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DVD特典映像ガイド
   
O plus E誌 2009年2月号掲載
   
  『ミラクル7号』
 1枚ものだが,特典映像は沢山ある。ただし,ゲームが入っている等,全体的に子供向きで,本欄の読者が観るに足るのは下記の2件だけだ。「TVスペシャル映像」(22分余)は,「製作の舞台裏」(14分弱)との重複も多いが,こちらの方がメイキング映像として優れている。後半はずっとCG/VFXの解説で,ナナちゃんの表情合成の苦労話などもある。「トイレシーンの分析」(7分弱)は,トイレシーンだけに特化した制作過程の解説で,人形を使って撮影し,ポスプロでCGに差し換えている。PreVizをうまく活用すればもっと効果的なのに,全く使っていないのは中国のVFX事情の限界か。
 
   
  『ナルニア国物語/第2章』
 2枚組。「製作の舞台裏」と総称した特典が,未公開シーンとNG集以外に8点もある。「スケールを増した《第2章》の製作」(35分弱)は,普通のメイキング形式だが,撮影風景,メイク,美しいロケ地や大人数のエキストラ,VFX制作が含まれ,スケールが大きい。「ナルニア国の新たな世界」(24分弱)は,ロケ地探し,大規模なセット作り,内部の装飾,小道具など,第2話に相応しい物語の舞台作りの工夫で,これもハイレベルだ。「イメージの視覚化」(10分余)はプレビズの話題だ。CGのレベルは低いが,この監督はスタッフへの物語の説明に使っている。「ポストビズ」なる言葉は,撮影後の映像にプレビズを重ねる意味に使われている。「トランプキンを演じる」(5分弱)「ニカブリクの1 日に密着」(11分余)は,2人の小人役者への密着取材で,顔面の型取りやメイクの様子が描かれている。
 
   
  『カンフー・パンダ』
 1枚もの。これも全体的に若年層向きの作りで,ゲーム風のものが多い。「特典映像」中にある「メイキング」(7分)は,短いがフルCGアニメの制作過程が集約されている。才能のあるクリエータ達が情熱を込めて丁寧に作っているのが読み取れる。「特典映像」とは別に「めざせ!カンフー・マスター」なるメニューがあり,カンフー入門,効果音,ダンス,ミュージック・ビデオ等が含まれていて楽しい。サービス精神も旺盛だ。
 
   
  『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』
 2枚組。このDVDを買うとデジタルコピーのダウンロード権がついている。Disc 1に2点,Disc 2に9点もの特典映像がある。本欄の読者にとって最重要なのは,「視覚効果の秘密」(23分弱)で,ILMのクリエータの技術解説が延々と続く。見応え十分で,相変わらず,模型とCGの使い分けが上手い。VFX関係者必見だ。「撮影スタート前」(12分弱)はプリプロの概要で,最近スピルバーグがPreVizにご執心なのが感じ取れる。当の「プレビズ映像」は3編あり,カメラワーク,カット割りが,かなり綿密に事前決定されているのに驚く。 「製作日誌」は1時間20分もあり,その他の映像も各10分強で結構長い。興味深い内容も多々あるが,よほどのマニア以外は早送りでも十分だろう。
 
   
  『スピード・レーサー』
 2枚組。Disc 2に特典は4点あるが重複も多い。「スプライトルと行く撮影の舞台裏」(14分弱)は,子役が65日間の撮影期間中にスタッフを訪ね歩いて取材する想定だが,着想や構成は悪くない。美術,小道具,VFX,スタント,衣装など,興味深く描いている。「メイキング」(27分半)は,スタッフの語り中心で,背景に多彩な映像が流れる。改めて,これだけの最新技術を何と下らない映画に使ったのかと感心する。背景映像の制作法は参考になる。他の2点は,敢えて観る必要なし。
 
   
  『ダークナイト』
 勿論2枚組。特典は予告編とギャラリー以外に大きく3項目だが,その下が細分化されている。「メイキング」は5項目あるが,どれも中身が濃く,語りも見事だ。「撮影風景」(9分弱)の冒頭部で,監督のIMAXカメラでの撮影への思い入れが語られている。バスを解体してビル内に運び込んだのにも驚いた。「世紀の大追跡」(15分半)は,撮影のスケールが圧倒的で,特撮とCGの合わせ技も納得できる。「ダークナイトの裏側に迫る」(15分半)では,まずジャンプシーンのスタントは圧巻! 衝突シーンやビルの爆破も凄い本物志向だ。他にも色々語りたいが紙幅がない。この特典映像を観るたびに,本編を見直したくなること必至だろう。
 
   
  『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』
 これも2枚組で,Disc 2に特典が8点もある。「メイキング」(23分弱)では,セットが大きくて立派なのに感心する。VFXシーン撮影風景が再三登場し,合成前合成後を併置で見せてくれる。「ジェット・リー:皇帝の変貌」(8分)の皇帝が泥を吐いて土偶になるシーン等は,いい出来だ。他の特典映像もボリュームがあり,丁寧で,監督やスタッフの情熱が込められている。ただし,上記の『インディ…4』や『ダークナイト』を観た後では,全体的に緩く,安っぽさを感じてしまう。映画本編もそうだったが,やっぱり監督が2流だ。
 
   
 
   
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