O plus E VFX映画時評 2024年8月号掲載
(注:本映画時評の評点は,上から,,,の順で,その中間にをつけています)
■『赤羽骨子のボディガード』(8月2日公開)
若者のキラキラムービーは苦手で,まずパスするが,ヤンキーものなら許せる。ヤンキー漫画は日本のコミック市場の一大ジャンルであるから,当然,その実写映画化も数多い。女性ヤンキーの『地獄の花園』(21年5・6月号)を気に入って,男性ヤンキーの『東京リベンジャーズ』シリーズや『OUT』(23年11月号)も取り上げた。当欄で網羅的に紹介する気はないが,一味違った作品があればと思っていたところに,この映画である。原作は丹月正光作画の同名コミックで,主人公の茶髪とルックスを見たら,完全なヤンキー映画だと思ったのだが,少し違っていた。本作では,半グレ不良集団のバトルはない。主人公は高額賞金がかかった少女を魔の手から守るボディガード役だった。それでも不良高校生が悪漢どもと戦うことに変わりはないが,クラスメート全員がボディガードで,知らぬは本人だけという驚くべき設定である。漫画ならではのストーリーで,完全にコメディだ。
主人公の威吹荒邦(ラウール)は,錚々児高校3年生の生粋のヤンキー男子だが,幼馴染みの赤羽骨子(出口夏希)に淡い恋心を抱いていた。ある日,国家安全保障庁長官の尽宮正人(遠藤憲一)に呼び出され,同級生の骨子を本人に知られないよう,秘かに警護するよう依頼される。実は,骨子は認知されていない尽宮の実の娘のであり,100億円の懸賞金がかけられたため,それを知った殺し屋集団に狙われているという。荒邦は早速,怪しい殺し屋が骨子に近づかないよう対策を練るが,次第に分かって来たのは,級長の染島澄彦(奥平大兼)はじめ,級友全員が骨子のボディーガードであった。空手家,柔道家,変装家,忍者,潜水士,剣士,罠師,スナイパー,ハッカー,詐欺師等々の一癖も二癖もある面々で,彼らが司令塔・染島の指揮の下,傭兵軍団を煙に巻き,蹴散らかす……。クライムムービーというより,青春学園エンタ-テインメントの色合いが強い。
主演のラウールは,アイドルグループ「Snow Man」のセンター兼モデルで,191cmの長身が際立っていた。純白のスーツ&ネクタイに黒シャツ姿がよく似合う。こんな制服の高校生などあるのかと思ったが,これは原作通りだ。ヒロインの出口夏希は,正統派の可憐な美女で,『あの花が咲く丘で,君とまた出会えたら。』(23年12月号)では,軍の指定食堂に魚を届け,特攻隊員に恋する乙女を演じていた。さすがに「骨子」なる名前は奇妙と思ったが,原作では実の父親・尽宮が「ヤクザの組長」だというので,それでこの名前かと納得した。
本作の最大の見どころは,この尽宮を演じる遠藤憲一の演技とルックスである。名脇役であることは最近のCMでも強調されているが,かつての悪役中心から,最近は人情派の良い人を演じたり,コミカルな脇役も見事にこなす。それでも最もハマり役は,冷徹無比な暴力団幹部だ。だからと言って,原作通りの組長にはせず,お堅い公職の長官にして,ヤクザも顔負けの驚くべきメイクで登場させているのが,驚きかつ笑える。監督は『変な家』(24)の石川淳一,脚本はTVドラマ『半沢直樹』の八津弘幸だが,このコンビの洒落っ気が気に入った。
■『ブルーピリオド』(8月9日公開)
コミックが原作の邦画が続く。こちらもほぼ予備知識なしで試写を観た。本作の主人公も茶髪で,今度こそピュアなヤンキー映画を期待したのだが,もっと意外な主人公の映画であった。彼は,両親の意向を忖度し,周りの空気も読み,学業成績は優秀で,何と藝大受験を目指すという異色青春映画である。監督は『東京喰種 トーキョーグール』(17年8月号)の萩原健太郎で,脚本はTVアニメ版の吉田玲子が引き続き担当した実写映画である。
