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O plus E誌2013年7月号掲載
 
 
ワイルド・スピード EURO MISSION』
(ユニバーサル映画
/東宝東和配給)
      (C) Universal Pictures
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [7月6日よりTOHOシネマズ日劇他全国ロードショー公開予定]   2013年6月3日 TOHOシネマズ梅田[完成披露試写会(大阪)]
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  シリーズ6作目は,一段とパワーアップした娯楽大作  
  ストリート・カー・レースを題材としたB級バイオレンス・アクション映画としてスタートした本シリーズも,これで6作目だ。ほぼ同時期に始まったホラー・サスペンスの『Final Destination』シリーズと足並みを揃えて製作・公開されて来たので,4作目(09年10月号),5作目(11年10月号)は両シリーズをまとめて紹介した。ところが,『Final Destination 6』は同じペースを守って,米国では本年8月に公開予定であるのに,こちらの6作目は,そこまで待てないとばかりに,大作目白押しの夏映画シーズン真っ只中の公開である。まるで,高額製作費で強力なエンジンを得て,一気に加速発進し,アタマ1つ抜け出したかのようだ。
 シリーズとしては,2作目が凡作,3作目がどうしようもない駄作であったが,4作目でドミニク役のヴィン・ディーゼルを復帰させてポール・ウォーカーとの2枚看板に戻し,すっかり甦った。そして前作,本作とチーム・メンバーも増え,映像的にもパワーアップしている。3作目からメガホンをとるジャスティン・リン監督は,次々と新手のカー・アクションを演出し,このパワーアップを根っから楽しんでいるかのようだ。
 LAから始まり,フロリダ,東京,メキシコ,ブラジルと舞台を変えてきたが,本作では,副題通り欧州に活躍の場を移し,英国,ロシア,スペインでバトルを繰り広げる。登場人物もどんどん増える中で,本シリーズで嬉しいのは,人物相関やエピソードがきちんと整理されていて,シリーズ全体で矛盾や破綻がないことだ。
 その前提の中で,本作の最大の興味は,4作目で死んだはずのドミニクの元恋人レティの再登場である(写真1)。前作のエンドロール後にそれが予告されていたので,当欄では「どうやって死人を生き返らすのかが楽しみだ。多分,双子の姉か妹なのだろう」と予想しておいたが,これは見事に外れた。では,どうやって辻褄を合わせているのかは,観てのお愉しみとしておこう。
 
 
 
 
 
写真1 本作の興味の的は,この2人の再会
 
 
  前作からドミニク・ファミリーというべき無法者チームが編成されているが,このチームを側面から支援するFBI特別捜査官役のドウェイン・ジョンソン(ザ・ロック)がいい。同じスキンヘッドの筋肉質体形でも,元プロレスラーだけあって,V・ディーゼルよりも一回りデカい。先月号紹介の『G.I.ジョー バック2リベンジ』でも事実上の主演であったが,本シリーズのホブス捜査官の方がハマリ役だ。準レギュラーとして次回作以降も登場することを期待しておきたい。
 ドミニク・チームが,ホブス捜査官の要請を受け入れ,巨大犯罪組織と対決するという図式だ。物語そのものは単純だが,カー・アクションは益々激しくなり,複雑化している。以下,VFXを含むその見どころである。
 ■ 一体どれだけのカー・アクションがあったのか,一度観ただけで,よく覚えていない。中盤以降だけでも,ロンドン市内,スペインの高速道路,最後は軍の空港基地で激しいバトルが繰り広げられる。まさにバトルであり,もはやレースではない。そんな中で,ドミニクとレティが,原点回帰したかのようなストリート・カー・レースを見せてくれるのが嬉しい(写真2)。勿論,本シリーズの長年のファンへのサービス・シーンだ。
 
 
 
 
 
写真2 2人のストリート・カー・レースはサービス・シーン
 
 
  ■ 例によって,数々の名車が登場しているはずだが,じっくり見せないうちに多数が破壊されてしまうので,何が登場していたのかよく分からない(写真3)。実車を何台も壊していることは間違いないが,とりわけ驚いたのは,公道上で本物の戦車を走らせたことだ(写真4)。その戦車に破壊される車も戦車自体も,かなりの部分をCG/VFXで描いていると思われる。クライマックスの空軍基地で登場する輸送機も勿論そうだ。アングルやカメラワークからして,実写ではあり得ないシーンが頻出する。その複雑さは一作毎に増すばかりで,しっかりしたプレビスをやっていないと,撮影すらできないだろう。VFXの主担当は,Double Negativeで,副担当はMPC。その他Image Engine等,計10社近くが参加している。プレビズの担当はProof社だ。
 
 
 
 
 
写真3 名車が惜しげもなく,破壊され,炎上する
 
 
 
 
 
 
 
写真4 戦車を一般道で高速走行させたのには驚いた
(C) Universal Pictures
 
 
  ■ 犯罪組織との攻防が一件落着したところで約100分だった。ここまででも十分堪能したのに,さらに30分もオマケがあった。まるで,カー・アクションのアンコールだ。そして,長いエンド・クレジットの後に,恒例の次作の予告映像が流れる。再び東京に舞台を移し,時間軸上浮いていた第3作に繋げる方針のようだ。中国人のハンに加えて,当代一のアクション俳優ジェイソン・ステイサムの姿が見えた。楽しみだ。
 
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  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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