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O plus E誌 2019年Webページ専用記事#2
 
映画サウンドトラック盤ガイド
   
 

■「ダンボ オリジナル・サウンドトラック」
(WALT DISNEY RECORDS)

   
 
輸入盤 国内盤
 
 
  映画本編の紹介記事は情報解禁日(3月27日)にアップしたのだが,このサントラ盤紹介は遅くなってしまった。さぼっていた訳ではなく,音源データの入手が遅れたためである。通常,映画の米国公開の2週間程度前には,サントラ盤(英語盤)が発売されているのだが,本作に関しては,英語盤,国内盤ともに映画公開の3月29日から1週間後の4月5日にようやく発売となった。主要曲は,早くから予告編中でも流れていたから,特に遅くする理由は考えられないのだが,珍しいケースだ。
 輸入盤(英語盤)は29曲構成で,27曲は映画での使用曲であり,ボーナストラックが2曲付されている。国内盤は,それにさらに日本語歌唱曲2曲を加えた31曲収録である。ディズニー作品の場合,劇中の歌唱曲が多い場合には日本語だけの国内盤が別売りになるが,本作の場合,その対象が2曲しかなかったので,国内盤は英語と日本語の両方が入ったアルバム構成となったようだ。
 特筆すべきは,旧作(1941年公開のアニメ版)の劇中曲から,3曲が再利用されていることだ。“Casey Junior” “Pink Elephants On Parade” “Baby Mine”である。「メリー・ポピンズ リターンズ」(19年1・2月号)では,旧作の著名曲の再利用がないのが残念だった。その苦情が多かったゆえに急遽方針変更した訳ではないだろうが,名曲が装いも新たに蘇るのは喜ばしいことだ。
 まず,“Casey Junior”は,旧作ではコーラス曲だったが,本作ではヴォーカルなしで,冒頭のサーカス団を乗せた列車の走行シーンのBGMとして使われていたようだ。全く印象が異なる軽快なアレンジで,よほどのマニアでない限り,これが再利用曲とは分からないだろう。“Pink Elephants On Parade”は,本編の紹介記事でも触れたが,旧作でも名物シーンだった。旧作,本作ともにヴァーカルはないが,こちらも見事で魅惑的なアレンジだ。
 極め付きは“Baby Mine”である。ディズニー映画音楽の代表曲の1つで,多くの歌手にカバーされ,多数のアルバムに収録されている。この曲の再利用場面は,本作でも見どころの1つだった。旧作では,母象のジャンボが檻の中から鼻を伸ばしダンボの頭を撫でるシーンで,こちらも女声コーラスがジャンボの心境を歌い上げていた。本作でも同様なシーンだが,サーカス団の女性団員ミス・アトランティス役のSharon Rooneyに歌わせている。同曲はエンドソングとしても使われていて,こちらの歌唱にはカナダのロック・バンドArcade Fireが起用されている。ティム・バートン監督のお気に入りのバンドのようだ。
 国内盤の「ベイビー・マイン」は,劇中では,同じくミス・アトランティス役の大塚千弘が歌っている。そして,注目の日本語吹替版のエンドソングの歌い手は,ロック系のミュージシャンではなく,竹内まりやだった。子供のいる女性シンガーの中から選ばれたのだろうが,この人選には拍手したい。伸びのある明るい声は今も若々しく,とっくに還暦を過ぎた歌手とは思えない。スローバラード風にアレンジされたこの名曲を,新しい訳詞でゆったりと歌いこなしている。Arcade Fire版よりも30秒近く長い。リメイク作『ダンボ』のファミリー映画としての価値を高めるのに,大きな役割を果たしている。
 残る25曲のオリジナルスコアを書いたのは,音楽担当のDanny Elfmanだ。これまでにもT・バートン作品の大半の映画音楽を担当しているので,もはや以心伝心,監督の意を汲んだスコアを変幻自在に練り上げている。バートン作品以外では,最近当欄が取り上げた中だけでも『ガール・オン・ザ・トレイン』(16年12月号)『ザ・サークル』(17年11月号)『ジャスティス・リーグ』(17年12月号)『グリンチ』(18年11・12月号)『ドント・ウォーリー』(19年Web専用#2)等の音楽を担当している売れっ子である。悲しい,心を打つシーンに寄り添う静かな曲もあるが,どちらかと言えばダイナミックなシーンを際立たせるのが得意だ。本作では,サーカスの場面,ダンボの飛翔シーンを盛り上げるのに絶妙のスコアとなっている。
 
   
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