head
titlehome略歴表彰学協会等委員会歴主要編著書論文・解説コンピュータイメージフロンティア
| INDEX | 年間ベスト5 | DVD特典映像ガイド | SFXビデオ観賞室 | SFX/VFX映画時評 |
title
 
O plus E誌 2003年3月号掲載
 
 
『クローサー』
(コロンビア映画/SPEJ配給)
 
       
  オフィシャルサイト[日本語]    2003年1月31日 SPE試写室  
  [3月下旬より全国東宝洋画系にて公開予定]      
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  アクションもコンピュータ画面も超ハリウッド級  
   ハリウッド製以外にも,ソニー・ピクチャーズエンタテインメントが香港やドイツで製作したり,ヨーロッパ映画やラテンアメリカ映画を発掘してきて配給する「ワールドシネマ」の一作だ。中でも,この映画のように香港製でも最初から「コロンビア映画」ブランドで世界配給する予定で製作した作品は,ハリウッドを意識し少しスケールの大きな作りになっている。
 原題は『夕陽天使』,英題は『So Close』だが,邦題には『クローサー』なる国籍不明の言葉が選ばれた。台湾生まれ,中国本土生まれ,香港生まれの女性3人が並んだポスターを見せられて,カンフー・アクションのスタイリッシュ・サスペンスと聞くと,同じSPE製の『チャーリーズ・エンジェル』(00)を思い出させる。いや,今夏にその続編『チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル』が公開されるので,それを十分意識していることは明らかだ。ところが,アクションの出来栄えはずっと上で,ストーリー展開も面白かった。キャメロン・ディアスやドリュー・バリモアの付け焼き刃のお嬢ちゃんバトルと違って,さすが中国女優は基礎訓練が違うと感心した。
 3人ワンセットの女性チームかと思いきや,それは違っていた。リュック・ベッソン製作の最近作『トランスポーター』(02)でヒロインに抜擢された台湾生まれのセクシー美女のスー・チー(写真1)が中心で,コンピュータと通信衛星を駆使してメールで依頼された殺人を請け負う暗殺者「電脳天使」のリンを演じる。その妹クワン役は,『少林サッカー』(01)で日本にも知られるようになった中国のトップアイドルのヴィッキー・チャオ(写真2)。この2人を追う女性刑事コンが香港女優のカレン・モクで,2対1に分かれての対決となっている。
     
 
写真1 アクションの合間に太もも露なセクシーポーズが目立つスー・チー 写真2 本格的アクションは初めてという割には,決まっていたヴィッキー・チャオ
 
     
   監督は,上述の『トランスポーター』でハリウッド・デビューを果たしたコーリー・ユン。むしろ,ジェット・リーと共にアメリカに進出し,彼の『リーサル・ウエポン4』(97)『ロミオ・マスト・ダイ』(00)『ザ・ワン』のアクション監督や,『X-メン』(01)のセコンドユニット監督とアクション・シーンを担当した経歴に注目すべきだろう。なるほどこの監督のアクション指導は並みではない。何となくかったるかった香港映画の単純な展開が,リンとコンの女性対決シーンから急に引き締まる。中盤の襲撃シーンやクライマックスの武道マスター(倉田保昭)との刀剣でのバトルは迫力満点だった。いやぁー凄い。本格的を通り越して,超ハリウッド級で世界一のアクションだ。
 VFXは『少林サッカー』と比べるとそう多くなく,2度の人物落下シーンなどは下手くそだった。むしろCGは,リンやクワンが駆使するコンピュータ画面上で多用されていた。このグラフィックは,ハリウッド映画と比べても極上の出来栄えだった。センスがいい。
 人工衛星から観察した地球上の映像を自在に操るシステムを「ワールドパノラマ」と称していたが,その使い方も上出来だった。『エネミー・オブ・アメリカ』(98)『エネミー・ライン』(01)等でも似たシーンはあったが,この映画のカーチェイス場面での使い方は出色で特筆に値する.このテンポ良い画面とアクションの迫力だけで,この映画は一見の価値がある。
 
  ()  
 
カンフーと中国語はリズムが合う
 
 
中国の俳優はカンフーが必須と言いますが,3人とも本格的アクションはこれが初めてだそうですよ。
へぇー,それでこれだけできるとは,やっぱり素養があるんでしょう。先日観た韓国の『火山高』と比べると,ワイヤーの使い方もさすが本家だと感じました。
『Gメン75』の倉田保昭が香港に渡って活躍してたんですね。知らなかった。
あのシーンは,日本映画以上に殺陣の型が決まっているように感じました。
カンフー・アクションと中国語はもともとリズムがあっていますね。
あれを関西弁でやったらブチ壊しです(笑)。
でも,時々口と声が合ってないシーンが目立ちました。中国語でも北京語と広東語で吹替えているんでしょうか?
アフレコが下手なだけじゃないですか。むしろ,この映画は音楽の使い方が下手と感じました。
2度流れるカーペンターズの「遥かなる影」もまるでシーンの雰囲気と合っていませんでした。
「Close to You」を語呂合わせしたかっただけでしょう。時計やデジカメや電子機器などのアップが多く,まるでCMのような撮り方も気になりました。
私はこういう映画を観ていると,出演者が日本人の俳優と似てるなと気になります。
スー・チーは山口百恵や田川寿美に,ヴィッキー.チャオは時々朋ちゃんに似ていました(笑)。
とまぁ,色々欠点や親しみを感じましたが,最大のウリはアクションで,観て損はない映画です。
 
   
  Page Top  
  sen  
 
back index next
 
     
<>br