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O plus E誌 2003年4月号掲載
 
 
『シカゴ』
(ミラマックス・フィルムズ/ギャガ-ヒューマックス共同配給)
 
       
  オフィシャルサイト[日本語][英語]   2003年2月20日 イマジカ試写室  
  [4月19日より全国松竹系にて公開予定]      
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  ジャズと犯罪の街シカゴをミュージカルで描く意欲作  
   今年はアカデミー賞作品賞候補5作品を,授賞式前に全部観ることができた(『めぐりあう時間たち』だけは本時評では取り上げないが)。中でも予想番付で本命視されているのが,この『シカゴ』だ。既に前哨戦のゴールデングラブ賞のミュージカル・コメディ部門で,作品賞,主演男優賞(リチャード・ギア),主演女優賞(レニー・ゼルウィガー)に輝き,アカデミー賞では12部門,13のノミネート(助演女優賞に2人)を果たした。
 何しろ楽しい映画だ。舞台は1920年代,禁酒法,アル・カポネ,アンタッチャブルで知られるあの時代のシカゴである。主演は,殺人犯の女性2人と弁護士の男性1人だ。ヴォードヴィル界の女王ヴェルマ・ケリー(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)と,彼女に負けないスターになることを夢見るロキシー・ハート(R・ゼルウィガー)は共に殺人を犯して収監される。無罪を勝ち取るべく彼女らに雇われた辣腕弁護士ビリー・フリン(R・ギア)を加えた3人が,歌と踊りを炸裂させるユニークなミュージカル映画である。獄中で悲劇の殺人犯を装い一躍マスコミの寵児となったロキシーが,果たして無罪判決を得ることができるのかがポイントだ。映画は,法廷シーンも含めて面白く楽しく描かれている。
 実話に基づく戯曲を1975年にミュージカル化したのは,ブロードウェイで伝説の演出家ボブ・フォッシーだ。彼が自伝を描いて監督した『オール・ザット・ジャズ』(80)も,楽しく迫力あるミュージカル映画だった。本作品の中でも同名の佳曲が何度か流れる。
 この映画の監督・振付は,現在ブロードウェイきっての振付師と言われているロブ・マーシャル。これが監督初作品と思えぬ見事な出来栄えだ。この映画は登場人物が突如劇中で歌い踊り出す従来のスタイルではなく,それをほぼすべてロキシーの空想シーンとして描いて見せた点が,彼の卓抜なアイデアである。その描き方に気がつくまで少し戸惑うが,やがてその味をじっくり噛みしめることができる。
 このミュージカル映画には,45シーンと少ないながらも,最新のVFX が使われている。カナダのToybox社が担当で,1920年当時のシカゴの光景を描き出すのに,100層以上の合成と高品質のテクスチャ・マッピングを駆使したという(写真)。確かに高架電車や雪の街並みなど数カットはあった。いずれも極端に短く,細部を識別できないくらいの長さだった。上映時間が長くなり,歌を削るわけには行かないので,街頭風景が短縮されてしまったということだろうか。その意味では少し残念だが,映画には影響はない。
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写真 1920年代のシカゴをディジタル合成で再現。左上:ビルのテクスチャは現在のシカゴ劇場の写真を利用,左中と左下:人通りとクラシック・カーはトロントの街で撮影,右:装飾を入れ替え,街頭やライトアップを書き加えた完成映像。(c)2002 Toybox
 
     
  キャサリンの歌と踊りと息を飲む美しさ  
 
断然キャサリン・ゼタ=ジョーンズの方がいいですね。レニー・ゼルヴィガーはちっとも魅力的じゃなく,これでどこが主演女優賞なのかと。
キャサリンの美しさに息を飲むシーンが何度かありました。彼女もリチャード・ギアも,歌も踊りもうまいのに驚きました。単なるスターじゃないですね。
2人ともミュージカル出身だそうですよ。『ムーラン・ルージュ』のニコール・キッドマンとユアン・マクレガーにも驚きましたが,それ以上でした。
空想のミュージカル・シーンは,腹話術,人形劇,タップ,机上や鏡張りの前でのダンスなど,1つずつ工夫を凝らした演出が素晴らしく,まるでラスベガスのショーでした。是非これを舞台でも見たいものです。
舞台でも,もう一度大ヒットするでしょうね。いつもは音響がうるさいイマジカの試写室も,この映画では大満足でした。
ベスト1は,ヴェルマが獄中で歌う『セル・ブロック・タンゴ』でしょう。多数の女性たちが鉄格子越しに踊る様子は,プレスリーの『監獄ロック』(57)へのオマージュでしょうかね。
2人がクライマックスの舞台で歌う『アイ・ムーブ・オン』も,振り付けが素晴らしかったです。
こちらはチャールストンのリズムですね。ヴェルマとロキシーのコスチュームと振り付けには,ピンクレディを思い出してしまいました。
ハハハ,歌も踊りも下手なレニーはケイちゃん,大柄なキャサリンはミーちゃんに似てますね。
MIEも昔は太めで,ボリュームありましたから。
ボリュームといえば,帰りの正面玄関で叶姉妹がタクシーを待っていましたね。
えっ!? 映画に酔いしれて見逃していました。そっちもナマを一度見たかったのに,残念無念!!(笑)
 
   
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