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DVD特典映像ガイド
   
O plus E誌 2009年6月号掲載
   
  『ウォンテッド』
 2枚組。Disc1にも特典が 2つある。「撮影秘話」(7分半)はカーチェイス・シーンの舞台裏で,アンジェリーナが身を乗り出しのけ反るシーンやクルマのジャンプシーン等を語る。「セットの裏側」(7分半)は,プラハの古い工場跡での撮影をシカゴに見せる工夫。この美術への金のかけ方は,ハリウッド映画ならではだ。
 Disc 2 には特典が10種類もあるが,以下の2つが観る価値あり。「特殊効果:実写へのこだわり」(8分半)は,爆発,バスの横転,列車内のシーンのメイキングで,どれも迫力ある。列車を動かさず,橋を動かしていたのには驚いた。「視覚効果:CGと実写の融合」(8分余)は,予想通りプレビズ映像がしっかり作られ,監督の意向を美術部門,スタント部門などに伝えていた。列車の墜落シーンは背景もCGで,露出・焦点等,伝統的な方法を廃してデジタル技術の粋を凝らしている。大量のネズミやアップになる弾丸はもちろんCGの産物だ。
 
   
  『アイアンマン』
 勿論2枚組。Disc 2の8種の特典映像の内,次の2つが出色だ。「製作の舞台裏:私がアイアンマンだ」は1時間49分もある。映画制作のエッセンスが詰まっていて,最近のハリウッド大作はかくして作られるという見本だ。デザイン系の映画制作者は必見だろう。「アイアンマンの視覚効果」(27分弱)も見応え十分だ。監督は現場でのSFX とCGでのVFXの継ぎ目ない融合を目指している。カナダのエンバシー社担当のマーク1のデザインと動き,オルファネージ社担当のマーク2のHead Up DisplayのLook & Feelが印象的だ。そして真打ちはILMの登場。VFX解説でこのボリュームは嬉しい。随所に登場する故スタン・ウィンストン氏が懐かしい。
 
   
  『ゲット スマート』
 2枚組だが,特典の数は多くない。「エージェントになるために」(10分半)は,単なる出演者の語りといくつかのシーン。グリーンバックやアクションシーンでの撮影風景はあるが,特筆すべきものなし。「ここはモスクワ!」(6分余)はロシアでの撮影風景。ギャグもあり,少しだけ面白い。他も笑いをとろうとしているがどれも今イチで,一番充実しているのはNG集だ。
 
   
  『ハンサム★スーツ』
 これも2枚組で,特典ディスクは多彩だが,どれも余り面白くない。スペシャル・コンテンツの中に「VFXメイキング」が2つ(各約3分)あるが,スーツの着脱や背景書き込み等,大したことない。しかも,この2編に重複が多いのは,どういうつもりか?映画は結構面白かったのに,DVDのこのデキは残念だ。
 
   
  『センター・オブ・ジ・アース 3D』
 2枚組。Disc 1が3D映像で,赤緑メガネが4人分ついている。昔ながらのアナグリフ方式なのに,しっかりカラーで見えて,立体感も結構あるのに感心した。Disc 2が通常2D版+特典映像で,全部でたった20分の特典だが,質は悪くない。「地球の中心へようこそ」(10分余)は,地球空洞説の歴史的経過だが,これが結構面白い。「ジョシュについて」(6分)は少年が浮遊する岩に乗るシーンのメイキング,「恐竜について」(3分弱)は恐竜のよだれの作り方の裏話だ。
 
   
  『WALL・E/ウォーリー』
 2枚組で,Disc 1にも特典映像があり,短編CGアニメ2編とサウンド・デザインの話が楽しめる。Disc 2も内容はかなり充実している。前2作『カーズ』『レミーのおいしいレストラン』の特典がプアだっただけに,これは嬉しい。「ファミリー向け」と「映画ファン向け」に大別されているが,当欄では後者のみを紹介する。
 「製作の舞台裏」の中に6編あり,全部観ると40分以上もかかる。「1ショットを支えるクリエーターたち」では,ピクサー社のクリエータたちがこの作品にかけた熱き想いをたっぷりと聴ける。「アクシオム艦の住人」「すべてがロボット」「ウォーリーとイヴ」でも,造形,映像表現,こだわり等が満載だ。「映画ファン向け」というより,「映像クリエータ志望者向け」と言うべきか。「BNL社内ビデオ集」は,ウォーリーが所属する清掃会社のPV風のパロディ映像で,この遊び心にも拍手したい。そして圧巻は「ピクサー・ストーリー・スタジオの軌跡」で,何と1時間半もある長尺である。アニメ史,3D-CG映像史としても価値ある記録だ。
 
   
 
   
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