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O plus E誌 2015年7月号掲載
 
 
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』
(ウォルト・ディズニー映画)
      (C) Marvel 2015
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [7月4日よりTOHOシネマズ日劇他全国ロードショー公開予定]   2015年5月20日 TOHOシネマズ梅田[完成披露試写会(大阪)]
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  6ヒーローが再集結,予想通りのボリュームで雄大  
  衝撃度と狂気の沙汰という意味で,上記の作品に本号のトップを譲ったが,CG/VFXの質と量では本作が断然上であり,本年度公開作の中でもNo.1である。もはや言うまでもなく,マーベル・ヒーローのオールスター映画の第2弾であるから,CG/VFX大作であることは先刻承知の上だ。前作『アベンジャーズ』(12年9月号)の最後で続編の本作が既告されていたし,その後の個々のスーパーヒーロー単独主演作でも繰り返し宣伝されていた。その意味では,3年ぶりの再集結,お祭り映画は,全く予定通りの完成・公開であり,固定ファンの支持により,世界各国の興行成績も順調そのものである。
 何度も書いたが,この間の単独主演作『アイアンマン3』(13)『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(14年2月号)『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(同5月号)はいずれも上質だった。別路線の5人組の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(同9月号)もしっかり作られていて,見応え十分だった。他社に映画化権を売っているため,本シリーズには合流できない『アメイジング・スパイダーマン2』(14年5月号)『X-MEN:フューチャー&パスト』(14)も負けじと良作をぶつけて来ている。
 もう,どの映画会社が製作し,誰が監督であっても,一定水準以上の上質エンターテインメントを供給できる態勢が出来上がっている。観客満足度を維持するだけの脚本家たちが揃っているし,CG/VFXは主要スタジオに分割発注すれば,いずれも前作を上回るクオリティを達成して納品してくれる。もはや当欄で個々の技術を論じる意味はなく,VFX技術がそういう時代にさしかかったことを,同時代体験で記録しているだけである。
 監督・脚本は,前作に引き続きジョス・ウェドン。主要登場人物は,前作では4スーパーヒーロー(アイアンマン,ハルク,ソー,キャップテン・アメリカ)+2サブヒーロー(ブラック・ウィドゥ,ホークアイ)だったが,本作では,スカーレット・ヨハンソンとジェレミー・レナーが演じる後者2人の出番が増えていて,6大ヒーローの扱いだ。冒頭の森の中のバトル・シーンで,早くもこの6人が勢揃いする(写真1)
 
 
 
 
 
写真1 冒頭シーケンスで6人揃っての顔見せバトル
 
 
  つかみとしては上手い演出だと思うが,この顔見せバトルが終わった後もノンストップ・アクションが延々と続く。オープニング・シーケンスの30分は長い。中盤も目まぐるしい展開で息もつけない。もう少しゆったりして,遊びも欲しかったと感じた。6ヒーローの他に,謎の能力をもつ双子の姉弟が新登場するが,彼らの運命は観てのお愉しみということにしておこう。
 アベンジャーズたちのリーダー格が,アイアンマンことトニー・スタークであることには変わりない。定番であるスターク工房のビジュアルは楽しい(写真2)。期待通りの見せ場である。その反面,本作では筆者のお気に入りのミス・ポッツが登場しないのが淋しい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
写真2 毎度楽しみな,ラボ内でのハイテク表示
 
 
  そのスターク工房で生まれた最新AIロボットがウルトロンである。人類の平和を守るための人工知能システムが暴走し,人間を敵と見做して戦いを挑んでくるというのが物語の骨子である。想像を超える最強の敵に対して,人類滅亡を防ぐため,ヒーローたちが再集結するという定番の構図は止むを得ないとしても,このウルトロンのデザインにはもう一工夫欲しかった(写真3)。最新AIマシンがどのような頭脳を備えているのかにも,もっと理詰めの解説が欲しかったところだ。
 
 
 
 
 
写真3 敵役ウルトロンには,もう一工夫欲しかった
 
 
  6ヒーローは入れ替わり,立ち替わり,しっかりと存在感を示す出番がある。1人の扱いが少ないなと感じたところに,そのヒーローが重い役で登場する。6人の出番が計ったように均一化されているが,そのため柱がなくなってしまった感もある。
 褒めておくとすれば,やはり後半のVFXシーンの迫力だろうか。ソウル市内でのバトル,地下鉄の暴走シーンは事前にプレビズでしっかり練られた感がある(写真4)。さらに終盤,架空の町ソコヴィアの破壊シーンは圧倒的だった(写真5)。地割れ,地盤が持ち上がるシーン(写真6)は,雄大で壮観だ。CG/VFXの主担当はILM,副担当はDouble Negativeで,その他の参加はMethod Studios,Lola VFX, Animal Logic, Luma Pictures,Framestore等々,多数でメモが追いつかなかった。 
 
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写真4 暴走するソウル地下鉄内でのアクション・シーン
 
 
 
 
 
写真5 クライマックスはソコヴィアの町でのバトル
 
 
 
 
 
写真6 終盤のこの地盤隆起と崩壊は,圧巻の表現力
(C) Marvel 2015
 
 
  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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