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            plus E誌 2015年2月号掲載 |  |  | 
  
  
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                            | 『エクソダス:神と王』 
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                            | (20世紀フォックス映画) |  |  |  |  |   
                      |  |  |  | (C) 2014 Twentieth Century Fox Film Corporation. 
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                      |  | オフィシャルサイト[日本語][英語] |  |  |  |   
                      |  | [1月30日よりTOHOシネマズ日劇他全国ロードショー公開予定] |  | 2014年12月12日 GAGA試写室(大阪) 
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    |  | (注:本映画時評の評点は,上から    ,   ,  ,  の順で,その中間に  をつけています。) |  | 
   
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    |  | あの『十戒』の名シーンと比べて観ると…… |  | 
   
     |  | 筆者の周りには,副題なしだと『エクソシスト』系統のホラーかと思った人物もいた。「神と王」なる副題は,その誤解を避けるためだけの邦題ではなく,原題自体も『Exodus: Gods and Kings』である。逆にこれだと,またまたゼウス,ポセイドン,ペルセウス等が登場する活劇かと思えてしまうが,ギリシャ神話ものではない。 日本人は「Exodus」なる英単語に馴染みがないが,この一語だけで様々な作品名に使われているから,区別するため,邦題は色々苦労している。宇多田ヒカルのミリオンセラー・アルバムは,「エキソドス」となっていた。オールド映画ファンには懐かしいポール・ニューマン主演の名作『栄光への脱出』(60)も,原題は単に『Exodus』であった。ホロコースト生存者のユダヤ人をフランスから脱出させ,パレスチナへと移民させる物語で,移民船の名前として使われていた。
 元々は旧約聖書の「出エジプト記」の固有名詞である。預言者モーゼが,虐げられていたへブライの民(ユダヤ人)40万人を引き連れて,エジプトから約束の地カナンへと脱出を試みる物語だ。このテーマなら,映画史に残る大作『十戒(The Ten Commandments)』に触れざるを得ない。セシル・B・デミル監督が1923年と1956年の二度,同じ題で映画化している。特に著名なのは,同監督の遺作であるチャールトン・ヘストン主演の56年版で,70mmフィルムでの大スペクタクル上映,紅海が割れて道ができる特撮シーンが観客の度肝を抜いた。勿論,アカデミー賞特殊効果賞を受賞している。筆者は,1960年頃,中学校の社会科授業としてリバイバル上映を観たが,大長尺の220分は中学生には堪え難かった。内容を理解できたのは,成人してからである。
 ここまで旧作のことを書くのは,これだけよく知られた物語を映画化するには,相当な覚悟を必要とするからだ。若手監督なら怖けついてしまうことだろう。それを引き受けたのは,巨匠リドリー・スコット。今さら代表作を挙げるまでもないが,オスカー受賞作となった『グラディエーター』(00年7月号)を考えただけでも,史劇には実績があり,CG/VFXの利用に関しても通暁している。どんなクライマックス・シーンを見せてくれるか,当欄としても大いに期待した。
 主役のモーゼ役は,『ダークナイト』シリーズ(05, 08, 12)『ザ・ファイター』(11年4月号)のクリスチャン・ベール。演技力は申し分ないが,どうしてもC・ヘストンと比べてしまう。エジプト軍を率いる勇者の指揮官としては,もう少し大柄の方が好ましく,似た風貌なら,マシュー・マコノヒーの方が相応しいと感じた。かつてユル・ブリンナーが演じた敵役ラムセス役は,ジョエル・エドガートン。スキンヘッド,エジプトのファラオらしいメイクが実に似合っていて,『華麗なるギャツビー』(13年7月号)の大富豪役とは全く違う演技を見せてくれる。モーゼの妻ツィポラ役のマリア・バルベルデは,エキゾチックな美形で好感がもてた。
 ずばり映画としての出来映えは,何の予備知識もなく観たならば,かなりコクのある力作であり,さすがリドリー・スコットと唸るほどである。ところが,著名な「出エジプト記」の再々映画化となると,ツィポラとの恋愛劇,家族のもとへと帰る下りのホームドラマ風味付けが,史劇ファンには軟弱に見えてしまうなと感じた。
 さて,当欄目当てのCG/VFXは,Double Negativeが主担当,MPCが副担当だけあって,期待に違わぬ品質で大満足であった。その半面,その殆どのスチル写真が提供されないのが,大いに不満足と言っておこう。
 ■ 紀元前1300年のエジプト王国を描くのに,冒頭からピラミッドやスフィンクスを含む景観,都市全体を空から俯瞰したシーン(写真1)が登場し,CG/VFXの活躍の場だ。勿論,宮殿アップのシーン(写真2)は大型セットで,多数の建物のシーンはCG製である。衣装,彫像,建物内部も,美術班は良い仕事をしている。ヒッタイト族との激しい戦闘シーン(写真3)もしかりで,実写撮影とVFX加工を,卒なくこなしている。
 
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              | 写真1 古代エジプトの都市の俯瞰シーンは,もちろんCG製 |  |  | 
 
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              | 写真2 これは実物大のセットで,柱の壁画も丁寧に描写 |  |  | 
 
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     |  | ■ 質・量ともに特筆に値するのは,「10の奇跡」のシーンである。ワニ,魚,血の河の描写に始まり,アブ,イナゴの大量発生と続き,ラムセスの住む宮殿には雹が降る(写真4)。さすが英国の2大スタジオの手なる作品だ。 
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              | 写真4 これも10の奇跡の1つ。他を見せられないのが残念。 |  |  | 
  
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     |  | ■ そして,ヘブライの民が海を渡るシーンはと言えば,詳しく書く訳には行かないが,56年版の二番煎じではなく,旧約聖書の記述に近いとだけ言っておこう。それでも,予告編に大波のシーンがあるように,最新VFXを駆使した光景が登場することは期待していい(写真5)。 
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              | 写真5 最新CG技術をもってすれば,これくらいの大波は簡単 (C) 2014 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.
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    |  | (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています) |  | 
   
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