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O plus E誌 2017年7月号掲載
 
 
怪盗グルーのミニオン大脱走』
(ユニバーサル映画)
     
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [7月21日よりTOHOシネマズ六本木他全国ロードショー公開予定]   2017年6月6日 TOHOシネマズ梅田[完成披露試写会(大阪)]
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  3作目にして主役開眼,ミニオン抜きでも大活躍  
  勢いとは,凄いものだ。そう実感した一作だ。「長編フルCG映画というだけで,メイン欄で論評する時代は過ぎた」と宣言して久しい。実際,本シリーズの前2作も短評欄でしか紹介していない。本作も次号の短評欄掲載の予定が,急遽本号のメイン欄で語ることにした。
 脇役のミニオンの人気に便乗し,イルミネーション・エンターテインメント作品がいずれもヒットしている。『ペット』(16年8月号)も『SING/シング』(17年3月号)も,本邦で興収数十億円を稼ぎ出している。人気と作品の出来は別物という例は多々あるが,それでもシリーズ物がヒットするのはいいことだ。稼ぎが大きいなら,それだけ次作の製作費が豊かになる。脚本,俳優(この場合は声優),CGに回せる資金が潤沢になり,その分,どんどんクオリティが上がってくるからだ。本作は,その効果が如実に表れた成功作だと思う。
 上記スタジオの原点とも言える『怪盗グルー』シリーズの3作目で,原題は『Despicable Me 3』だ。元々は洒落っ気で「卑劣感のオレ」あるいは「俺様は,嫌味な奴」の意味でつけたのだろう。これでは邦題にならないから,1作目は『怪盗グルーの月泥棒 3D』(10年11月号)とし,3D演出効果をウリにしていた。2作目は『怪盗グルーのミニオン危機一発』(13年10月号)で,ミニオンを前面に出し,007シリーズにあやかった邦題だった。本作も当然それを踏襲しているが,ミニオン達の大活躍を期待していると,見事に外れだ。早々とグルーの下から去ってしまい,終盤戻ってくるが,物語には関係しない(写真1)。ただし,物語の切れ間で何度も,それも数だけはどっさりと顔見せに登場する(写真2)
 
 
 
 
 
写真1 皆出て行って,残ったのはメルとデイブだけ
 
 
 
 
 
写真2 途中,物語とは無関係に何度か登場する
 
 
  その分,「本来の主役は俺様だ」とばかりに,大活躍するのがグルーである。3作目にして本領発揮で,作品的にもイルミネーション全作品中の最高傑作だと言える。以下,その見どころである。  ■ 冒頭シーケンスでの悪党バルタザール・ブラットとの対決から快調だ。スピーディな展開,ギャグ満載で,『ミッション:インポッシブル』シリーズはじめ,アクション映画のパロディ・シーンがぎっしり詰まっている。家族連れで観賞での,映画通の親世代へのサービスだ。中盤から終盤にかけてのブラットの要塞への侵入シーンも,思いっきり楽しめる。1作目からの伝統だが,室内の調度や武器類が更に多彩になり,センスがいい。
 ■ ルーシーと結婚し,三姉妹を養女にした家庭も円満だ。卑劣漢だったはずが,すっかり「良きパパ」になった。ファミリー映画としての条件クリアのためのシーンだろうが,それが余り嫌味でない。特筆すべきは,双子の兄ドルーの登場だ(写真3)。彼の存在と性格の描き分けで,グルーの個性が一段と引き立つ脚本になっている。白黒2人のコンビで織りなすギャグも抱腹絶倒だ。
 
 
 
 
 
 
 
写真3 双子の兄ドルーは,髪フサフサで大金持ち
(C) 2017 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED
 
 
  ■ もはや,CG技術そのもので解説すべき新技術はない。ただし,3D-CGならではの構図やカメラワークに一段と磨きがかかっている。ミニオン以外にも,様々な事物も膨大な数が登場するのは,CG描画ゆえの演出だ。ディズニー・アニメには伝統的なアニメーターの技を感じるが,新興勢力にはそんな拘りや制約はなく,自由奔放にCGパワーを駆使していると感じられる。    
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  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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