O plus E VFX映画時評 2026年7月号

『トイ・ストーリー5』

(ウォルト・ディズニー映画)




オフィシャルサイト[日本語]
[7月3日より全国ロードショー公開中]

(C)2026 Disney/Pixar


2026年6月18日 東映試写室(大阪)

(注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています)


さすがピクサーの看板シリーズ, 未来対応もしっかり

 ついにシリーズ5作目である。ピクサーの長編アニメとしては31作目だ。本シリーズがピクサー社の,ひいてはフルCGアニメの歴史そのものであることは論を待たない。その看板シリーズの最新作となると,老舗のメンツにかけて恥ずかしい作品にしないことは確実である。「オモチャと子供の絆」という基幹テーマを逸脱するはずはないが,かと言って,相変わらずそのテーマだけでは飽きられてしまう。よって,伝統を守りつつ,かつどんなアイデアで新しさを感じさせるのかが興味の的であった。
 まだ「あらすじ」も知らず,英語での予告編が始まった頃に見たネット記事がショッキングだった。あの名物監督クエンティン・タランティーノが,「3作目は最高の映画の1つで,物語は3作で完璧に幕を閉じている。後編が作られても見るつもりはない」と公言していたことである。噂には聞いていたが,この5作目を前に,改めて彼のその意志を確認したというニュースであった。しばらくして,ディズニーの反論があり,「意地を張るのは構わないが,見る/見ないはタランティーノの勝手だ」と発言したという。ピクサー社は「最初はウッディの3部作,4作目からはジェシー主演の新3部作」という言い分のようだ。
 年1作の『ドラえもん』『名探偵コナン』等を持ち出すまでもなく,和製アニメは長寿が当たり前だが,ハリウッドは3部作で区切るのが好きらしい。確かに『スター・ウォーズ』シリーズは,最初のEP4〜6が最高で,前日譚のEP1〜3も,前日譚のEP7〜9も旧3部作を超えなかった。『インディ・ジョーンズ『ビバリー・ヒルズ・コップ』両シリーズは3作で終わっておくべきであったし,『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は3部作で終えたのが正解であった。もっとも,それは主演のマイケル・J・フォックスが続けられなくなったからで,主演級を一新した『マッド・マックス』シリーズは4作目で大成功を収めている。
 その意味では,オモチャのリーダーをカウガールのジェッシーにした新3部作というピクサー社の言い分ももっともだ。ただし,ジェシーは大傑作の『トイ・ストーリー2』(00年3月号)から登場していたキャラクターであり,ウッディもバズも準主役として本シリーズに出続けている。何よりも,オモチャは人間の俳優のように歳は取らないので,イメージはキープできる。まさに脚本次第で,続編は十分良作にできる。当初3部作で終了と公言しておきながら,「続編を作るに値するアイデアがある」と親会社ディズニーを説き伏せて4作目を成功させたのだから,ピクサー創作陣によほど自信があったのだろう。
 3作目『同 3』(10年8月号)を高評価せず,4作目『同 4』(19年7・8月号)を「シリーズ最高傑作,いやピクサー史上のベスト1」と評価した当欄としては,タランティーノの鑑識眼も大したことないなと感じた。批評家や映画通が,いくら客観的を装っても,彼らの評価に「好み」が入るのは避けられない。ましてや一般観客が「見る/見ない」は勝手である。よって,5作目ともなると,この看板シリーズが今後も続くかどうかは,プロの評価ではなく,本作がどれだけ一般観客の支持を得られるかにかかっていると思われた。そのため,本稿はすぐには書かず,国内外でのどれだけの興行成績を上げるか,ネット上の映画ファンがどんな反応をするかを確認してから書くことにした。
 その結果は,最後の【総合評価】欄で語るが,マスコミ試写を観た時点での筆者の感想と評価を開示しておこう。デジタル玩具とクラシックなオモチャの対立は,十分面白かった。少しデフォルメしているが,登場するデジタル玩具の機能や位置づけ,これまでのオモチャたちとの対立はよく描けていた。2作目,4作目にはやや劣るものの,評点から分かるように,十分見応えのある良作であったと思う(だからと言って,ヒットするとは限らないが)。何が少し劣るのかは,後述する。

