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O plus E誌 2001年2月号掲載
 
 
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『ファイナル・デスティネーション』
(ニューライン・シネマ作品
/ギャガ・ヒューマックス配給)
 
       
      (2001/1/21 ギャガ試写室)  
         
     
  ニューラインらしいB級ホラーの真骨頂  
   話題の大作でない面白い映画の見つけ方の1つは,アメリカで毎週発表されるBox Office記録で,なるべく落ち込みが少なくない作品を探すことだ。しかもTop 10に長く居座っているものなら,まず外れはない。11月号の『ギャラクシー・クエスト』,12月号の『ピッチブラック』,先月の『オーロラの彼方へ』がその類いだ。入場料を払った観客の口コミでの評価は,娯楽作品としての質をよく見抜いている。もっとも,インターネット上での評判を恐れた配給会社が日米同時公開を増やそうとしているので,この方法も通じなくなりつつあるが。
 2000年3月公開で連続7週Top 10を保ったこの映画はその典型パターンだ。B級ホラーが得意のニューライン・シネマ,ギャガ配給らしい小気味いい映画で,リピータが少なくなかったのも頷ける。
 監督,製作は,人気TVシリーズ『X-ファイル』『ミレニアム』のジェームズ・ウォンとグレン・モーガンの最強コンビだ。主人公のアレックスを演じるデヴォン・サワ,同級生のヒロイン役のアリ・ラーターはじめ,脇役陣もいかにもB級低予算作品らしいキャスティングで,『X-ファイル』チームの大集合といった感じである(写真)。
 話の発端は,修学旅行(そんなのアメリカにもあるのかと思ったが,少なくともそう字幕には書いてあった)でフランスに旅立つ寸前,高校生のアレックスは機中でこの飛行機が墜落する悪夢を見る。大騒ぎの末7人が降ろされた後,離陸直後に飛行機は彼の予知通りに爆発炎上する。思いがけず命拾いした7人だが,再び予兆を感じ始めたアレックスの胸騒ぎ通り,1人また1人と残酷な死を迎える。この死の筋書きを回避して生き延びる道はあるのか…。というのが,天才脚本家ジェフリー・レディックがウォン&モーガン組に託したノンストップ・サスペンスの骨格だ。
 VFXはというと,飛行機の爆発炎上,雷や火の粉の舞う様,数々のアクシデントの演出等に使われているが,低予算映画らしく控えめ目で新技術はない。『X-ファイル』コンビの演出だけで映画を引っ張っている。とにかく怖い。いわゆるホラーとは別の怖さで,オカルト系でも,ヒチコック流でもない,もっと新手の怖さだ。パンフレットにあった「サドンデス・スリラー」という言葉がもっとも似合っていた。
 
 
花瓶が倒れても怖い!
いやぁ怖かったですね。久々に鳥肌が立ってしまいました。『ホワット・ライズ・ビニース』は全然怖くなかったけど,こちらには参りました。
そうですか,私はあちらも怖かったですよ。
あれは,いきなりカメラワークや音で脅すから怖そうに思えるだけです。もっとも,ウチの家内は1人で見に行って,その夜風呂に入りたがりませんでしたが。
ハハハ,旦那さんが近寄ると避けたりして(笑)。
この映画には完全に感情移入してしまい,中盤以降1つ1つの現象にビクビクしてしまいました。
死に方も酷いですね。
「箸が転んでも可笑しい」という言い方があるなら,この映画は花瓶が倒れても,石が撥ねても怖いと言えます(笑)。
ジョン・デンバーの歌が流れる度に人が死ぬというのでは,ジョン・デンバーは死神みたいで,いい迷惑ですね。
彼が飛行機事故死したことから,暗示に使ったのでしょう。
この脚本なら,もっと俳優にもVFXにもお金をかけて,高級感のある作品にしても良かったですね。
製作会社としては,リスクの大きい大作に宣伝費をかけるより,こういう低予算映画がそこそこヒットして収益が上がる方が有り難いのでしょう。
見る側は,同じ1,800円払うなら,クオリティが高い方がいいですよ。
そこが,入場料の高い日本では限られた作品しかヒットしない原因なのでしょうね。
 
タレントはB級でも,怖さはA級  
   
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