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O plus E誌 2003年9月号掲載
 
 
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『ワイルド・スピードX2』
(ユニバーサル映画/UIP配給)
 
 
         
  オフィシャルサイト[日本語][英語]   2003年7月24日 UIP(大阪)試写室  
  [8月23日より全国東宝洋画系にて公開中]      
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
     
  舞台はLAからマイアミに  
   2年前に公開された前作(2001年10月号)は,ストリート・カー・レースの爆走を題材にしたバイオレンス映画で,世界中のクルマ好き青年たちの心を捉えた。ニトロをエンジンに噴射して加速爆走できることもこの映画で知った。原題は『Fast & Furious』。『ワイルド・スピード』という邦題は,そのままカタカナにするよりはマシかなと思っていた。続編の原題は『2 Fast and 2 Furious』。上手いネーミングだ。2をtooにかけたシャレで,最近よく使う手だ。となると邦題はどうするんだろうと心配したが,単に2でなく×2として切り抜けた。配給会社のこの知恵に座布団1枚進呈しよう。
 日本車を中心とした特別チューンアップ車が続々登場するのは同じだが,ギャラで揉めたのか,監督のロブ・コーエン,主演のヴィン・ディーゼルは降板し,刑事役だったポール・ウォーカーだけが残った。女性ファンを魅了するイイ男だが,存在感はだいぶ落ちる。監督は『シャフト』(00)のジョン・シングルトンを起用。新たな相棒には,ブライアンの幼なじみのローマン役として,黒人シンガーのタイリースが抜擢された。アメリカ映画お決まりの白人・黒人コンビの活躍だ。タイリースはLA出身の新進人気シンガーで,コカコーラCMにも登場して知名度は高いらしい。日本ではタイリースに馴染みがない分,素直に観ると取って付けたような組み合わせで,ヴィン・ディーゼルの穴は埋められていないと感じてしまう。
 今回は舞台をフロリダのマイアミ・ビーチに移し,LAで警官の職を失ったブライアン・オコーナー(P・ウォーカー)が,警察も手を焼く貿易商の犯罪を暴くため,再び囮捜査に協力する話だ。同地でも深夜のストリート・カー・レーシングは盛んで,三菱EVD,三菱スパイダー,ポルシェ911,ダッジ・チャレンジャー,ホンダS2000,マツダRX-7等がカラフルにボディ・メイクされて登場する(写真)。ブライアンの車が,アメリカでは売っていないはずのスカGなのが嬉しい。
 では,このクルマはどこまでが本物でどこまでがCGだろうか? 窓の外の光景が合成であるのは当然として,派手なスタント・シーンは大半が実写が中心で,クラッシュ・シーンの一部がCG中心,映したくない撮影機材等をディジタル処理で消去・加工しているのだと思う。そうでないと,これだけの迫力は出まい。
 今やTVのCMや新車のパンフレットに載るクルマはほとんどすべてCG映像だから,映画用にそれを作ることは難しくない。エンドロールでは,いかにもCGの単純な幾何モデルでのレーシング・シーンが登場する。だからといって,このシーンが全部CGで撮影されたとは考えにくい。多分,これは構図とカー・アクションを事前に可視化したPreViz(プレビジュアライズ)の映像だろう。こうしてシミュレーションしておけば,実際のカー・アクションの構図も動きも一段と良くなる。
 映画としては脚本的にやや弱く,結末も予想できる。女性2人(エヴァ・メンデスとデヴォン青木)も魅力的に描かれていない。クルマ好きにはそれは二の次で,クルマの爆走シーンだけがあればいいのだろう。
 

写真 迫力を増した深夜レースは事前にCGでPreVizされていた模様

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