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O plus E誌 2013年6月号掲載
 
 
 
 
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
(パラマウント映画)
 
 
      (C) 2013 Paramount Pictures. Hasbro and its logo, G.I. JOE and all related characters are Trademarks of Hasbro and used with permission.

  オフィシャルサイト[日本語] [英語]  
 
  [6月8日よりTOHOシネマズ スカラ座ほか全国ロードショー公開予定]   2013年4月26日 TOHOシネマズ梅田(大阪)  
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  助っ人投入の効果があり,リベンジもほぼ達成  
  1980年代に放映された米国製TVアニメの実写映画化作品で,副題中に「2」とあるように,シリーズの第2作目である。2009年夏公開の前作は,相当な製作費をかけ,CG/VFXも満載の大作であったが,何とも醜悪な映画だった。本誌に掲載する気になれず,Webページで短評のみを記したが,評価は最低ランクの★で,「この映画のCG制作に参加したクリエーター達が哀れだ」「今年度のラジー賞最有力候補だろう」と酷評した。
 実際,劣悪作品を表彰するラジー賞(ゴールデンラズベリー賞)にはしっかりノミネートされた。「最低作品賞」は同じ製作スタッフによるライバルの『トランスフォーマー/リベンジ』(これもWebサイトのみの掲載)に譲ったものの,シエナ・ミラーが「最低助演女優賞」に輝いている。ちなみに,滅多につけない★評価を与えた翌年の『エアベンダー』(10年8月号)は,見事に(?)作品賞,監督賞,助演男優賞,脚本賞等でラジー戴冠している。ま,当欄の評価通りに,前作はそのレベルの作品だったということだ。
 特殊部隊G.I.ジョーと国際テロ組織コブラの対決図式は前作と同様であり,コブラの世界征服の野望に立ち向かうG.I.ジョーたちの活躍を描いている。原題は,『G.I. Joe: Retaliation』。副題の「Retaliation」はあまり聞きなれない英単語だが,英和辞典には「返報,報復」などの訳語が見られる。「Revenge」と似たような意味だが,前作で敗れたコブラの「逆襲」の意味なのか,映画の冒頭でほぼ壊滅状態になるG.I.ジョーたちの「反撃」の意味なのかは判然としない。日本語の「リベンジ」は,最近「雪辱」の意味で使われることが多いが,前作の汚名返上の意味を込め,配給会社はこの副題をつけたようにも感じられた。
 雪辱戦らしく,監督はスティーヴン・ソマーズからジョン・M・チュウに交替し,キャストも一新されている。G.I.ジョー側で残ったのは,デューク役のチャニング・テイタムと忍者姿のスネークアイズ役のレイ・パークだけだ。この2人と女戦士レディ・ジェイ(エイドリアンヌ・パリッキ)を率いるロードブロック隊長役のドウェイン・ジョンソン(ザ・ロック)が実質の主演だが,本邦の広報宣伝では,助演の2人に焦点が当てられている。強力助っ人は,G.I.ジョーの初代司令官役で顔を見せるブルース・ウィリスで,彼が登場するだけで映画が引き締まる。もう1人は,『悪魔を見た』(11年3月号)『王になった男』(13年2月号)の好演で存在感を示したイ・ビョンホンで,敵のコブラ側の忍者戦士として再登場する。白装束の奇妙な役柄だが,日本刀を構えた上半身裸の肉体美は素晴らしい。
 このテコ入れの効果があって,ハリウッド流アクション大作としての体裁は整った。入場料を払って観る価値はあるかといえば,ぎりぎり合格点だろう。デジタル・ドメイン以下,多数のスタジオが参加するCG/VFXは前作同様に高水準で,以下その見どころである。
 ■ アイデアとして面白かったのは,疾走するバイクがバラバラに分解され,兵器と化すシーンだ(写真1)。短いシーンながら,CG/VFXの威力が発揮されている。ヘリや戦闘機は勿論,高射砲を備えた戦車や宇宙空間で爆発する人工衛星等もいい出来映えだ。そして,圧巻の1つは核爆撃されて崩壊するロンドン市内のシーン(写真2)である。前作がパリのエッフェル塔の破壊であったので,今度はロンドンのビッグベンという訳だろうか。上述の『リアル〜完全なる首長竜の日〜』の写真5と比べると,レベルの違いは歴然である。
 
 
 
 

写真1 ジャンプしたバイクがバラバラに分解され,目標に激突する

 
 
 

写真2 短時間だが,ロンドンの破壊シーンは大迫力

 
  ■ コブラの一員ザルタンが米国大統領に成りすましてG.I.ジョーの抹殺命令を出すという設定だが,大統領の顔を切り裂くと,その下からザルタンの顔が登場するシーンも面白かった(写真3)。もう1つの見どころは,ヒマラヤの断崖絶壁をバックに,2つの忍者軍団が対決する場面だ(写真4)。実写背景にCGの戦士を描いたにしては,カメラワークが激し過ぎると感じたが,大型グリーンバックのスタジオ内で,ワイヤーアクション撮影と合成を行ったようだ。勿論,CGの戦士も随所で登場し,目まぐるしい肉弾戦の模様が描かれている。
 
 
 
 

写真3 大統領に化けていたのが実はザルタンだと明かすシーン

 
 
 
 
 
 
 
 
写真4 岩場でのワイヤーアクションは見どころの1つ
(C) 2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved. Hasbro and its logo, G.I. JOE and all related characters are Trademarks of Hasbro and used with permission. All Rights Reserved.
 
 
   ■ 本作は3D作品だが,最近では珍しい「2D→3D変換」によるフェイク3Dである。それでも,CGパートを上手く強調しているため,手裏剣や宇宙空間の描写は,かなり立体感があった。とはいえ,本作を敢えて3D化する価値があったのかは,大いに疑問だ。

 
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  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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