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O plus E誌 2003年3月号掲載
 
 
『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
(ドリームワークス・ピクチャーズ/UIP配給)
 
       
  オフィシャルサイト[日本語][英語]   2003年1月24日 イマジカ試写室  
  [3月21日より全国東宝洋画系にて公開予定]      
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  '60年代ファッションと懐かしのメロディ  
   監督はスティーブン・スピルバーグ,レオナルド・ディカプリオとトム・ハンクスの2大スターの共演となると話題を呼ばないわけはない。『マイノリティ・リポート』『ギャング・オブ・ニューヨーク』など,正月映画で名前を見かけたばかりと思ったのに,もう次の作品かと驚く。主演俳優は年2作,脇役は年3〜4作は不思議ではないが,監督がこのペースで映画を作るのは驚きだ。
 早撮り得意のスピルバーグとはいえ,撮影期間56日は驚異的だ。入魂の『A.I.』『マイノリティ・リポート』が興行的にイマイチだったので,少し肩の力を抜いて再登板ということか(写真1)。巨匠となると独りよがりの難解作を作りたがる傾向があるが,さすが彼だけは大衆路線を堅持している。この映画には,スピルバーグ調よりも弟分のR・ゼメキスっぽいタッチを感じた。
 60年代に活躍した天才的小切手詐欺師の物語で,本人の回顧録に基づいている(写真2)。『スティング』(73)を思わせる知能犯で,「逃げるディカプリオ,追うトム・ハンクス」という宣伝文句から,まんまと逃げおおす痛快譚を予想したが,のっけからその期待は裏切られた。
 
 
写真1 スピルバーグ監督(右)にとっては軽い肩慣らし作品
(c)2002 Dreamworks Pictures. All Rights Reserved.
写真2 実在のフランク・アバグネイルJr.(右)は,今じゃセキュリティ・コンサルタント会社の社長さん  
 
   パンナムの操縦士を装って小切手詐欺を繰り返した19才の少年フランク・アバグネイルJr.(L・ディカプリオ)が,フランスの獄中から受け出され,FBI捜査官カール・ハンラティ(T・ハンクス)にアメリカに護送されるところから映画は始まる。16歳での両親の離婚から現在に至る回想シーンからその後の人生へ続く物語で,4度のクリスマス・イブの描き方が印象的だ。
 音楽も映像も,懐かしい1960年代の徹底した回顧だ。音楽担当は巨匠ジョン・ウィリアムズ。こんな軽い映画に,何となくもったいない。流れるサウンドは,ポール・アンカの「あなたの肩に頬うずめて」,アストラッド・ジルベルトの「イパネマの娘」,ナット・キング・コールの「クリスマス・イブ]等,懐メロ満載で筆者の年代には嬉しくなる。となると,プレスリー,ビートルズ,ビーチ・ボーイズも欲しかった。
 途中いきなりショーン・コネリーのジェームス・ボンドが出て来て驚くが,これは劇中映画のシーンだった。他に『ドクター・キルデア』『ペリー・メイスン』『ミッチと歌おう』など,かつての人気TV番組も続々と登場する。コダック社のカローセル・スライド,全員Yシャツにサスペンダー姿の会議風景,当時としては新しかったセパレーツ水着など,黄金の60年代を懐かしむのは洋の東西を問わず同じらしい。当時乗ったことはないので知らないが,パンナムのパイロットやスチュワーデス・コスチュームも,きっと完璧再現しているのだろう。
 VFXは期待したよりもわずかだった。担当はAsylum Visual Effects社で,パンナム機,TWA機の飛ぶ姿は言うまでもなく,パンナム・ビルはじめ当時のNY市の街風景はデジタル消去と合成の産物だろう。北米各地をロケしたというから,フランスのシーンはカナダのモントリオールかケベック市と思われる。JFK空港は,今は使用していない古いターミナルを撮影したらしい。要となるマイアミ空港はどうしたのだろうと思ったが,カリフォルニア州の古いオンタリオ空港を使ったということだ。
 試写会場では,何度もプロの記者たちの笑いを誘っていた。楽しい。娯楽作品として悪くはない。ただただ懐かしい。でも,それだけの映画だ。コンゲームがテーマなら,もっとあっと言わせる仕掛けが欲しかった。少年と捜査官の心の触れ合いを描きたかったなら,こんな過剰な懐古サービスは要らない。L・ディカプリオは『ギャング・オブ・ニューヨーク』とは全く違った役柄でいい味を出していたが,この程度のシナリオなら,大スターで話題を呼ぶ必要はない。ディカプリオ+ハンクスでなく,マット・デイモン+トミー・リー・ジョーンズでも,キップ・バルデュー+ケヴィン・スペーシーでもよかった。いや,そんなスターでなく,もっと無名の俳優に機会を与えた方がよかったかと思う。
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