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O plus E誌 2017年12月号掲載
 
 
ジャスティス・
リーグ』
(ワーナー・ブラザース映画)
      (C) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNEENTERTAINMENT LLC
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [11月23日より丸の内ピカデリー他全国ロードショー公開予定]   2017年11月13日 梅田ブルク7[完成披露試写会(大阪)]
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  あれっ!? スーパーマンがいない。そんなはずは…  
  当映画評のメイン欄で最高点☆☆☆を与えたのは,昨年は37作品中6作品であったのに,今年は既に12作品に与えてしまった。それもアメコミ作品に5回である。それゆえ本作には,余程のことがない限り☆☆☆は与えないつもりで完成披露試写に臨んだのだが,結果は表題欄でご覧の通りだ。その「余程の」楽しさと爽快感に溢れ,ヒーロー達の活躍を堪能できる映画であった。
 言うまでもなく,マーベルコミックの『アベンジャーズ』シリーズに匹敵する,DCコミックのスーパーヒーローのオールスター映画である。一般の映画ファンが「ジャスティス・リーグ」という名前を聞いたのは,昨年公開の『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(16)でのことだった(以下,『B vs S』と略す)。DCコミックとしては既に1960年からこのヒーロー集団を登場させ,1990年代にはTVシリーズも制作され,当時からJLA (Justice League of America)と略されていたようだ(写真1)。即ち,単に『アベンジャーズ』シリーズへの対抗上,急遽企画された訳ではない。
 
 
 
 
 
写真1 DCコミックでは半世紀以上前から,この集団が結成されていた
 
 
  『B vs S』ではまだスーパーマン,バットマン,ワンダーウーマンの3人だけだったが,JLAの結成と本作の公開は既に予告されていた。てっきり,この3人に何人かの超人たちが加わると思ったが,ポスターやチラシに描かれているのは5人で,どこにもスーパーマンの姿はない。確かに『B vs S』は,スーパーマンが自ら犠牲となることで怪物を倒し,落命するところで終わっていた。このままずっと主役が死んだままである訳はなく,既に最新の予告編ではロイス・レインとともに登場している。当然,何らかの方法で蘇生することは間違いない。
 その復活の時期と方法が本作の関心事で,@予告編程度の出番で,世界中がスーパーマンの死を悼む,A最後に復活し,活躍は続編に乞うご期待という寸法,B中盤までに復活し,後半は堂々と悪人達と戦う,のいずれなのか? 残念ながら,ネタバレになるので,これ以上は書けない。観てのお愉しみだ。
 監督は,リブート作『マン・オブ・スティール』(13年9月号)以降,シリーズ全体のメガホンを取ってきたザック・スナイダー。まず,スーパーマンの死を悼み,決意も新たなバットマンの再始動から始まる。オープニングシーケンスが短かめだと思ったら,タイトルロールの後,前作『ワンダーウーマン』(17年9月号)同様,王女ダイアナの痛快な悪人退治へと続いた(写真2)
 
 
 
 
 
写真2 この場所から颯爽と登場し,本作でも大活躍
 
 
  難敵の襲来を感じたバットマンは,JLAに参加する超人探しの旅に出る。纏め役として奔走する姿が健気だ(写真3)。そしてスカウトされた超人が,フラッシュ(写真4),アクアマン(写真5),サイボーグ(写真6)の3人である。とりわけ,フラッシュの最速移動が楽しい。それぞれの個性を活かした超人能力の紹介シーンが心地よい(写真7)。前半は,これぞスーパーヒーロー映画の真骨頂と思える出来映えだ。
 
 
 
 
 
写真3 リーダーとしての自覚も増してきたバットマン。この夜景シーンもよく出来ている。
 
 
 
 
 
写真4 まさに電光石火,超速の動きのフラッシュ
 
 
 
 
 
写真5 水陸両用のアクアマンことアーサー・カリーは海底都市アトランティスの王。
地上でも結構タフでパワフル。
 
 
 
 
 
写真6 致命傷を負ったビクター・ストーンは,全身の大半を機械化して「サイボーグ」として甦った
 
 
 
 
 
写真7 このシーンに至るまでの展開が実に壮快
 
 
  以下,個人的な思い入れを込めた感想である。
 ■ ようやく,この監督は『ダークナイト』シリーズの呪縛から抜け出し,独自世界を築き始めたように思える。各ヒーローの過去の作品の遺産も巧みに利用し始めた。ブルース・ウェインが乗るバットモービルは一段と進化している。蜘蛛のようなナイトクローラーのデザインも斬新だ。いくら富豪でも,個人の金でここまで作るのかと思うほどだ。彼のリッチぶりも楽しい。
 ■ デザイン的には,オタク青年のフラッシュの部屋(写真8)やサイボーグの電子的な機能が魅力的だった。なかんずく,まるでトランプ・カードをシャッフルするかのように,サイボーグがディスプレイ装置を操る場面が出色だ。
 
 
 
 
 
写真8 フラッシュの素顔はバリー・アレンなるオタク青年
 
 
  ■ スーパーマンの死を悼む場面で,恋人のロイス・レイン(エイミー・アダムス)と養母のマーサ・ケント(ダイアン・レイン)が嫁と姑のような関係で登場する。このシーンが実によく,交わす言葉に思わず涙する。レイン繋がりで,この2人は仲が良いのかと…(笑)。
 ■ 巨匠ハンス・ジマーはアメコミ映画から引退したので,スコアはすべてダニー・エルフマンが書いている。見事な後継者だ。冒頭でSigridが歌うスーパーマン追悼歌「Everybody Knows」は美しく,エンドソングとしてGary Clark, Jr.が歌う「Come Together」にも痺れた。
 ■ 本作の敵は宇宙から来たステッペン・ウルフだ。どの映画でも常に史上最強の敵だが,彼の脅威もファイナル・バトルも,こんなものだろう。当然,CG/VFXはボリュームたっぷりだ(写真9)。主担当はScanline VFX,副担当はMPCとDouble Negativeの英国勢で,他にWeta Digital, Method Studios, Pixomondo, Shade VFX, Rodeo FX, Blind Ltd.等が名を連ねている。
 
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写真9 終盤の壮絶な戦いに向けて,敵も続々と集結
(C) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
AND RATPAC-DUNEENTERTAINMENT LLC
 
 
 
  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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