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O plus E誌 2014年9月号掲載
 
 
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
(マーべル・スタジオズ/ ウォルト・ディズニー・ スタジオ・ジャパン配給 )
      (C) 2014 Marvel
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [9月13日よりTOHOシネマズ日劇他全国ロードショー公開予定]   2014年8月5日 GAGA試写室(大阪)
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  人気シリーズへの発展を予感させる,上々の滑り出し  
  またまた楽しみなシリーズが登場した。それも,またまた快進撃を続けるマーベル=ディズニー組からである。今年はディズニー単独でも『アナと雪の女王』(14年3月号)『マレフィセント』(同7月号)がメガヒットを飛ばしている上に,マーベル・スタジオ分で『アベンジャーズ』シリーズから『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(同2月号)『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(同5月号)があったから,ほぼ毎月のように当欄に登場し,高スコアを得ていることになる。その上また全く別のシリーズを始めようというのだから,その商魂とエネルギーには畏れ入る。ネタはコミック本にいくらでもある訳だが,CG/VFX技術の進歩のお蔭で,今まさに原作コミックを実写映画化しやすい環境が整った結果だと言える。かけるパワーと投資効果のバランスが取れているということなのだろう。
 さて,本作の舞台は宇宙で,主人公は,題名通り「銀河系の守護者たち」の5人組集団だ。それも,刑務所で出会った凶悪犯たちというユニークな設定である。ずらっと勢揃いした立ち姿(写真1)は,マーベル版「白浪五人男」といったところか(中に紅一点,女戦士のガモーラがいるが,弁天小僧のようなものとしておこう)。天才的エンジニア,強靭な肉体の男,女性1人を含む計5人のチームは,かつての人気TV番組『スパイ大作戦(Mission Impossible)』を思い出す。
 
 
 
 
 
写真1 さしずめマーベル版「白浪五人男」の立ち姿
 
 
  5人組と書いたが,普通の人間は3人で,アライグマのロケット(写真2)と樹木型ヒューマノイドのグルートの2人(?)を入れてのことだ。勿論,擬人化された存在で,人間の言葉を話す。とりわけ,ロケットの存在感が大きく,このチームは彼で識別できると言って過言ではない。ロケットとグルートの掛け合いは,ちょっとR2D2とC3POのコンビを思い出す。
 
 
 
 
 
 
 
写真2 存在感抜群なのは,アライグマのロケット
 
 
  チーム・リーダーの「スター・ロード」ことピーター・クイルを演じるのは,クリス・プラット。『マネーボール』(11)『ゼロ・ダーク・サーティー』(12)等,当欄で紹介した数多くの作品に出演しているが,大作ではこれが初の主役だ。イーサン・ホーク似のイケメンだが,どこにでもいる顔で,あまり印象に残らない。他の4人が個性的なので,リーダーには平凡な顔を選んだのだろうか。彼が飛行艇を操縦する姿(写真3)はハン・ソロを思い出すし,トレジャー・ハンターとして革ジャン姿の場合は,これはインディ・ジョーンズだなと分かる。それでいて,宇宙服に仮面姿の場合は,ダース・ベイダーを彷彿とさせる。要するに,「既視感」はものともせず,過去のヒット作品の「いいとこ取り」をして,ひたすら面白さ,痛快さを追求した実写版アメコミなのである。
 
 
 
 
 
写真3 飛行スタイルは,ファルコン号を想い出す
 
 
  監督・脚本は,『スリザー』(06)『スーパー!』(10)のジェームズ・ガン。こちらも大抜擢だ。元は脚本家出身なだけに,緩急の付け方が上手い。物語は,ピーターが入手した謎の球体「オーブ」に無限の力があることが判明し,「闇の存在」がこれを悪用することを防ぐ冒険譚だ。テンポが良く,誰もが楽しめる上質エンタメに仕上がっている。以下,当欄の視点での見どころである。
 ■ CG/VFXの主担当はFramestore, 副担当はMPCで,他にLuma Pictures, Method Studios, Lola VFX, Cantina, Proof等の計13社も参加している。全2,474カット中,2,208カットにVFX処理が加えられているという。約90%はもの凄くて,ロケットの毛の質感表現ごときに感心している場合ではない。むしろ,樹木人間のグルートの表情や歩様に一工夫有り,植物としての変態ぶりもCG表現として面白い。各人の紹介時に登場する小型武器のデザインやその威力の描写も楽しい。
 ■ 全編を通して,デザイン・センスがとても良い。宇宙刑務所のレトロ感は素晴らしいし,そこでの大乱闘のアクションデザインも出色だ(写真4)。随所に1970年代のテイストが盛り込まれているのも嬉しい。続いて,脱獄成功後に訪れる惑星ノーウェアの美術デザインがご機嫌だ。敵方の鳥のような形をした母艦(写真5)やそれに貼り付くスターシップの姿には,あまりの見事さに言葉を失う。最後のサンダー星を舞台にした戦いまで,計4回のバトル・シーンがある(写真6)。もちろん,CG/VFXの活躍の場だ。そこそこ間隔をおいた配置で緩急をつけ,各バトルの様子に変化をつけていて,飽きさせない。
 
 
 
 
 
写真4 刑務所内で大立ち回りを演じるグルート
 
 
 
 
 
写真5 どうみても鳥の姿。いいデザインだ。
 
 
 
 
 
写真6 この程度の空中戦はまだまだ序の口
(C) 2014 Marvel. All Rights Reserved.
 
 
  ■ シリーズ第1作としてバランスが良く,滑り出しとしては上々だ。2作目からは一直線に物語に突入できるので,さらにパワーアップすることだろう。先々は『アベンジャーズ』シリーズとの合流が噂されているが,しばらくこの5人組だけでの活躍を観ていたい。  
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  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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