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O plus E誌 2008年12月号掲載
 
    
 
その他の作品の短評
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
   ■『ブラインドネス』 :原作小説の邦題は「白い闇」で,突如目の前が真っ白になって視力を失う恐怖が描かれている。猛烈な伝染性をもつため,発病した患者達が精神病院に隔離される。ちょっとゾンビものに近い設定で,危機的状況からの脱出行というのもよくある展開だ。感染者全員が失明する中で,なぜか眼科医の妻(ジュリアン・ムーア)1人だけ目が見えているという設定が面白い。緊迫感があり,結末も悪くない。
 ■『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』 :ベン・スティラーが製作・監督・脚本・主演のサバイバル・コメディーで,20年間温めていた企画だという。自己中の役者たちが映画撮影で東南アジアへ赴き,本物の戦争に巻き込まれるという設定だ。爆笑に次ぐ爆笑の展開と多数の有名ハリウッドスターのカメオ出演がウリだという。なるほど,冒頭はこの映画は相当に面白いなと期待させるが,中盤以降は消化不良に陥り,一体何が面白いのか分からなくなる。ずっと禿頭の敵役で登場するスーパースターの名を何故伏せる? これだけずっと出て来ればカメオ出演でもないだろうに……。
 ■『バンク・ジョブ』:英国映画。時は1971年,「ウォーキートーキー強盗」として知られる英国史上最大の銀行強盗事件をもとにしたクライム・サスペンスだ。王室スキャンダルや大規模な警察官贈収賄が絡んで複雑な展開となる。銀行潜入,金品強奪までより逃走後の成り行きの方が面白いが,俳優も演出も極めて地味だ。ハリウッド製なら,名のある曲者俳優を使い,緊迫感と派手なアクションでもっと楽しませてくれただろうと感じながら観ていた。後で知ったが,何と「90%以上が事実」だという。ならば,これでいい。実話でこの展開と結末は驚きだ。英国らしさが滲み出ている秀作だ。
 ■『デス・レース』: 何という酷い想定だ。孤島の刑務所内で繰り広げられる殺人レースで,それがTV中継され人気番組だという。流血と破壊の過激なレース模様には呆れ返る。誰がこんな映画を観るのだ? レース好きか,暴力好きか? 映画は絵空事とはいえ,こりゃあんまりだ。と感じつつ観ていたが,最後は実にスカッとする。米国人のマスタング好きにも感心する。  
 ■『特命係長 只野仁 最後の劇場版』  :GWに大ヒットした東映の『相棒−劇場版-』(08年5月号)に対抗するかのような企画で,こちらは松竹配給だ。同じくテレビ朝日系の人気シリーズの映画化だが,主人公・只野仁は負けず劣らず魅力的だ。昼間のさえない窓際係長はクラーク・ケント,夜の特命を受け悪を倒すクールなヒーローはブルース・リーを彷彿とさせる。最強の敵2m18cmの巨人チェ・ホンマンは,007が闘ったジョーズを想い出す。物語は他愛もなく,定番のお色気シーンも映画ゆえのCG/VFXシーンもご愛嬌の範囲だが,ただただ高橋克典が演じるこの主人公に魅力がある。
 ■『ラースと,その彼女』  :人間関係が苦手な内向的な青年ラースが恋愛関係に陥った相手は,インターネットで注文した等身大のリアルドール(ダッチワイフ)のビアンカだった! ネット時代を皮肉ったコメディかと思えば,心優しい男(ライアン・ゴズリング)と彼を取り巻く心優しい田舎町の人々を描いた人間ドラマだった。まさに脚本の妙,アカデミー賞脚本賞ノミネート作だけのことはある。ハートフル・ドラマのように見せかけて,「人々の信仰や宗教心とは,この程度のものだ」という痛烈な批判とも読み取れた。
 ■『ワールド・オブ・ライズ』  :『アメリカン・ギャングスター』(08年2月号)で70年代NYの麻薬取引ルートを描いたリドリー・スコットが,舞台を現代の中近東に移し,大規模なテロ組織を追うCIA局員の活躍を描く。お気に入りのラッセル・クロウと組む今回の2大スターの一方は,レオナルド・ディカプリオだ。骨太で緊迫感溢れる社会派アクション・サスペンスで,SPIW製のインビジビルVFXも多数配されている贅沢な作りだ。レオ様が恋する美形のイラン人女優も登場するのだが,全体的に硬派過ぎて,遊び心が少ないのが唯一の欠点だ。
   
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