【本作の概要と物語展開】
 本作の監督・脚本は,ピクサー社の重鎮で,アニメーター出身のアンドリュー・スタントン。過去に『ファインディング・ニモ』(03年12月号)『WALL・E/ウォーリー』(08年12月号)『ファインディング・ドリー』(16年7月号)の監督を務め,本シリーズの過去4作の原案,3作の脚本を担当している。「共同監督」「共同脚本」には,若手のケナ・ハリスが抜擢されている。
 映画の冒頭は,多数のバズ・ライトイヤー人形を積んだ貨物船が無人島に漂着し,バズ人形たちが島を脱出するシーンから始まる。続いて,小高い丘の上の木の側で,若い女性が涙ながらに人形を抱きしめ,何かを地中に埋める。いずれも,物語の後半の伏線となる出来事のようだ。
 人間側の主人公は,3作目で4歳の時,アンディ君から多数のオモチャを譲り受けた少女ボニーで,本作では8歳になっていた(写真1)。相変わらず,ボニーはジェシー,バズ,フォーキーらと遊んでいて,オモチャたちも平穏な日々を過ごしていた(写真2)。ボニーは隣のジョーダン家の双子兄弟と交流しようとするが,2人はタブレットに夢中で一緒に遊ぼうとしない。両親はすぐにボニーにも買い与え,カエルの形をしたタブレット「リリーパッド」が届いた(写真3)。ボニーもすぐに夢中なった(写真4)


写真1 上から, 4歳(第3作), 5歳(第4作), 8歳(本作)のボニー

写真2 ボニーが遊んでくれるオモチャたち。フォーキーもすっかりその仲間に。

写真3 これが届いたばかりの「リリーパッド」

写真4 ボニーは使い始めて, すっかり夢中に

 ボニーの愛情を失うことを怖れたカウガール保安官でリーダーのジェシーは,リリーに向かって文句を言う。ところが,ジェシーの言葉を誤解したリリーは,SNSを利用して,ボニーの友達候補を見つけ出した。ボニーと一緒にダンス教室に通っていたチェルシーであった。チェルシーからお泊まり会に誘われたボニーは彼女の家に向かったが,チェルシーと友人のハイディ,カラの3人は,今でも古いオモチャと遊んでいるボニーをからかった(写真5)。傷ついたボニーは,古いオモチャたちを無視し始めた。またしても,持ち主に嫌われ,忘れられてしまうのではと怖れるオモチャたちに,本格的な危機が訪れる……。


写真5 左から, カラ, チェルシー, ハイディの3人組

 その後の展開を詳しく書くよりも,自らこの5作目を楽しんで頂いた方が良いだろう。そのための要点を2,3列挙しておく。
 ①ボニーがお泊まり会に向かう時,ジェシーとブルズアイはボニーの鞄に忍び込むが,そこからかつての持ち主のエミリーの家に送られてしまう。そこでも,使われなくなった電子玩具の「テック・トリオ」が置かれていて,ジェシーは彼らとも関わるようになる(写真6)


写真6 これが少し時代遅れの乾電池式「テック・トリオ」

 ②前作の終わりで既にボニーの家を去っていたウッディが,ジェシーから助言を求められてボニーの家に戻り,昔の仲間と再会する。終盤でウッディとバズは行動を共にして重要な役割を果たす。
 ③ジェシーは,古いオモチャを愛する別の少女と出会う。この少女とボニーが出会い,仲良くなれるかも,この5作目の大きな鍵となっている。

【新登場のオモチャたちとグッズビジネス】
 3部作の完結編の最大のテーマは,大学生になったアンディ君とオモチャたちの関係であり,最終的に4歳の少女ボニーに譲られることであった。4作目の要点は,少女ボニーが自分で手作りのオモチャ「フォーキー」を作ったこと,かつての恋人ボー・ピープルと再会したウッデイが,ボニーの家を去って別の道を歩むことになり,保安官バッジをジェシーに譲ったことであった。
 既に人間側もオモチャ側も主役交替があったが,「オモチャと人間の絆」は描き続けられていたものの,オモチャ自体はすべて旧式のものであった。宇宙飛行士のバスは相対的に新しいものの,ウッディやジェシーは1950年代や60年代のデザインである。
 5作目の本作で,一気にIT時代,AI時代のオモチャが登場し,「デジタル玩具 vs. 古いアナログ玩具」の対決図式となっている。子供たちがデジタル玩具を得て SNSにのめり込んでしまう社会問題を,風刺を交えて巧みに描いている。
(A) 最新式タブレットの「リリーバッド」
 両親がボニーに買い与える最新性能のタブレット端末で,緑色の枠にカエルの顔と手が付されている。劇中では単に「リリー」と呼ばれていて,出番はかなり多い。現状のiPadのソフトウェア機能よりも高度なAI機能があるという想定のようだが,詳しい機能は明らかにされていない。ただし,このタブレット画面内の表示内容は多様で,現在や近未来のネット世界ならあり得ると思えるコンテンツばかりだ。その意味では,こうしたハイテク玩具を取り入れたことは,本シリーズの可能性を拡げたと評価できる。チェルシーら3人組がもっているタブレットも,デザインと色が少し異なるだけで,リリーとほぼ同機能と思われる(写真7)


