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ブラッド・ピットは陰の主役 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本場アメリカには,「Cinefex」という特撮専門雑誌がある。American Cinematographer誌が月刊で撮影監督,キャメラマン向きで,特撮以外のカメラや照明の話題も含まれるのに対して,Cinefexは季刊のFX専門誌である。 99年7月発行の第78号は丸ごと『SW エピソード1』で,10月発行の第79号では『ワイルド・ワイルド・ウエスト』『ホーンティング』『マトリックス』シックスの4作品の記事が載っている。最近VFX作品が急増しているため,同誌が取り上げる率も低くなり,時期も遅れ気味である。ということは,同誌に掲載される作品こそ,SFX/VFX作品の一級品ということになる。 そのCinefex誌が次号(2000年1月号)で取り上げるというので,早速『ファイト・クラブ』を観に行ったのだが,期待に反してSFXのウェイトは大きくなかった。メインタイトル,主人公の住むコンドミニアムの家具レイアウト・シーン,その爆発炎上,夢に出てくる北極のペンギン,エンディングのビルの崩壊シーン等々はディジタル処理の産物だろうが,この映画の中で大きな意味は持っていない。監督のデイビッド・フィンチャーは,マット・ペインティング出身というから,どこかでディジタル・マット画を多用していたのかもしれないが,気が付かなかった。 『セブン』のブラッド・ピットとデイビッド・フィンチャー監督のコンビの再現という触れ込みだが,主演兼ナレーターはエドワード・ノートンである。ブラッド・ピットは汚れ役の脇役,いや陰の主役と言うべきかもしれない。映画を見終わった時,この意味が判っていただけるだろう。 エドワード・ノートンは,デビュー作『真実の行方』での二重人格の殺人犯少年役が強烈だった。『ラウンダーズ』で主役のマット・デーモンに絡む小悪党ワーム役も印象的で,初めはブラッド・ピット演じるタイラー・ダーデン役と逆の方が良かったのにと思った。しかし,主人公ジャックは,E・ノートンの恐ろしいまでの演技力なしでは描けなかっただろう。 この好演にもかかわらず,全体としては妙な映画である。機中で知り合った2人が一緒に住み,素手で殴り合うようになる。次第に見物人が増え,暴力と苦痛で精神の浄化を図る「ファイト・クラブ」が結成される。全国各地に生まれたこのクラブが,やがてテロリスト集団化していく,というストーリー展開である。ファイトといっても,爽やかなスポーツものでなく,この暴力と狂気は見ていて気持ちがいいものではない。ダラダラと2時間19分も長すぎる。 主人公ジャックが,ある疑問をいだいたところからストーリーは急旋回するが,あまり話すとネタバレになるのでここらで止めておこう。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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刺激的だが,後味は良くない | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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