O plus E VFX映画時評 2025年12月号
(C)2025 Disney Enterprises, Inc.
2025年12月5日 109シネマズ港北
(注:本映画時評の評点は,上から![]()
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言うまでもなく,大傑作『ズートピア』(16年5月号)の続編で,伝統あるディズニーアニメ(WDA)の64作目である。先頃,『 Mr. ノーバディ 2』(25年10月号)に対して,「邦題に余計な空白を入れるな。間延びして感じる」と苦言を呈したが,本作は原題『Zootopia 2』に対しても,邦題の数字の前に空白を入れず,節度あるシンプルな邦題が嬉しい。もう1つ嬉しいのが,最近,ディズニー本家の配給作品に酷評続きであったのに,本作は忖度なしで,![]()
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と評価できることである。
この映画評を始めた四半世紀以上前から,ファミリー映画としてのディズニーブランドの世界中での浸透度は言うまでもなかった。その後,フルCGアニメの元祖ピクサーを傘下に収め,さらにマーベルスタジオのMCU作品,ルーカスフィルムの『SWシリーズ』までディズニー配給網で扱うようになるとは驚いた。CG/VFX多用作を論じる当映画評は,まるで御用達の出入り商人のように絶賛し続けた。ところが,この2〜3年,平均的以下の低評価ばかりで,中には手厳しい酷評を連発してしまった。アメコミ・スーパーヒーローもののMCUは食傷気味で、一向に上昇気流に乗ってこない。Disney+で配信の「SWシリーズ」は観る気も起きない。かつて☆☆☆を連発したピクサー作品も,『バズ・ライトイヤー』(22年Web専用#4)『星つなぎのエリオ』(25年8月号)には新鮮味がなく,平凡そのものだった。
ディズニー本家の実写映画と言えば,名作アニメを実写化した『リトル・マーメイド』(23年6月号)『白雪姫』(25年3月号)は製作意図を疑う駄作で,主演女優の起用を巡って世界中で物議を醸した。そこそこヒットした『リロ&スティッチ』(同6月号)では高評価できなかった。『トロン:アレス』(同10月号)に到っては,評点と概要だけは掲載したものの,未だにメイン記事に格調する気になれない。こんな酷評ばかりでは,マスコミ試写案内から外されるのではないと心配した(笑)。そんな中で,忖度した訳ではないが,素直に高評価した『哀れなるものたち』(24年1月号)『猿の惑星/キングダム 』(同5月号)『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN 』(25年2月号)『プレデター:バッドランド』(同11月号)等々は,ディズニー配給網扱いであるが,傘下で独立ブランドの「20世紀スタジオ」や「サーチライト・ピクチャーズ」が製作した作品であり,まもなく公開の『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』も同様である。
ではせめて,アニメ専業のWDA作品はと言えば,第61作『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』(22年Web専用#7)は今イチであり,創立100周年記念の第62作『ウィッシュ』』(23年12月号)も失敗作の部類に入る。ところが一転して,昨年の第63作『モアナと伝説の海2』(24年12月号)が映像,歌ともに絶品であり,堂々と![]()
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評価することができた。嬉しかった。そこに,第64作もひけを取らない出来映えであったのに,2年連続で胸をなで下ろしたのである。
さて,約10年振りの本作であるが,フルCGアニメであるので,主人公たちは年をとらないから安心である。前作での名コンビ,キツネのニック(声:ジェイソン・ベイトマンとウサギのジュディ(声:ジニファー・グッドウィン)は健在で,ニックがZPD(ズートピア警察署)に警官として正規採用されたことにより,2人のバディ関係はますます強化されている。前作で登場した多数の動物キャラクターや楽園都市ズートピアの描写も万全である。本作では,新たに爬虫類地区を巡る騒動となる。実のところ。卒がない続編であり,これという欠点がないので,どう紹介しようかと迷っている内に,早くもGG賞のアニメーション部門にしっかりとノミネートされてしまった。同賞でもアカデミー賞の長編アニメ部門でも大本命であることは確実だ。先に12/12公開分の一般作品の紹介を先に済ませてしまうので,本作のメイン記事への拡張は今しばらくお待ち頂きたい。
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