主人公の高校生・矢口八虎(眞栄田郷敦)は,卒なく器用に生きてきたが,生きているという実感はなく,バイトと良からぬ仲間との深夜から明け方までの飲み会に興じる日々だった。ところが,上の空で聞いていた物理の授業で,いきなり教師から当てられて正解を答えられるとは,かなりの頭脳の持ち主である。母親(石田ひかり)から,経済的理由で進学は国立大学だけと言われ,素直に納得するのは,実力に自信があるからのようだ。ある日,美術授業で「私の好きな風景」と言う課題を出され,困った挙句,「明け方の青い渋谷」を描く。美術教師・佐伯昌子(薬師丸ひろ子)から褒められ,自分でも達成感を感じる。美術部の部室を訪れ,先輩・森まる(桜田ひより)の絵を見て衝撃を受け,八虎は一気に美術への興味が高揚し,のめり込んで行く。正規の部員になって何枚もの絵を描き,美術予備校にも通い始め,そして遂に東京藝術大学絵画科受験を決意する…。
挑戦対象のシンボルとして東大突破をテーマとした漫画は昔からいくつもあったし,漫画家なら美大・芸大受験を題材としたくなるのも理解できる。ところが,武蔵美や藝大の実名を出し,その入試日程や受験時の課題までもリアルに描いた実写映画が登場するとは驚いた。劇中でも語られるが,藝大・絵画科は倍率約200倍という超難関である。予備校でも本番試験でも,主人公だけでなく,ライバル受験生の絵画が何枚も登場する。それらは誰が描いたのだろう? その芸術的な視点からの優劣,技量の差は,素人の観客だけでなく,プロが見ても納得できるものでないと,物語は成立しない。少なくとも,筆者の目から見て及第点であったから,専門家の監修を受け,優秀作はプロが描いていたに違いない。受験本番の課題「裸体画」で八虎が描いた絵は,最後に目を入れただけで一気に輝きを増した。演出には感心したが,この絵自体はさほど感心する出来映えと思えなかった。
この種の青春映画の結末は,誰でも想像できるだろう。これほどのリアリティのある物語なら,さぞかしコミック原作者は芸術的素養があるはずだと思ったが,果たせるかな,原作者「山口つばさ」は,女性だったが,東京藝大絵画科の出身者だった。原作コミックを試し読みしてみたが,勿論,漫画自体の絵の上手さは平均以上である。映画中で登場する絵画がコミック中でも何枚か描かれていて,その出来映えも,水彩画で描かれたカラーページも素晴らしく,並みの漫画ではない。今回の映画化で,まだ連載中のコミックも人気を博すことだろう。この映画を観て,最近の高校生はどう感じるのかが知りたくなった。勇気づけられ,本気で自分も東京藝大を目指そうと思うのか,それとも藝大の難関振りは分かっているので,無難な実力相応の美大を選ぶのか,合格しても「たかが漫画家止まりなら」と割り切って,別の道を歩もうとするのか…。この映画の公開を機に,配給会社がアンケートを取ってくれれば有り難いのだが。
■『#スージー・サーチ』(8月9日公開)
不思議な映画だった。テーマは「人は有名になるために,どこまで過激になってしまうのか」だが,政治家や芸能人の物語ではない。普通の一市民の話で,題名中の#記号で分かるように,登場人物達が目指しているのは,SNS世界の中で多数の「いいね!」を獲得し,称賛され,どれだけフォロワーの注目を集めるかである。監督はダークミステリーだと称しているが,ミステリー性は感じられず,ブラックコメディと言った方が適切だと感じた。
主人公のスージー・ウォリス(カーシー・クレモンズ)は,大学に通う黒人女性だが,幼い頃から母が読んでくれる推理小説で,悉く犯人を当てる才能があった。どんな難事件でも解決してみせる自信があり,ポッドキャストを開設し,定期的に犯人発見の手口を配信している。人気が出て収益を得たら,それで家を買うと母に約束している。保安官事務所にも押しかけ,未解決事件解決を手伝うインターンにと売り込む。観客には,本当に天才少女なのか,単なる誇大妄想なのか区別がつかない。
