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(注:本映画時評の評点は,上から,,,の順で,その中間にをつけています。) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
白鳩が導くCG紙芝居,ジョン・ウー流の三国志絵巻 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
今月は秀作が多いが,この映画から語ることにしよう。カタカナ表題で,ハリウッド製山岳アドベンチャーかと思わせるが,「赤壁」と書けば分かるだろうか。群雄割拠,波乱万丈の「三国志」の中でも名高い「赤壁の戦い」を描いた中国製歴史映画だ。ならば漢字で書けば良いのに,なぜ日本の配給会社は懲りもせず,中国映画に英語名やそのカタカナ表記を使いたがるのだろうか。 |
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他の多数の登場人物の中で一際目を引くのは,周瑜の妻で絶世の美女として知られる小喬で,台湾のトップ・モデル,リン・チーリンが選ばれ,これが映画デビューとなる。演技はともかく,宝塚スターのような華やかさと気品を併せもっている(写真3)。劉備と曹操はもとより,孫権の妹・尚香,劉備軍の将軍・趙雲,豪傑の関羽や張飛にも個性的な名優たちがキャスティングされている。日本からは周瑜配下の武人・甘興役に中村獅童が参加しているが,存在感のある良い演技を見せている。 |
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写真3 気品溢れる台湾のトップ・モデル。うん,この美女なら人妻でも奪いたくなるな。 |
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本作品は「赤壁の戦い」だけに絞った映画だが,それでも前半は時代背景や多数の人物の紹介に費やされ,ジョン・ウーにしてはスローで,格調高い語り口だ。ところが,劉備・孫権の同盟が成立し,曹操の大軍(写真4)が押し寄せる頃から,物語はギアチェンジし,テンポとテンションが一変する。クライマックスは,曹操軍を迎え撃つ陸戦で,諸葛孔明の奇策「九官八卦の陣」(写真5)による戦いである。抜群に面白く,「さすが,ジョン・ウーだ」と唸るシーンが続く。まるでビジュアルな講談であり,CGを駆使した動く紙芝居のようだ(ちなみに,紙芝居は諸葛孔明の発明品である)。 本作のCG/VFXの主担当はOrphanage社で,他にCafe FX,Pixel Magic,Tippet Studio等の名が並ぶ。言うまでもなく,大軍の戦士はCG製であるし,2000隻が登場するという船の大半もCGで作られている(写真6)。その他随所にハリウッド製のVFXが登場し,前後編合わせて1000シーンを超えているようだ。 次なる興味はこの監督定番の白い鳩だが,どこで登場するのかと思えば,遠慮会釈なく何度も登場する。最後は,諸葛孔明の手を離れたCG製の白鳩が,大規模水軍をフライスルーして曹操軍の本陣まで誘う案内役まで務めてくれる。これにてPart Iはオシマイ,お目当ての海戦はPart IIを観てのお愉しみ,という訳だ。巧みな予告で,今からPart IIが待ち遠しい。 |
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(画像は,O plus E誌掲載分から追加しています) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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