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O plus E誌 2009年11月号掲載
 
 
 
きみがぼくを見つけた日』
(ニューライン・シネマ/
ワーナー・ブラザース映画配給)
 
      (C) MMVIII INTERNATIONALE SCARENA FILMPRODUKTIONSGESELLSCHAFT 2 MBH & CO. KG
(tm)NEW LINE PRODUCTIONS, INC.
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]  
 
  [10月24日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にて公開中]   2009年9月15日 角川試写室(大阪)  
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  ロマンティックなSFで,デートムービーに最適  
   今月のメイン作品は良作が多いが,これも印象に残る映画だ。原題は『The Time Traveler's Wife』という個性的なものなのに,救い難いほどの凡庸な邦題をつけたものだ。これじゃ覚えにくく,かなり損をするのではと懸念する。私なら,原題を活かして『タイムトラベラー/時空を超えた永遠の愛』か『時の旅人〜未来から愛を運んでくれた人』とつけるところだ。
 タイムトラベルとラブストーリーの結びつけ方がユニークで,そこが最大のセールス・ポイントだ。『ゴースト/ニューヨークの幻』(90)の脚本家ブルース・ジョエル・ルービンが手がけた純愛物語を強調しているが,印象としては『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(09年2月号)の方が近い。老人として生まれてどんどん若くなるだけのベンジャミンと,時間軸上で神出鬼没なヘンリーでは設定が違うが,歳の離れた男女がどのポイントで同世代としての愛を語り合うかの楽しみは同じだ。そのベンジャミンを演じたブラッド・ピットが,製作総指揮に名を連ねている。いっそ自分で主演した方がいいと思うのに,同じような役柄を嫌い,前述の『イングロリアス・バスターズ』の怪演を楽しんでいたのだろうか。
 ヘンリーがまだ幼い頃,母親の運転する車が交通事故に遭う瞬間に,後部座席にいた彼は過去にタイムスリップして難を逃れる。その後,彼は時空を頻繁に移動するようになるが,他の誰もこの能力を信じてくれない。ある日,野原に降り立った彼は純真無垢な6歳の少女クレアと出会うが,彼女はヘンリーの「未来からやって来た」という言葉を信じる。爾来,ヘンリーはしばしばクレアの前に現われるようになり,少女から女性へと成長するクレアと愛し合うようになる(写真1)。「いつか必ず,同じ時空で逢える時が来る」というヘンリーの言葉を胸に抱いて,クレアは彼を待ち続ける……。
 
   
 
写真1 こうしたシーンからも突如消えてしまう
 
   
   監督は『フライトプラン』(06年2月号)のロベルト・シュベンケ。同作でハリウッド・デビューしたドイツ人監督だ。主人公のクレアは『きみに読む物語』(04)のレイチェル・マクアダムス。本作の邦題は,多分この出世作にちなんでつけられたのだろう。本作品では,ヘンリーと無事結婚し,一女をもうけ,娘が10歳になる頃までを演じるが,最初図書館で登場する姿の可愛いこと!大抵の男はこの可憐さに一目惚れするはずだ。実年齢33歳だというのに,まだこんな役がやれるのが驚きだ。
 ヘンリー役は,『トロイ』(04年6月号)『ミュンヘン』(06年3月号)のエリック・バナ。好きな俳優なのだが,ここはもっとイケメン男優の方が良かったかと思う。その半面,彼が年齢不詳の顔だったから,あまりメイクを施さずに年齢差を表現でき,好都合だったとも言える(写真2)。時代を何度も往き来するが,登場時の想定年齢はセリフに表われていて,時間軸上の矛盾はない。では,彼の記憶はどうなっているかと問われるとつらいが,この種のSFでそれをいうのは野暮だ。
 ヘンリーが目の前から徐々に消えて行くシーンが頻出するが,もちろんすべて視覚効果で表現されている。担当社はRIOTとRhythm & Huesで,少し複雑なシーンもきれいに仕上げている。その他にCG/VFXであまり目立った使い方はないが,それで十分だ。
 1つ分からなかったのが,2人の間に生まれた娘アルバの登場場面だ。5歳のアルバと10歳のアルバは背格好はかなり違うが,顔はそっくりだ。これはどうやって実現したのだろう? CG/VFXによる実現とは見えなかったから,良く似た姉妹を起用したのだろう。   
 
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写真2 どのシーンでもほとんど印象は同じ
(C) MMVIII INTERNATIONALE SCARENA FILMPRODUKTIONSGESELLSCHAFT 2 MBH & CO. KG
(tm)NEW LINE PRODUCTIONS, INC.
 
   
  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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