そんな中,同じ大学の同級生で,人気インフルエンサーのジェシー・ウィルコックス(アレックス・ウルフ)が行方不明になる。スージーはお得意の捜査能力を発揮し,拉致候補場所の1つからジェシーを発見する。誘拐犯は捕まっていなかったが,2人でのTV番組出演を要請され,一躍脚光を浴びる。ジェシーやその友人のレイと親しくなるが,突如レイがスージー宅にやって来て,誤解からの揉み合いの中,レイが事故死してしまう。慌てたスージーは巧妙な手口で遺体を隠し,自殺と見せかけることに成功する。その罪悪感で精神不安定になりながら,誘拐犯の発見の調査を進める内,スージー自身に危機が迫る。果たして,彼女は生きて帰れるのか…。
カラフルな映像と不穏な音楽でスリラー性を高めようとしているが,人を喰ったようなタッチに戸惑った。それでも,一体この物語の着地点はどうなるのかの興味は尽きなかった。スージーの危機を救ってくれる人物は容易に予想できたが,映画の結末は驚くべきものだった。いやはや,ミステリーではなく,コメディとしか言い様がない。スージーの犯した犯罪は不問でいいのか? インスタセレブリティに固執する現代社会への警告だというが,誰に対する警告なのだろう? SNSでの名声や炎上に過剰反応するZ世代以降は,ネット記事や動画は眺めても,この種の劇場公開映画を観に行くとは思えない。
主演のK・クレモンズは,『アンテベラム』(21年9・10月号)では,暴行され流産する妊婦を演じていたが,本作では愛らしい女子学生に見える。保安官事務所やバイト先でのスージーの扱いには,黒人の少女ゆえと思える描写があった。この斬新な風刺タッチから,監督はきっと若い黒人女性で,これがデビュー作なのだろうと予想した。果たせるかな,監督・脚本のソフィー・カーグマンは,年齢は不明だが,LA拠点に活動する若い女優兼脚本家だった。監督デビュー作であることは当たっていたが,美形の白人女性だった。本作の前身である同名の短編では,自らスージー役を演じていたという。筆者の予想能力は,スージーには敵わなかったようだ。
■『ボレロ 永遠の旋律』(8月9日公開)
当欄が積極的に取り上げる世界的な芸術家の伝記映画だ。音楽関係では歌手,演奏家が中心だが,作曲家は最近エンニオ・モリコーネを賞賛したドキュメンタリー『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(23年1月号),レナード・バーンスタインを描いた『マエストロ:その音楽と愛と』(24年1月号)を取り上げている。ピュアなクラッシック畑の作曲家となると,過去にあったかどうか定かでない。本作は,世界中で15分に1回演奏されるという不朽の名曲「ボレロ」の誕生秘話を描いた劇映画である。
音楽に明るくなく,曲名は知らなくても,そのメロディだけは,ほぼ誰もが聴いたことはあるはずだ。作曲家と出身国,何世紀に作られたかまでは案外知られていない。筆者の場合,フランスのモーリス・ラヴェルの作であることは知っていたが,てっきり19世紀の作品だと思っていた。ラヴェルは1875年生まれだが,「ボレロ」の作曲は1928年で,1937年に他界している。印象的なスネアドラムの音で行進曲と思われがちだが,元がバレエ音楽であったことは知らなかった。
