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            plus E誌 2017年12月号掲載 | 
         
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                      (C) 2017 荒川弘/SQUARE ENIX 
(C) 2017映画「鋼の錬金術師」製作委員会
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                       オフィシャルサイト[日本語] | 
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                      [12月1日より丸の内ピカデリー他全国ロードショー公開予定] | 
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                      2017年11月8日 GAGA試写室(大阪) 
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    (注:本映画時評の評点は,上から   ,  , , の順で,その中間に をつけています。) | 
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    大人気コミックの実写映画化は, 紹介意欲も湧かず… | 
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     |   |  開口一番のネガティブ発言で恐縮だが,全く紹介記事を書く意欲が湧かなかった邦画作品だ。ところが,原作は大人気の伝説的コミックで,CG/VFXもたっぷり登場する話題作となると,立場上,当欄は避けて通れない。誰を対象に,どう評価するかを考えると悩ましかった。 
 荒川弘原作のコミックは,2001年8月号から約10年間「月刊少年ガンガン」に全108話が連載された。単行本は全27巻,累積6000万部を超える大人気作品で,「ハガレン」の愛称で知られている。既にTVアニメ化は2度,劇場用アニメ映画も2度製作され,ラジオ番組や多数の関連ゲームも作られている。 
 思想としての「錬金術」の歴史は古く,古代ギリシャの時代から,「賢者の石」を得て,非金属を貴金属に換える技術として探求された。本作は,その錬金術が既に存在するという前提である。19世紀の産業革命前後の欧州を舞台とし,架空の国「アルメトリス」で父親から錬金術を学んだエドワード(エド)とアルフォンス(アル)のエルリック兄弟が主人公だ(写真1)。「等価交換」や「合成獣理論」等,もっともらしい屁理屈も備わっているが,錬金術師はある種の魔法使いのような技を繰り出して敵と戦うと考えて良い。右腕と左足を亡くしたエドは機械鎧を装着し,アルは空洞の甲冑姿で中に魂だけが入っているという,ユニークな外観の兄弟である。 
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              | 写真1 本作のために作られたイメージイラスト。原作コミックよりずっと高級感がある。  | 
             
          
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  |   |  魔法のような錬金術を駆使する実写映画となると,当然CG/VFXを多用する必要がある。そこで抜擢されたのが,『ピンポン』(02年7月号)の曽利文彦監督である。USC留学中に『タイタニック』(97)のVFXに関わったという人物だけに,マーベルやDCのアメコミ大作に匹敵する作品を目指すには妥当な人選であると思われた。 
 ところが,映画は全くの駄作で,出来映えは「コミック>アニメ>>実写映画(本作)」の順であった。酷評することは憚られたが,今月のもう1本が同じワーナー作品ゆえ,悩みつつも,長所・短所を忌憚なく併記することにした。まずは,精一杯見つけた長所からである。 
 ■ 兄弟が母を亡くし,人体錬成の禁を犯したことから現在の姿になるまでの経緯を語るイントロは,原作よりも分かりやすかった(写真2)。冒頭からCG/VFX全開で,ハリウッド大作を意識した構成であることは容易に分かる(写真3)。欧州テイストを与えるため,イタリア・ロケを敢行し,ヴォルテッラの街をドローンで撮影し,街全体のバーチャルセットを作り上げたという(写真4)。この街を背景としたVFXシーンのクオリティは上々だ(写真5)。地面が盛り上がり,建物が崩壊するシーン等の制作は,曽利監督が設立したOXYBOT社が主担当で,ステルスワークス,PAGODA等,約10社が参加している。 
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              | 写真2 幼いエドとアルは,この部屋で人体錬成を行おうとする  | 
             
          
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              | 写真4 ドローンで撮影し,街全体をバーチャルなセット化した  | 
             
          
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              | 写真5 そのCGセット内でアクションシーン。よく出来ている。  | 
             
          
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  |   |  ■ 原作の登場人物もエピソードも数多いが,映画1本に収めるには,ファンの期待を裏切ってでも端折らざるを得ない。その取捨選択やキャスティングは悪くなかったと思う。ネット上では,主演のエド役の山田涼介を嫌う声も多数見られたが,身長やルックス自体にそう違和感はない。野心家の「焔の錬金術師・マスタング大佐」にディーン・フジオカも悪くない配役だ。「暴食・グラトニー」役の内山信二は,まさに瓜二つである。 
 一方,本音で指摘せざるを得ない問題箇所である。 
 ■ 甲冑姿のアルはすべてCGで描いたという(写真6)。一部は実物でも十分と思うのだが,フルCGの割りには躍動感が乏しく,質感も今イチだ。中盤のCG/VFXは,敵役ラスト(松雪泰子)の指先から伸びる刃とマスタング大佐が錬成する火炎(写真7)に頼り過ぎで,飽きてしまう。さすがに終盤には,大量のCG製のホムンクルスが登場するシーンが用意されている。CGの質的にはまずまずだが,デザインはグロテスクで悪趣味だ。 
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              | 写真6 甲冑姿のアルは,全編フルCGで描いたという | 
             
          
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              写真7 マスタング中佐の火炎錬成は多用し過ぎ 
(C) 2017 荒川弘/SQUARE ENIX (C) 2017映画「鋼の錬金術師」製作委員会  | 
             
          
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  |   |  ■ 最大の欠点は,物語のリズムが悪く,映画としてまるで面白くないことだ。中途半端に原作の代表シーンを入れ,既視感を与えようとして,見事に失敗している。主演の山田涼介の演技力のなさは『映画 暗殺教室』(15年4月号)で証明済みだが,芸達者なはずの大泉洋,國村隼,小日向文世らの助演陣も冴えなかったから,これは脚本が劣悪で,監督の演出力がお粗末なためと言わざるを得ない。脚本と音楽は邦画の最大の難点だと再三指摘してきたが,まさにその典型例である。これじゃ,アメコミの大作には到底太刀打ちできない。元の素材は悪くないのだから,ワーナー資本で,もう少しまともな脚本家と演出家を採用していたならと惜しまれる。
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    (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています) | 
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