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O plus E誌
2004年4月号掲載 |
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『ホーンテッド・マンション』
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| （ウォルト・ディズニー映画／ブエナビスタ配給） |
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オフィシャルサイト[日本語][英語] |
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2004年2月6日 リサイタルホール（大阪） |
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［4月24日より全国東宝洋画系にて公開予定］ |
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（注：本映画時評の評点は，上から ，，， の順で，その中間に をつけています。） |
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原アトラクションのドキドキ感が今一つ |
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迎え撃つディズニー映画は，ディズニーランドの人気アトラクションの映画化で対抗する。昨夏の『パイレーツ・オブ・カリビアン／呪われた海賊たち』（2003年9月号）の大ヒットに続く，2匹目のドジョウ狙いだ。負けず劣らず，セットにも視覚効果にも，相当な予算を投じている。さて，それに見合った楽しさを引き出せているのかどうかがお楽しみだ。
監督・製作総指揮は，ディズニー・ブランドで『ライオン・キング』(94)，非ディズニー作品で『スチュアート・リトル』シリーズを成功させたロブ・ミンコフ。製作は，『美女と野獣』(91)以降のディズニー・アニメを製作してきた大物ドン・ハーン。特殊メイクは，アカデミー賞6回受賞を誇るリック・ベイカー。本映画時評の中では，『グリンチ』（2001年1月号）『猿の惑星』（2001年8月号）を手がけたメイクアップの達人である。世界一有名なこのお化け屋敷のデザインを担当したのは，『シカゴ』（2003年4月号）でアカデミー賞美術賞を受賞したジョン・マイヤー。視覚効果スーパバイザは『コンタクト』(97)や『スチュアート・リトル』シリーズのジェイ・レッド。そして，主演はエディ・マーフィーとくれば，楽しくない方が不思議だ。『ドクター・ドリトル』『ナッティ・プロフェッサー』両シリーズでの彼の活躍を考えれば，上質のファミリー映画を期待するのも当然だろう。
不動産業を営むジム・エヴァース（E・マーフィー）は，家族と週末の旅行に出かけようとしたところ，大豪邸のエドワード・グレイシー邸の主人から急遽この邸の売却を依頼されて，思わず立ち寄ってしまう。52の寝室と67のバスルームをもつ豪華屋敷には，エヴァース一家の想像を絶する悪夢が待ち受けていた，という設定だ。設定は何でもよくて，屋敷に足を踏み入れた以降は，ディズニーランド並みかそれ以上のワクワクする展開が待っていなければならない。それが，少しも怖くなければ，一向に面白くならないうちに終わってしまった。
ソニーピクチャーズ・イメージワークス担当のVFXは数は少なくない（写真1）。技術的には悪くないのだが，使い方がイマイチだ。亡霊も超常現象もいくらでも面白く描けそうなものなのに，何一つ感心するところがない。リック・ベイカーの特殊メイクはさすがだが（写真2），映画全体の低調さをカバーすることまでは無理だ。 |
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写真1 占い師マダム・リオッタはガラス球で登場。色合いの調和は動画で見ても見事。
(c)
Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
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写真2 邸宅内の装飾やリック・ベイカー担当の特殊メイクも見せ場の1つ |
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昨年以来，ブエナビスタ配給作品は褒めることばかりだったが，敢えてここで苦言を呈しておこう。ずばり，この映画は脚本が悪過ぎる。企画も甘過ぎる。原アトラクションを愛する者ほど，この失望感は大きい。もっとホラー性を高めればよかったのに，ファミリー向けという制約を取り違えたのだろう。少なくとも，『モンスターズ・インク』（2002年2月号）や『ファインディング・ニモ』（2003年12月号）のように大人も楽しめる映画にはなっていない。大人には退屈過ぎ，子供にもこのストーリーの幼稚さでは通用しない（試写会に小学生はいなかったので確認してはいないが）。「怖かったけれど，面白かった。良くできていた」というのが原アトラクションのコンセプトなのに，それは達成されていない。
★にしてもよかったが，☆で留めたのは，特殊メイクと美術担当の奮闘ゆえである。この邸宅の外観も内装も調度もいい出来だ。それだけは一見に値する。同時期に観た低予算のホラー映画『ヒューマン・キャッチャー／JEEPERS
CREEPERS 2』（20世紀フォックス配給，6月公開）は，想像以上に面白く楽しめた。オモチャのような作りの怪物でも，脚本が良ければ引き込まれてしまうという見本だ。
フルCGのピクサー作品以外，最近のディズニー映画には不出来な作品が少なくない。マイケル・アイズナー会長の辞任を巡っての経営陣のゴタゴタも，あながち無関係ではないと思う。しっかりとした企画と脚本をチェックする機能が働かないのなら，大予算を投じて製作する映画も良くならない。原アトラクションの名声が泣いている。 |
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