写真7 少女3人のタブレットは, 色と動物が違うだけで, リリーとほぼ同機能

 古いオモチャも人間のいないところでは言葉を話すので,リリーは人間にも,他のオモチャたちにも話しかける。人間相手には出荷時の表情だが,オモチャたちの前では,目と口で表情を変える(写真8)。リリーは前半では完全に敵役だが,名前を呼ばれると指示に従ってしまうという弱点があり,それが後半の物語を左右させている。


写真8 リリーは目と口で表情を変える

 本シリーズに関わるギャラクターグッズ市場も元々活発だが,本作では完全にこのリリーバッドが主役だ。早速,米国LeapFrog社から,この形状のタブレットLilypadが商品化されている(写真9)。ただし,最新の高性能機ではなく,児童用の学習機器のようだ。米国では$27.97〜$29.99,日本では10,980円で輸入販売されている。多数内蔵されている学習ゲームで遊べ,簡易チャットもできるようだ。社名に「Frog」があるということは,このLilypad販売用に設立された会社かと思いきや,元々,こうした学習用電子玩具の有名メーカーで,「カエル」がトレードマークであった。それを知ったピクサーが,第5作目のタブレットのデザインに取り入れたに過ぎない。渡りに船と,今度はLeapFrog社がライセンス契約を申し込みし,同社ブランドで売り出したようだ。


写真9 LeapFrog社がライセンス販売している児童用学習タブレット

 大人も使う既存の一般iPad用には,スタンド付きのカエル型保護ケースが販売されていて,これを購入すれば外見はLilypadになる。その他,お絵描き練習器,クッション等々も発売されていて,まさにグッズビジネスをリリーが牽引している(写真10)

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写真10 左から, iPad用の保護ケース, お絵描き練習器, クッション

(B) 電子玩具のテック・トリオ
 かつてのエミリーの家の小屋に入れられていて,ジェシーが見つける3体の電子玩具である(写真11)。リリーパッドほどのハイテクではないが,乾電池で動き,アンディからボニーに譲られたオモチャたちよりは新しい。少し時代遅れになって,彼らもまた持ち主から忘れられたという設定が興味深い。このトリオの登場により,オモチャと人間の子供たちの関係を描くのが,より複雑かつ楽しくなっている。


写真11 左から, アトラス, スマーティ・パンツ, スナッピー。USBケーブルで接続できる。

  (b-1) スマーティ・パンツ:白いトイレットペーパー・ロールと3個のボタンがついていて,「トイレ・トレーニング用電子玩具」という位置づけだ。ボタンを押すと,水を流す音が流れたり,液晶画面に絵が出たり,音声で楽しい会話をして,幼児に正しいトイレの使い方を教えるオモチャのようだ。劇中では,「毒舌でおしゃべり」のひねくれ者として描かれている。
  (b-2) アトラス:青いカバの形をした道案内オモチャ。GPSが内蔵されていて,口を開けると側面や底面から地図が飛び出してルートマップを見せ,液晶画面の目から矢印出して,音声で曲がる場所と方向を教える。言わば,子供用のカーナビだ。劇中では,陽気で頼れる存在として描かれている。
  (b-3) スナッピー:黄色い三脚付きの紫色の子供用デジカメで,静止画も動画も撮れる(写真12)。ゲーム機や音楽プレイヤーにもなる。この3体はUSBケーブルで接続でき,データを送り合ったり,互いに情報交換できる。デジカメなら,大人になってもそのまま使えそうだが,既に世の中はスマホで写真を撮るのが普通になり,子供用のデジカメは忘れられ,既に使われなくなったという位置づけのようだ。最近のWi-Fiでなく,旧式のUSBケーブル接続にしているのも,芸が細かいと言える。


