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O plus E誌 2003年4月号掲載
 
 
『デアデビル』
(20世紀フォックス映画)
 
       
  オフィシャルサイト[日本語] [英語]    2003年3月5日 20世紀FOX試写室  
  [4月5日より全国東宝洋画系にて公開予定]      
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  VFXで勢いづくアメコミ・ヒーローの映画化  
   3作目はまたまたアメコミ・ヒーローの映画化作品だ。『X-メン』(00)『スパイダーマン』(02)のヒットに味をしめて,マーヴェル・コミックの人気キャラが続々とスクリーンで活躍する。この夏には,ユニバーサル映画からILM担当の『超人ハルク』が登場する予定だ。なるほど視覚効果の充実により,スーパーヒーローの活躍振りが容易に描けることができ,アニメでなく実写映画としての大作に仕立てやすくなったといえよう。
 この映画のヒーロー「デアデビル」とは,深紅のマスクとコスチュームに身を包んだ正義の味方で,司法の目をくぐり抜けた犯罪者に制裁を加えるヒーローだ。その正体は,盲目の弁護士マット・マードック。少年時代に事故で視覚を失った代わりに,他の四感や運動能力が超人レベルに発達しという設定である。超能力度においては,スーパーマンやX-メンの面々には劣るが,スパイダーマンとはいい勝負だ。昼は真面目な弁護士で,夜になるとデアデビルに変身するが,彼らが同一人物であることは愛する彼女も知らない,という定番のパターンだ。
 監督・脚本は,脚本家出身でこれが監督2作目となるマーク・スティーブン・ジョンソン。主演のデアデビル役は『アルマゲドン』(98)『パール・ハーバー』(01)のベン・アフレック。昨年の『トータル・フィアーズ』(2002年8月号)でのジャック・ライアン役の好演が印象深かった。ヒロインの格闘技の達人エレクトラ・ナチオスを演じるのは,『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2003年3月号)にも登場していたジェニファー・ガーナー。TV番組での人気女優らしいが,映画でもこの役でブレイクだ。敵役のキングピンとブルズアイは,『グリーンマイル』(99)の死刑囚ジョン・コーフィ役の大男マイケル・クラーク・ダンカンと,『マイノリティ・リポート』(02)でウィットワー調査官を好演したコリン・ファレルで,豪華な脇役陣を揃えている。
 VFXは約500シーンとたっぷりで,担当もリズム&ヒューズ,デジタル・ドメイン,ピクセル・マジックの他数社が関わっている。質・量ともに水準以上だが,定番の使い方がほとんどで,特筆すべき用法は見かけなかった。NYを想定した街は,実際のNYとLAを撮影してそこにCGの目立つビルを建てているし,夜景のシーンのほとんどはCG映像だ。写真1はスケッチ画だが,ほぼこのイメージに近く仕上がっていた。ただし,その高層ビルの谷間へのダイブ・シーンは凡庸で,もう一工夫あっても良かったかと思う。ブルズアイが投げる手裏剣風のさまざまな武器や落下するバラの花もCGだろう。
 ワイヤー・アクションはかなりいい出来で,スタント・チームが100数十名というのも驚くに値する。ただのワイヤー場面だけでなく,ブルーバック等で撮影したアクション・シーンが高層ビル群の背景にうまく合成されていた。主演の2人も,このアクションをそつなくこなしていて,呼吸もあっていた(写真2)。
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写真1 ニューヨークのビルに立つデアデビル(スケッチ画)。映像もほぼこのイメージ通りの出来栄え。
(c)2003 Twentieth Century Fox.
  写真2 主演の男女のアクションと相性は悪くない
 
     
  ハラハラしないし,スカッともしない  
 
キャスティングもVFXも悪くなく,アクションもたっぷりあるのに,盛り上がりに欠けた映画でした。
スケールは『スパイダーマン』の方が上ですが,主演の男女の魅力はこちらの方が上でした(笑)。雨の中のラブシーンは似てましたけどね。
この種のヒーローものも,少し見飽きましたよ。
デアデビルになってもワクワクしない,危機に瀕してもハラハラしない,悪人をやっつけてもスカッとしない,という三ない映画です(笑)。
監督は脚本家なのに,脚本が悪いと感じますね。
自分で撮ると,間の取り方が難しいんでしょう。
VFXシーンもこんなに沢山あるのなら,もう少し面白く使っても良かったのにと思いました。強いていえば,視覚以外の感覚を総動員して周りを認識する「レーダーセンス」の描き方でしょうか
残り四感あるというけど,聴覚が中心でさしずめ,ソナーイメージングによる可視化という感じですね。
これだけモノクロ調で超音波画像みたいでした。
エッジ強調画像をちょっと加工した感じで,私ならもっと凝った素晴らしい映像を作り出しますけどね。
と,酷評してしまったのですが,それでも米国では興行的には成功で,早速続編を作るそうです。
登場人物の設定は悪くないから,監督と脚本を替えれば,2作目以降期待できるかも知れません。
『ハムナプトラ2』から生まれた「スコーピオン・キング」のように,「エレクトラ」だけ独立させたシリーズも考えられているみたいです。
男性ファンにとっては,その方が楽しみです。
 
   
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