M・ラヴェル(ラファエル・ペルソナ)は1900年代に既に大作曲家として名をなしていたが,1920年代のフランスは前衛的な新しい音楽への興味が高まり,ラヴェルは最先端ではなく,スランプに陥っていた。そんな中,彼はロシア出身の高名なバレエ演者で振付師のイダ・ルビンシュタイン(ジャンヌ・バリバール)から,彼女が主演するスペイン人役のための新しいバレエ曲の作曲依頼を受ける。彼は1928年の前半,アメリカ各地で演奏旅行を行い,黒人霊歌やジャズに感銘を受けるが,帰国後も作曲は遅々として捗らなかった。物語は,幼少期からの母親の想い出や第1次世界大戦の従軍経験の回想シーンを交え,イダからの矢の催促への対応,彼がミューズと崇める人妻のミシア(ドリヤ・ティリエ)との微妙な関係が詳しく描かれている。そして,試行錯誤を得て,遂に希代の名曲「ボレロ」が誕生し,パリ・オペラ座での初演で華々しい賞賛を受けるが,彼の心は次第に病に蝕まれ,苦悩の終末期を送る……。
物語としてはさほど面白くなかったが,映画の冒頭で様々な音楽アレンジで登場する「ボレロ」とそれに合わせたダンスが印象的だった。クライマックスのバレエ舞台もまさにエロチックだったが,「ボレロ」のクレッシェンドとマッチし,見事な盛り上がりを見せていた。
一方,この時代の音楽は貴族や富裕層のためのものであり,ラヴェル自身も発明家兼実業家の父をもち,音楽の高等教育を受けている。時代の描き方,建築物,登場人物は気品に溢れていた。ラヴェルは上記2人の女性に加え,家政婦からも影響を受けるが,彼女にも存在感があった。この描き方から,本作も監督・脚本は女性に違いないが,若い監督ではとてもこれだけの映画は作れないと確信した。伝記映画『ココ・アヴァン・シャネル』(09年9月号),フランス人女性医師がポーランド人修道女を救う『夜明けの祈り』(17年8月号)のアンヌ・フォンテーヌだった。フランスを代表するベテラン女性監督で,それなら女性を描くのは大得意だ。音楽学者の父をもち,パリでダンスを学び,女優デビューの後,脚本家,監督に転じたという経歴の持ち主であるから,還暦を過ぎてから本作に取り組んだのは納得できる。
■『ニューノーマル』(8月16日公開)
欧州の上流階級を描いた後は,一転して韓国製のホラー映画である。Kホラーと言えば,先月『怪談晩餐』(24年7月号)を取り上げたばかりだが,本作と比べて見るのも面白い。『怪談晩餐』は新旧5人の監督による計6話のオムニバス形式で,各話は独立していた。本作も全6話だが,『コンジアム』(18)等,ホラー映画では実績のあるチョン・ボムシク監督1人による作品で,各章の登場人物は少しずつ繋がりがある構成となっている。心霊現象による怪談的な要素はなく,殺人事件までであり,スタイリッシュなスリラーと言った方が適切だ。
チラシや公式サイトでは,各章の主人公の6人(男女各3人)の名前が強調されている。あの『冬のソナタ』(02)の主演女優のチェ・ジウの久々の映画出演で,『イカゲーム』(21)でブレイクしたイ・ユミの名前もあり,新旧美女2人が注目の的である。筆者は全く名前すら知らなかったK-Popグループ「SHINee」のチェ・ミンホ,同じくアイドルグループ「Block B」のピョ・ジフン,国民的歌手のチョン・ドンウォンの映画出演も,韓国人にとっては関心を引くキャスティングのようだ。
6月というのに首都ソウルには雪が降り,女性が標的の連続殺人事件のニュースから物語は始まる。第1章で,高級マンションで独り暮らしのヒョンジョン(チェ・ジウ)の部屋に火災報知器の点検と称する中年男がズケズケと入って来て,一向に帰ろうとしない。おいおい看板女優がいきなり殺されるのか,と観客を身構えさせておいて,意外なオチとなる。なるほど各章はこの手口なのかと理解する。お目当てのチェ・ジウは,あと何度か姿を見せるとだけ言っておこう。1人のシリアルキラーによる連続殺人事件で,犯人の凶行を描き,正体を暴く映画を想像したのだが,全くそんな展開ではなかった。
