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O plus E誌 2001年10月号掲載
 
 
star purasu
『キャッツ&ドッグス』
(ワーナー・ブラザース映画)
 
(c)2001 Warner Bros. All Rights Reserved.
       
  オフィシャルサイト[英語   (2001年9月14日 ワーナー試写室)  
         
     
  犬と猫,視覚効果も入り乱れ  
   こちらは,今やVFXの定番の1つとなった動物もの。今年に入ってからでも『102』(3月号)『ドクター・ドリトル2』(8月号)がその類いだし,『ベイブ』(95)『スチュアート・リトル』(99)もこの範疇の代表作だ。この映画では,動物たちが悪人をやっつける代わりに,世界制覇を狙う猫たちとその野望を阻止せんとする犬たちのバトルがテーマだ。
 人間役の主演は,犬アレルギー解消の新薬を研究するブロディ教授に『ザ・フライ』(86)『インデペンデンス・デイ』(96)『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(97)のジェフ・ゴールドブラムと,その夫人役に『ビッグ』(88)のエリザベス・パーキンス。J・ゴールドブラムは,こういう科学者役がよく似合う。今回はアニマトロニクスにCGでトークさせる組み合わせもあったようだ。
 
     
 
(a) 演説をぶつのはフルCGのティンクルズ(b) こちらはアニマトロニクスか?
(c) 子犬のルーは実物+アニマルトーク(d) 忍者ネコは主としてCG
写真1 実物,アニマトロニクス,CG入り乱れての戦
(c)2001 Warner Bros. All Rights Reserved.
     
   強いて言えば,子犬のルーをはじめ,犬は大半が実物で,アニマルトークを施している。毛が多く,動きも表情変化も少ない何匹かは,アニマトロニクス主体に見えた。一方の猫は,主役のミスター・ティンクルズをはじめ,アニマトロニクスとフルCGの使い分けだろう。いかにもCG丸出しの忍者ネコや多数のネズミたちは,ちょっと出来が落ちるが,これはご愛嬌だろう。
 アニマトロニクスの製作はイギリスの名門ジム・ヘンソン・クリーチャーズ・ショップ,アニマルトークはおなじみリズム&ヒューズ社のお家芸で,これは『ベイブ』と同様のコンビだ。加えて,VFXにはテペット・スタジオ,マットワールド・デジタル社等数社も参加していて,動物ものSFX/VFXには最強の布陣を敷いている。
 そんな中でも特に力が入っていたのは,ミスター・ティンクルズだ。顔面だけのCGが得意なR&H社がこの猫のフルCGモデリングに挑戦し,毛や髭のセルフシャドウの質感表現に新しい手法を開発した。毛や布地や水の表現に物理モデルを立て,独自のshaderを開発するのが現在各CG/VFXスタジオの腕の見せ所となっている。『スチュアート・リトル』ではネズミのスチュアートはフルCGでも,相手役のスノーべルは本物の猫だった。この映画では,明らかにそれに対抗しようというR&H社の意気込みが感じられた。
 それだけのパワーを使ってはいるものの,すべて実物に見えるかというと,そのレベルには達していない。速い動きと短いカットで誤魔化している感は否めない。この映画のフルCGの猫たちと『ファイナルファンジー』の人間を比べたら,ずっと後者の方がよくできている。
 ファミリー映画で,動物アクションだからマンガ的な表現が許されるのだろうが,それにしては少し騒々しい。大人がアクション映画として見るには緊迫感が足りない。それでも『陰陽師』に比べれば,ずっと娯楽作品としての完成度は上である。
 
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