写真12 スナッピーの背面。ほぼそのままデジカメのイメージ。

 (b-1)(b-2)は,映画内の形状と名前を踏襲したフィギャアは販売されているが,電子玩具としては商品化されていない。一方,ボタンも背面のモニターのデジカメそのものの(b-3)は,eKids社からライセンス商品化され,$29.97ドルで発売されている。元々,子供用デジカメを発売していたeKids社にとっては,「スナッピー」の色で商品にすることは簡単だったのだろう。家族用のデジカメとして使わなくても,$30以下なら,キャラグターグッズとして子供に買い与える親が多数いても不思議はない。
 かく左様に,キャラクターグッズ市場にとって,『トイ・ストーリー』シリーズは格好のビジネスネタである。ディズニー/ピクサーにとってもライセンス料収入は,かなりうま味のある副産物であり,映画がさほどヒットしなくても,十分採算が取れる有り難い収入源である。そうなると,タランティーノ監督が何と言おうと,シリーズの4作目,5作目にディズニーがゴーサインを出したのも当然と思える。

【代表的シーンと見どころ】
 いつもなら「CG/VFXの見どころ」と書くところだが,残念ながら,今回はそれがない。新しいオモチャたちを登場させ,それも近未来を感じさせる使い方をさせていたので,その点では合格なのだが,「さすがフルCGアニメだ!」とハッとするようなシーン,最新CG技術を駆使したビジュアル面での進化を感じるシーンが見当たらなかったのである。看板シリーズには,その役割は課さずに,物語だけで勝負する方針に切り替えたのだろう。当映画評としては,残念至極だ。その上,予告編,特別映像等で公開されているシーンも極めて少ない。それが,本作を第4作よりも少し劣るとした理由である,
 折角,完成版作成を少し遅らせて,魅力的なシーンを探しだのに,それも空振りに終わった。止むを得ないので,数少ない公開映像の中から,少しは語るに足るシーンを取り上げて紹介しておく。
 ■ まず,何度か苦言を呈していた,人間側のキャラクターのCG描写である。1作目当時は,フルCGにするのが精一杯で,極めてシンプルな漫画的な造形で,人形と人間で余り差がなかった。一度決めたアンディ君の家族も友人も続編では大きく変えられず。ほぼそのままだった。さすがに3作目辺りから改善が見られ,本作での大人になったエミリーや後半登場する少女プレイズは人間らしく描いている(写真13)。目だけは飛び切り大きいが,口元や髪形はオモチャの人形には見えない。


写真13 (上)ジェシーの元持ち主のエミリーも大人に
(下)旧式のオモチャを大切にするブレイズ

 ■ 笑わせてくれたのは,ウッディの出で立ちである。お馴染みのカウボーイ姿の上にポンチョを羽織っていて,後頭部が禿げている(写真14)。ポンチョは,マカロニ・ウェスタン時代のクリント・イーストウッドのトレードマークであった。TV西部劇の『ローハイド』の後,イタリアに出稼ぎに行ってブレイクしたので,ウッディもそれを真似たのだろうか? 後頭部が薄くなったのは,古い人形ゆえ,擦り切れたと解釈できる。さらに,下腹部もぽっこり出ていたが,これはどう説明するのだろう? 中に詰めてあった綿が徐々に腹部まで下がって来たと解釈できなくもない。


写真14 (上)イーストウッド風にポンチョを着て登場のウッディ
(下)既に後頭部はこの状態。腹部もメタボ。

 ■ 一方のバズ・ライトイヤーは,見かけは同じだった。新型のハイテク版バズは50体も登場して,これは壮観だった(写真15)。出荷時のセッティングのままで,自分たちの機能も役目も理解していないという設定も納得できる。終盤で,ジェシー率いるリリー救出チームに参加し,大活躍する(写真16)。従来のバズは空を飛べなかったが,このハイテク仕様のバズたちはドローン定番のクオッドコプター(4つの回転翼)が着いているので,編隊を組んで飛行できる(写真17)。さらに嬉しくなるのは,このドローン型バズたちが登場するミッドクレジットの映像であった(写真18)


写真15 50体のバズ軍団はなかなかの迫力。
(上)は『地獄の黙示録』(79)へのオマージュらしい。

写真16 ジェシーに率いられて, リリーの救出に向かう

写真17 ハイテク版バズには, ドローンのように4つの回転翼があるので, 編隊飛行ができる

写真18 空から降りてきた新型バズは, 校庭で遊ぶ子供たちに引き取られる
(上の画像は,暫定版のコンセプトデザイン)