少し面倒なことに,各章には章題名の他に,順に「2日目」「3日目」「1日目」「3日目」「2日目」「1日目」の記載があった。となると克明にメモをとって,時間軸移動と複数の章で登場する人物の相関関係を正確に把握しないと物語の全容が把握できないのかと思ってしまうが,そこまでの必要はない。映画の進行順に素直に眺めていても,結構楽しめる。個人的には第6章「ラストチャプター ろくでもない人生」に登場し,コンビニのバイト店員ヨンジンを演じたハ・ヨジンをすっかり気に入った。ボムシク監督に見出された期待の新人女優だそうだ。こちらはしっかりメモをして,覚えておきたい。
この映画では,何を「ニューノーマル」としているのかよく分からなかった。額面通り受け取るなら「身近な出会いの裏に潜む恐怖」「あなたの日常にも忍び寄る悪夢」を,ネット社会が生み出す「新常態」と言いたいようだ。余り恐怖は感じなかったが,コミカルな音楽と意表を突く展開が織りなす現代風映画であった。
■『エア・ロック 海底緊急避難所』(8月16日公開)
今月のメイン記事『ツイスターズ』の中で,1970年代にヒットしたパニック映画ブームのことに言及した。全作に触れる訳に行かないので割愛したが,航空機トラブルを描いた「エアポートシリーズ」も大人気だった。ユニバーサル映画配給で『大空港』(70)から『エアポート’80』(79)までの4作品が作られ,機種も危機要因も主演俳優も異なっていたが,必ず助演でジョージ・ケネディが登場するというのがご愛嬌で,緊迫感溢れる上質の娯楽映画であった。その後も類似のパニック映画は続々と登場する。実話に基づく『ユナイテッド93』(06年8月号)『ハドソン川の奇跡』(16年10月号)は秀作であったが,大半は密室もののB級作品に留まっていた。
当欄で最後に取り上げた『ロスト・フライト』(23年11月号)は少し毛色が違っていた。嵐と落雷で制御を失った機体は孤島に不時着するが,島を支配していたイスラム過激派ゲリラに乗客・乗員が拉致され,機長と護送中の犯罪者の2人が救出に向うという人質奪還作戦が主であった。本作も早々と事故機は海中に没してしまい,むしろそこで遭遇する別の危機からの脱出が見どころとなっている。製作・脚本は『海底47m』(17年8月号)の製作チームというから,展開は容易に想像できた。そう,破損した機内に凶暴な人喰い鮫が入って来るという,典型的なサメ恐怖からのサバイバル映画である。国内初のサメ映画特化型の映画祭「第一回東京国際サメ映画祭」のオープニング作品というから,筋金入りなのだ。
主人公は加州知事の娘エヴァ(ソフィー・マッキントッシュ)で,男友達2人と卒業旅行に向うが,長年のボディガードも随伴していた。10歳の少女ローザは祖父母とメキシコのリゾート地で過ごすのを楽しみにしていた。こうした人々を乗せた飛行機はメキシコに向かうが,多数の鳥を吸い込んだエンジンが炎上し,機体は高度2万フィートから一気に海底にまで落下する。機体前部が下に30度傾いて座礁したので,安定した空気圧が保てる「エアロック領域」は機体後部だけで,この時点での生存者は7名だけだった。徐々に減りつつある酸素と機体開口部から侵入して来た人食い鮫との戦いの中,果たして何人が脱出して,無事海上に到達できるのか……。
サメの描写は手慣れたものだったが,酸素ボンベや救命具の確保等,航空機映画らしい描写もそこそこあった。鮫に襲われたボディガードが落命した後,男友達やゲイの男性乗務員は全く頼りない。お嬢様であるはずのエヴァと元従軍看護師だったローザの祖母の女性2人が活躍するのは,最近の映画のトレンドと言えようか。サメの描写以外にも, かなりVFXシーンが見受けられた。目を見張る出来映えではなかったが,これで十分である。俳優もVFX担当スタジオも全く無名で,低予算のB級映画であるが,エンタメ映画としては結構楽しめた。
(8月後半の公開作品は,Part 2に掲載します)
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