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O plus E誌 非掲載
 
 
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『チャーリーズ・エンジェル』
(コロンビア映画
/SPE配給)
 
       
      (日本劇場(完成披露試写会)00/10/27)  
         
     
  若い女性にも受ける底抜けアクション  
 1977年から4年半ブラウン管に登場した人気シリーズの映画化である。『ミッション・インポッシブル』や『X-メン』の成功に続けと,かつてのTV番組やコミックの映画化が盛んだ。単純にかつてのファンを当てにできるほどショービジネスは甘くないが,SFXでパワーアップした最近の映画作りは,観客を映画館に運ばせるだけのものを持っているからだろう。
 謎の大富豪チャーリーの命令で事件解決に挑むエンジェルと呼ばれる美女たちは,いわは『スパイ大作戦』の女性版で,お色気路線でオジさん世代にも人気を博した。初代「地上最強の美女」からは,ファラ・フォーセット・メジャーズが大スターの座を獲得した。といったことは耳にしていたのだが,残念ながら筆者はこの番組は見ていない。個人的には,TVをほとんど見なくなっていた時代だったようだ。
 当時のビデオ発売,70〜80年代サウンド満載のサントラCDのキャンペーンで旧ファンの心をくすぐる広報作戦は,日米とも同じで,米国滞在中にCMでもしばしば目にした。思わず買ってしまうファン心理は理屈の上ではわかるが,見ていない人間にはどうもピンと来ない。こういう映画の評は難しい。
 この映画でのエンジェルたちは,『メリーに首ったけ』のキャメロン・ディアス,『E.T.』の子役デビューし,最近めっきり大人っぽくなったドリュー・バリモア,最近の『シャンハイ・ヌーン』でも存在感のあるアクションをみせた中国系女優ルーシー・リューの3人である。それぞれに個性的で,なかなかいいキャスティングだ。キャメロン・ディアスは『マルコビッチの穴』の好演で新境地を見せたが,やはりこういう可愛いスカッとした役の方が似合っている。それより,ドリュー・バリモアの方がもっと存在感がある。自らこの映画化の企画してキャメロンを口説き落とし,製作も担当したというだけのことはある。
 監督は,これがデビュー作となるMcG(マックジー)。CFやミュージックビデオではいくつもの賞を受けている俊英らしく,なるほどと思わせる軽快なタッチだ。
 ストーリーは有って無きがごとしで,飛んだり跳ねたりで悪人をやっつけるだけの話だ。このエンジェルたちが何者であるかの説明もない。スカッとさせることだけが目的なら,それは大いに成功している。
 SFX/VFXは特に吹聴されていないものの,かなり使われている。冒頭のスカイダイビングやクルマの落下シーンでの合成はすぐ分かるだろう。もはやアクション場面の平均水準をクリアするのに,SFX/VFXは不可欠となっている。かつてTVの脅威に対抗するのに大画面化を指向した映画界は,今はディジタル技術による迫力で品質向上を果たしている。
 宙吊りでのカンフーもどきのアクション,ピストルの弾の動きをスローモーションで見せるシーンは,言うまでもなく『マトリックス』を意識した表現だ。実際,『マトリックス』で武術指導を担当したユエン兄弟のうち,弟のユエン・チョンヤンがエンジェルたちに中国武術を指導している。もっとも,キアヌ・リーブスのようには行かず,いかにもワイヤーで吊っているなと感じさせるのは,彼女らの動きの限界だろうか。それはご愛嬌として,アクションそのもののキレはよく,本職ジェット・リーの『ロミオ・マスト・ダイ』やジャッキー・チェンの『シャンハイ・ヌーン』よりもずっと面白い。(ちなみに『シャンハイ・ヌーン』は,そこそこ評判が良かったが,私には何が面白いのか全く理解できなかった。あえて欄を設けなかったが,評価はである。)
 原作の名残りで,エンジェルたちのフェロモン発散もあったが,この映画はむしろ女性層をターゲットにしているなと感じられた。完成披露試写会には,若い女性の姿が目立っていた。製作者の狙い通り,彼女らにはエンジェルはカッコイイ憧れ存在と映ったようで,評判も上々だった。
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