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劇的な,あまりに劇的なドキュメンタリー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1997-98年シーズンを最後に引退したNBAシカゴ・ブルズのマイケル・ジョーダンの伝記や華麗なるプレイがIMAXの大スクリーンで見られるというので,それだけでも楽しみにしていた。3Dではなく2D映像だというので,本SFX映画時評には縁がないなと思っていたら,MJのスラムダンクが『マトリックス』で一躍脚光を浴びたマシンガン撮影(Bullet-Time
Shot)で見られるのだという。そりゃ一大事と,既に一般公開後の東京アイマックスシアターへ駆けつけた。 『マトリックス』のマシンガン撮影を見たときすぐ,ジョーダンのダンクをぐるっと周りからスローで眺めるのにピッタリだと感じた。しかし彼は前シーズンで引退してしまい,1年違いで手遅れだった。ところがどっこい,既にIMAX映画製作が進行中で,改めて引退後のMJをグリーンバックのスタジオに連れてきてマシンガン撮影したそうだ(写真)。誰しも同じことを考えるものだ。 映画自体は,MJ最後のシーズン1997-98のプレイオフでのユタ・ジャズとの死闘をベースラインに,MJの生い立ちや,高校・大学時代,最初の引退とプロ野球への挑戦などの記録映像,彼自身のインタビューやブルズのヘッドコーチのフィル・ジャクソンらのコメントをまじえた良質のドキュメンタリーである。IMAXスクリーン一杯に繰り広げられる歴史的プレイオフの模様は素晴らしいの一言に尽きる。一戦ごとに高まる緊張,疲労困憊のシカゴ・ブルズの過酷な戦いをIMAXカメラが見事に捉えていた。 NBAファンならご存知のように,このプレイオフは第6戦残り5.2秒,文字通りジョーダン生涯最後のシュートでブルズが87-86の逆転勝ちで6度目のチャンピオンとなり,MJ自身も6度目のMVPで有終の美を飾った。それにしても,よくぞまあ出来過ぎたこの大逆転劇をIMAX映像に収録していたものだ。製作・監督のドン・ケンプのこの企画にNBAが撮影許可を与えたのはプレイオフの2週間前というから,まさに神が与えたもうた歴史的記録映像である。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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お目当てのマシンガン・ダンクのシーンは,映画の冒頭とラストで印象的に使われていた。そもそも,VR技術を駆使してNBAのゴール下で自分の好みの視点でシュート・シーンを楽しむというのは,カーネギー・メロン大学金出武雄教授の発想である。彼の推進する「Virtualized
Reality」は,動的現象を数十台のビデオカメラで撮影し,そこから計算された距離データをポリゴンデータに変換し,任意視点のCG映像をインタラクティブに生成するというものだ。その応用としてお気に入りなのがNBAのゴール下なのだが,まだこれは実用化できるレベルに果たしていない。 100数十台のスチルカメラで静止画写真系列を得るマシンガン撮影では,事前に設計され配置されたカメラ列の視点移動しかできない。別のカメラワークで見たければ,カメラ列を再配置するしかない。しかし,観客に選択の余地のない劇場用映画ではインタラクティビティは不要だから,これで良い。金出教授のアイデアのサブセットであるが,MJのダンクシュートを間近で見るという着想が,まずはマシンガン撮影で実現されたことを評価しておこう。 |
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MJもマトリックス・ファン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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