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O plus E誌 2000年6月号掲載
 
 
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『スチュアート・リトル』
(コロンビア映画/SPE配給)
 
       
      (5/10 SPE試写室)  
         
     
  CG関係者必見の質感  
   この映画のメイキングは,Imagina 2000の報告の中で述べたのだが,改めて時評欄でも取り上げておこう。
 E・B・ホワイト作の同名の子供向けの絵本は,約50年間親しまれてきたというが,日本人には馴染みはない。ソニーは,家族連れ映画のシンボル・キャラクタとして育てていくのに,この主人公のネズミを選んだ。監督は『ライオン・キング』の共同監督であったロブ・ミンコフで,スチュアートの声は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマイケル・J・フォックスが演じている。クリスマス・シーズンに相応しい健康なホーム・コメディに仕上がっていて,米国では暮れから新年にかけてヒットした。日本では春休みからGWにかけての公開かと思ったが,『トイ・ストーリー2』との競合を避けてか,夏休みまでの待機となった。
 養子仲介所からリトル家にもらわれて行くスチュアートは,人の言葉を話せるネズミで,人間の子供のように歩き洋服を身に付けている。この新入り家族をめぐる家庭の出来事とスチュアートのアドベンチャーが描かれている。
 モナコで深夜の特別上映を見たのだが,もう一度じっくりこのCGキャラクタの出来栄えを観察することにした。アニマトロニクスも用意されたようだがほとんど出番がなく,大半がCGのスチュアートだったようだ。CGを用意しておきながら,本物のネズミの演技を採用した『グリーン・マイル』とは好対照である。歩いたり話したりできる本物のネズミがいる訳がないが,この擬人化したキャラクタを質感の上ではよくCGで作り込んである。じっくり見れば見るほど細部の仕上げが見事だ。
 CG関係者にとっては必見の一作と言えるだろう。
 
写真1 水もしたたるスチュアート君写真2 名猫優スノーベル
猫も助演男優賞並みの好演
 
頭部だけで約45万本の毛で描かれたスチュアート君は,なかなかのものでしょう。
洗濯機で洗われて濡れてしまったところなどは実に良くできていますね(写真1)。表情も洋服の着こなしも結構でした。
で,このネズミは可愛いと感じますか?
うーん,難しいところですね。確かに,もう少しサンリオやディズニー風のデザインにした方が可愛かったと思います。原作があるから,そう簡単に変えられないのでしょうが…。
相手役の猫のスノーベルの演技もいいでしょう(写真2)。
これ,本物ですよね?
生きた猫ですよ。表情は『ベイブ』のリズム&ヒューズ社が,CGを重ねて変化させていますがね。
この猫チャンも苦労しますね。見えないCGのネズミを相手に演技させられるんですから。
残念ながら助演男優賞にはノミネートされなかったようです(笑)。それとも,メスかな?
私は,スノーベルとスチュアートのシーンで,CGのスチュアートにはモーション・ブラーが少なくて,やや不自然さを感じてしまいました。わずかですが。
子供たちは,そういうことを気にせず素直に見るんでしょうね。
絵かCGか本物か,気にせずストーリーだけを追えるなら,それはまさに絵本や映画ならではのファンタジーです。
マイケル・J・フォックスの声の出演は上々だったと思いますが,でもこういう映画は日本語吹き替えの方が合ってますね。
それに,字幕があると気になって,VFXをじっくる見てられませんね。
ということで,CG専門家も家族連れも吹き替え版がオススメです。
 
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