 ■ 顔は少し漫画風で可愛く描き,着衣や背景はかなりリアルにというのが最近のフルCGアニメの常道である。本シリーズ4作目や同じピクサーの『インサイド・ヘッド2』(24年8月号)では,屋外シーンの描写で「実写でなく,CGだと分かる範囲でのリアルさ表現」の出来映えを褒めたのだが,本作にはそれがなかった。室内シーンが多く,屋外での冒険が殆どなかったためだろうか。せいぜい,住居周りの植栽や景観が10数年前よりは向上している程度であった(写真19)。遊び要素として,他作品のパロディやシリーズでお馴染みのオブジェクトが登場するが,「ピザプラネットの配達トラック」はその1つで,その車体の汚れ具合は結構リアルだった(写真20)


写真19 住宅地の庭の植栽や街路樹が少しリアルになった

写真20 お馴染みのピザ・プラネットの配達トラックが再登場。汚れ具合がリアル。

【総合評価:興行成績と映画ファンの評判を考慮して】
 本稿の途中までは公開日直後に一気に書いたのだが,世評やグッズ市場を調べている内に何週間も経ってしまった。筆者の評価はその後も変わらず,地震の震度階級風に言うならば「弱」である。
 公開週からの興行成績は優秀で,国内,北米ともに公開週から2週連続トップで,国内は『キングダム 魂の決戦』に,北米は『ミニオンズ&モンスターズ』(8月号掲載予定)に首位の座を明け渡したが,2位の座はキープしていた。ただし,北米集計も全世界累計も,第3作,第4作を超えてはいない。物価高で入場料単価はかなり高騰しているので,まもなく絶対額ではシリーズ最高額になることだろう。
 北米での批評家の評価は,ストーリーやキャラクター描写は高評価の半面,「『4』で綺麗の終わった物語の続編を作る必要があったのか」という声も少なくなかったようだ。『3』のラストでの持ち主交替よりも,ウッディが去ったことの方が重く見られているようだ。一般観客の評価は,ファミリー層の満足度は非常に高く,口コミも良好で,「思ったよりも良かった」の評価のようだ。本シリーズの熱烈ファンからは,「シリーズの質は保った」の声があるものの,「『3』や『4』ほどの感動には届かない」が大方の感想のようだ。
 日本国内の投稿に関して言えば,「すっかり感動した」「シリーズ最高傑作」の声がかなりあった。『4』を酷評して,『5』を持ち上げている投稿も目立った。もっとも,YouTubeの投稿は,一旦,ある意見の投稿動画を見ると,引き続き同系統の投稿がどんどん出て来るので,少し割り引いた方が良いかも知れない。
 ただし,筆者が感動を覚えた動画があった。今回の『5』用に人気女性歌手のTaylor Swiftが自ら作曲し,提供した主題歌が“I Knew It, I Knew You”である。劇中のジェシーのシーンで何度か流れ,エンドロールでも流れていた。この曲の公式ビデオも存在するが,それとは別に,1ファンがこの曲に合わせて自分が編集した独自映像がYouTubeに投稿されていた。『2』『3』『4』の名シーンを連ねた映像で,歌詞に見事にフィットしていた(写真21)。この映像のジェシーを見れば,誰もがジェシーを可愛く,愛しく思うに違いない。


写真21 第2〜4作の名シーンをバックに, 切ない主題歌が流れる
(C)2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 本作では,前半でリリーパッドを悪役にし,子供たちのほぼすべてがタブレット画面に熱中し,物理的なオモチャには見向きもしないという前提で描いている。それがテーマとは言え,かなり極端だ。筆者の身近から考えても,そんなことはない。確かに孫たちがiPadでYouTube動画やDisney+を見る時間は増えていて,取り上げない限り,いつまでもと止めない。それでいて,男児はプラレールや恐竜等のフィギュアを集めたがる。孫娘は今もぬいぐるみ人形が可愛がり,シール集めに熱中している。筆者らの子供時代は,TVを見過ぎだと言われた半面,野球や卓球にも熱心な両刀遣いであった。今の子供ならサッカーとUFOキャチャーだろうか。そもそも上記で述べたグッズビジネスが盛んであることは,子供たちが物理的なオモチャを親やサンタクロースにおねだりしていることを証明している。

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