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            plus E誌 2012年10月号掲載 |  |  | 
  
   
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    |  | (注:本映画時評の評点は,上から    ,   ,  ,  の順で,その中間に  をつけています。) |  | 
   
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    |  | 苦肉のサイドストーリーだが,シリーズの一貫性堅持 |  | 
   
     |  | 題名からすぐ分かるように,大人気を博したCIAの暗殺者『ボーン』シリーズの最新作である。前作『ボーン・アルティメイタム』(07年11月号)の公開前には,3部作の完結編との触れ込みだった。この人気シリーズを簡単に終わらせる訳がないと思ったが,案の定,新作が登場した。ところが,当たり役のジェイソン・ボーン=マット・デイモンが主演ではない。007シリーズのように,ジェームズ・ボンド役の主演男優を数本おきに変えつつ続けるスタイルかと思いきや,本作の主人公はジェイソン・ボーンですらないという。それでいて,題名が『ボーン…』とは摩訶不思議な作品だが,その背景事情を少し探っておこう。 ロバート・ラドラムの原作は映画通りの3部作で,彼は既に2001年に逝去している。ところが,ラドラムの死後に,エリック・ヴァン・ラストベーダーが跡を継ぎ,「ボーン・レガシー」(2004)を手始めに,現在までに6作を著しているという。それじゃ,シリーズ継続には何の問題もなかったはずだが,2作目『ボーン・スプレマシー』(05年3月号) 以降を担当した監督のポール・グリーングラスが降板した。監督交替は珍しくもないが,マット・デイモンまで「彼なしで,この役を演じることはあり得ない」と言って降りてしまった。よほど相性がいいらしく,『グリーン・ゾーン』(10年5月号) で3度目のコンビを組んでいる。
 それでも,ユニバーサルはマット・デイモンの再登板を諦め切れないらしく,さりとてシリーズにあまり間を空けたくないのか,前3部作の裏側で同時進行する極秘計画があったという設定で,サイドストーリーを映画化することに決定した。ジェイソン・ボーンは顔写真が登場するだけだから,これはラストベーダー作の「ボーン・レガシー」とは無関係で,題名だけ借用という商魂に基づいている。とはいえ,CIA関係者役の助演陣もスタッフも前作と同じで,シリーズとしての一貫性は保っているので,ファンには納得できる範囲だ。
 監督・脚本は,ジョージ・クルーニー主演の『フィクサー』(07)で監督デビューを果たしたトニー・ギルロイ。元々脚本家で,前3作すべての脚本に参加しているから,シリーズの一貫性を保つには最適の人選である。J・ボーンに代わる主人公は,「アウトカム計画」で人体改造を受けた工作員アーロン・クロスで,『ハート・ロッカー』(09)のジェレミー・レナーがキャスティングされた。オスカー受賞後も,『ザ・タウン』(10)『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11) で銀行強盗や国家機密任務チームで存在感のある役を演じている。先月号の『アベンジャーズ』では,弓の名手ホーク・アイ役で登場していたことも記憶に新しい(写真1)。
 
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              | 写真1 いま最も旬の男優で,アクションもこなせるのはこの人 |  |  | 
   
   
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    |  | ヒロインは,工作員の体調管理を行うシェアリング博士で,『ナイロビの蜂』(05)『アレクサンドリア』(09)のレイチェル・ワイズが演じる。もう40歳を過ぎたベテランだが,少し痩せたのか,ますます知的で綺麗になったなと感じる(写真2)。アーロンの抹殺を命じるバイヤー司令官役はエドワード・ノートンで,こちらは少し老けて貫禄ができ,したたかな敵役もよく似合う(写真3)。 
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              | 写真2 もはやベテランの域だが,清楚で凛々しい |  |  | 
 
   
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              | 写真3 すっかり貫録がつき,冷徹な敵役もよく似合う |  |  | 
  
   
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    |  | 計画発覚を恐れるCIA本部から追われる身となった主人公が,鍵を握る女性科学者を伴って激しいバトルを繰り広げる展開は,全くお決まりのパターンである。それでいて,ファンを失望させない出来をキープしているのは,脚本の腕だろう。J・ボーンの名前が何度も出てきて,シリーズの一部であることを強調し過ぎなのがクサイが,単発のアクション・サスペンスとしても,十分合格点の作品だ。次回作以降で,マット・デイモンも加わった続編を観たいものだ。以下,CG/VFXを含む本作の見どころである。 ■ 前作に引き続きDouble NegativeがVFXの主担当だ。今や超一流となった同社が手がけるだけあって,一見そうと分からない良質のインビジブル・ショットが多い。比較的分かりやすいのは,序盤の雪の山中でアーロンを襲う遠隔操縦機だ。模型かなと見えるシーンもあるが,大半はCG だろう。険しい雪山の一部や小屋の爆発もVFXの産物だと観てとれた。
 ■ 人体改造を受け,強靭な肉体を得ただけあって,J・ボーン以上の身体能力を発揮する。岩山を素早くよじ登り,ビル間を飛び移ったり,ジャンプするシーン(写真4)は,ワイヤーアクションだろう。香港製の格闘シーンとは一味違っていて,小気味いい見せ場だ。Level 256 Visual Effectsが,このパートを担当している。
 
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              | 写真4 ポスプロで,ワイヤーとスパイダーカムを消している |  |  | 
       
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    |  | ■ 中盤以降,舞台はフィリピンのマニラへと移る。このアジアの雑踏の中でのアクション・シーンが素晴らしい(写真5)。その中での,バイク・チェイスは映画史に残る迫力だ。プレビズもVFXも多用されていることは容易に想像できるが,全くスチル写真が公開されないのが,当欄としては残念至極だ。 
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              | 写真5 マニラの雑踏の中でのバイク・アクションは出色 (C) 2012 Universal Studios. All Rights Reserved.
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    |  | (画像は,O plus E誌掲載分を入替・追加しています) |  | 
   
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