な宇宙船のCG描写が斬新かつ圧倒的で,アカデミー賞視覚効果賞を受賞している。
 製作・脚本は,まだ無名だったローランド・エメリッヒとディーン・デブリンのドイツ人コンビで,エメリッヒが監督を務めていた。ラッパーとして人気を博していたウィル・スミスが空軍大尉を演じ,映画でも一躍ブレイクした作品でもあった。まさにピッタリ20年後を描いた本作に彼は登場しないが,その間にテスト飛行で死亡したという設定で,肖像画だけが飾られていた。ただし,前作で恋人のジャスミン役だったヴィヴィカ・A・フォックスが,今度は未亡人役で登場している。
 本作の主演は,新しいパイロット役のリアム・ヘムズワースと恋人役のマイカ・モンローだが,旧作の俳優たちも多数登場する。マザーシップ破壊作戦を立てた天才科学者デイビッド(ジェフ・ゴールドブラム)は地球宇宙防衛部長の要職にある。自らパイロットとして侵略者と闘ったホイットモア大統領(ビル・プルマン)は既に引退しているが,エイリアンの再襲来を察知して駆けつける。その他,デイビッドの父親(ジャド・ハーシュ)や変人科学者オーキン博士(ブレント・スパイナー)らも再登場させるという徹底ぶりで,前作の熱烈なファンへのサービス精神に溢れている。
 物語はエイリアンがアフリカに残した宇宙船が20年後に覚醒し,SOS信号を発して仲間を呼び寄せるという設定だ(写真1)。前作で直径880マイルだった宇宙船は,本作では約3.5倍の3,000マイルと巨大化している。その分だけ地球攻撃も峻烈を極め,後はR・エメリッヒ監督お得意のディザスター・ムービーが展開する。確か『2012』(09年12月号)の時,「この種の映画はこれで最後だ。もう2度と作らない」と言っていたはずなのに,やはり戻って来た訳だ。
 
 
 
 
 
写真1 20年ぶりに覚醒した宇宙船が再び地球を襲う
 
 
  以下,当欄の視点からの感想とコメントである。
 ■ 単に地球人も漫然と20年間を送ってきた訳ではない。宇宙人の再襲来に備え,前回彼らが残した宇宙船の技術を転用した地球防衛システムを開発していた。という物語設定や,防衛本部内の機器や月面基地のデザイン,重力を自在に操る侵略者の科学力に解説等,SF映画としての体裁は整備されている。その点では十分合格点だ。エイリアンの醜悪度は,まぁこんなものだろう。
 ■ そうであるのに,世界の主要都市の破壊シーン(写真2)に魅力を感じないのは,もうこの種の災害映画や宇宙人襲来映画を何本も観てきたためだろう。上記『2012』の他にも,すぐに『宇宙戦争』(05年8月号)『地球が静止する日』(08)『第9地区』(10年3月号) 『世界侵略:ロサンゼルス決戦』(11年4月号)『カリフォルニア・ダウン』(15年9月号)が思い浮かぶ。この間,CG/VFX技術が格段に進化し,利用度合いも増えているので,もはや少々過激な攻撃であっても,さして感心しなくなっている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
写真2 これだけの破壊シーンでも,もはや驚かない
(C) 2016 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.
 
 
  ■ 破壊されたビルや橋が,空に舞い上がる描写は上述の『X-MEN:アポカリプス』の方が良くできている。本作のVFX主担当はエメリッヒ作品常連のUncharted Territoryで,他にScanline FX, Weta Digital, MPC, Cinesite,Digital Domain等も参加している。
 
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  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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