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3匹でも十分怖い | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
原題は『Deep Blue Sea』。数年前に観たIMAX3D映画『ブルー・オアシス』(原題:Into The Deep)は,海中生物の生態が立体映像でキレイに描いてあった。題名は紛らわしいが,中身は似ても似つかないパニック映画だ。 人喰い鮫の恐怖というと『ジョーズ』の五番煎じか十番煎じかと想像するが,パニック映画としての仕上がりはかなり良く出来ていた。遺伝子操作により巨大化し知能を持った鮫が逃げ出すという設定から『ジョーズ』+『ジュラシック・パーク』という宣伝文句だが,沈み行く密室から海上への脱出という点では名作『ポセイドン・アドベンチャー』を彷彿とさせる。 監督は『ダイ・ハード2』『クリフハンガー』のレニー・ハーリン。アクション映画のツボを心得ているだけあって,娯楽作品としての魅力は満載だ。この映画がヒットしないとしたら,タイトルにパンチが欠けるのと,キャスティングが地味だからだろう。『ダイ・ハード3』『交渉人』のサミュエル・L・ジャクソンと黒人人気シンガーのLL・クール・Jといった脇役は悪くないが,主演の男女(トーマス・ジェーンとサフロン・バローズ)にもう少し目立つ俳優を使っても良かったかと思う。 ストーリーは単純明快。アルツハイマー病の特効薬開発に人喰い鮫マコシャークの改造実験を試みているが,その海洋医学研究施設がふとした事故から破壊され海中に沈下する。生存者達は,逃げ出した鮫と押し寄せる水の恐怖の中を水上へ脱出行を試みる,という設定だ。 見せ場のSFXは,もちろん水と鮫の処理だ。『タイタニック』の撮影用にメキシコ・バハに作られた巨大スタジオに,今度は本作品の施設アクアティカを建設し,同じタンクや浄水施設を再利用したという。一方,鮫の動きは『フリー・ウィリー』で得たアニマトロニクス操作とCGの鮫を使い分けている(写真)。いずれか判別しにくいところもあるが,全体としてCGは少なく,アニマトロニクスの方が多かったように感じた。
CGの鮫は『スター・ウォーズ エピソード1』の数々のクリーチャーに比べて遥かにシンプルだし,恐竜やゴジラよりも表情と皮膚も簡単だ。それでも,アニマトロニクスで十分なところにCGを使う必要はない。CG向きといえば,数十〜数百匹をずらっと並べたり,空中に舞い上がらせることだろうが,この映画にその必要性は感じなかった。怖さは3匹でも十二分だった。レニー・ハーリン監督はハイテク通とは思えないが,それでもこれだけのSFXが使えたのは,過去の作品からの蓄積,ハリウッド全体のレベルアップのお陰である。視覚効果担当には,シネサイト,ILM,マネックス1)等の名があったが,エンドロールを最後まで見てもVFX技術者の名は多くなかった。必要なところを少しずつ外注に出したのだろう。 G・ルーカスのようにCGを多用することばかり考えていないで,監督は演出に専念していれば,面 白い作品になるという見本である。 娯楽作品であるが,DNA操作と新薬製造への批判と警鐘も含まれている。あまり強いメッセージでなく,嫌みでないところに却ってズキリと来る。女主人公の医学者スーザンが,迫り来る鮫を前にしてなお実験データを追う姿に,醜さよりもシンパシーを感じてしまった。これは,筆者が映画評論家でなく,根が研究者のためだろうか。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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誰が食べられるかはお楽しみに | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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用語解説 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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