O plus E VFX映画時評 2025年6月号

『かたつむりのメモワール』

(トランスフォーマー配給)




オフィシャルサイト[日本語][英語]
[6月27日より全国ロードショー公開中]

(C)2024 ARENAMEDIA PTY LTD, FILMFEST LIMITED AND SCREEN AUSTRALIA


2025年2月24日&6月20日 オンライン試写を視聴

(注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています)


複数回観て, 細部を再点検して欲しいコマ撮りアニメ

 ようやく,このコマ撮りアニメ(Stop Motion Animation; SMA)の佳作を紹介する時期になった。実は,既に2月下旬に本作の試写を観終えていた。今年のアカデミー賞長編アニメ部門のノミネート作であったため,早い時期からマスコミ試写があり,授賞式前にざっとその出来映えを点検していた。それでいて,同賞の予想記事では一言も触れなかった。何しろ,今年の同部門は稀に見る優秀作揃いで,『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』(25年1月号)『野生の島のロズ』『Flow 』(同2月号)の3本はどれも「他の年であれば,悠々オスカー戴冠できる秀作」であった。その比較で精一杯であったから,本作への言及する余裕がなかったからである。
 制作に長時間を要するSMAは,どの完成版を観ても,敬意を表したく作品ばかりだ。本作も一目でそう思ったのだが,同じSMAである『ウォレスとグルミット…』が,同シリーズの長い歴史の中でも最高傑作と呼べる逸品であったので,総合評価で個性派の本作は負けると思った。玄人好みのアニメとしては,『Flow』が群を抜いていた。実際,前哨戦のGG賞アニメ部門では『Flow』が受賞して,勝負付けは済んでいた。さらにGG賞選考時には未公開だった『野性の島…』がアニメ映画の祭典アニー賞では,ぶっちぎりの最多部門受賞を果たしていた。このため,この3本には少し劣っていても,本作のユニークさや美点は,じっくり4ヶ月後に語ればよいと考え,全く触れなかったのである。
 一度観ただけではその良さが実感できず,2回目以降で製作者の意図を再認識する映画はかなりある。本作は,まさにその典型だと思う。初見ではストーリーを追うのに関心が向いてしまうのは当然だが,SMAだと個々のキャラの動きの付け方にも注意を払うが,どうしてもサブキャラの出来映えは見落としがちだし,背景に置かれた事物を詳しく観るのは後回しになってしまう。本作は2度,3度観て,10数年かけたという細部への拘りを味わうべきSMAなのである。
『野性の島…』の主人公は動物と会話できるAIロボ,『ウォレスとグルミット…』は言葉は話さないビーグル犬のグルミット,『Flow』は映画全体でセリフなしで,主役は黒猫なので,本作はカタツムリたちが主人公で,お子様の動物アニメと思われがちだ。表題欄のメイン画像から,少女とカタツムリの友情物語を想像されるだろうが,それも違う。少女グレースが,様々な人物と交流して,大人になって行く過程を描いたヒューマンドラマである。細部に至っては,むしろ子供には見せたくないと思う大人の映画なのである。

【本作の物語展開】
 映画の冒頭は,主人公が老人に付き添っているシーンから始まる(写真1)。上述のメイン画像と「あらすじ」から少女の物語と分かっていたが,絵だけでは少年のようにも見える。老人は最初お爺さんかと思ったが,赤いイアリングから老婆のようだ。導入シーンから,この2人の関係が物語のエッセンスなのだと想像できた。


写真1 主人公の少女と老婆のこのシーンから始まる

 物語は,主人公のグレースがカタツムリのシルビアに自分の人生を語って聞かせる形式をとっている。物語の発端は1970年代のオーストラリアで,メルボルンに住む少女グレースは,元大道芸人で陽気な父パーシー,双子の弟ギルバートと仲良く幸せに暮らしていた(写真2)。カタツムリ研究者であったママは双子の出産時に亡くなっていた(写真3)。弟ギルバートは,口唇裂のグレースを虐める悪ガキ達から守ってくれ,自宅では病気がちの彼女と一緒に本を読んでくれた(写真4)。アルコール依存症のパパは次第に下半身麻痺で歩けなくなり,ある日突然,睡眠時無呼吸症候群で死んでしまった(写真5)。このため,2人は別々の里親に引き取られることになり,グレースは東部のキャンベラ,ギルバートは西海岸のパースへと,離れ離れになってしまう(写真6)。ギルバートは「いつも手紙を書き,大人になったら必ず会おう」とグレースに約束する。


写真2 陽気なパパと双子の姉弟の3人で暮らしていた

写真3 カタツムリ研究者のママは, 双子を産んで死んでしまった

写真4 (上)学校では悪ガキの3人組を撃退してくれた, (下)自宅では仲良く本を読んで暮した

写真5 アル中のパパは歩けなくなり, 無呼吸症候群で死んでしまった

写真6 (上)グレースは東部, ギルバートは西海岸へ
(下)バスに乗せられ去って行くギルバートとの別れ

 ギルバートが引き取られた農家は宗教原理主義者の家だった。家長ルースから残酷で虐待的な扱いを受け,日々過酷な労働を強いられた(写真7)。一方,グレースの里親イアンとナレル夫妻(写真8)は優しい人柄だったが,夫婦交換をするスワッピング愛好者であっため,いつも留守がちであり,グレースはいつも独りで淋しく暮らした。心の拠り所をなくしたグレースは,母が愛したカタツムリやその関連商品を買い漁ることに没頭した。


写真7 (上)残虐な家長のルース, (下)連日リンゴ加工場での過酷な労働

写真8 里親夫妻は優しかったが,スワッピング愛好者

 10代になったグレースは,風変わりで明るい老婦人ピンキーと親しくなる(写真9)。世界中を旅して人生経験が豊かであり,常に前向きな女性であったので,彼女と一緒に行動することでグーレスは生き甲斐を感じるようになる。イアン&ナレル夫妻が長期間いなくなることから,ピンキーは新たな里親になってくれた。大人になったグレースは隣人の電気工ケン(写真10)に恋をして結婚するが,彼の奇妙な性癖を知って幻滅し,離婚する。さらにある日,弟ギルバートは火事で死んだとの知らせを受けた。家長ルースの仕打ちに激怒したギルバートが家に火を放ったためだった。絶望感から過食症になったグレース(写真11)に寄り添い,減量を手伝ってくれたのもピンキーだった。そんな彼女もアルツハイマー病と診断され,数ヶ月後に他界してしまった。


写真9 風変わりな老女ピンキーと出会い, 仲良くなる

写真10 隣人のケンと恋仲になり, プロポーズされて結婚する

写真11 元々丸顔だったが, 絶望のあまり過食症でさらに…

 生きる意味を失ったグレースは服毒自殺しようとしたが,間一髪で毒を吐き出したのは,ピンキーが貯金箱の中に残してくれた新しい人生を歩むことへの励ましの手紙だった。心の平静を取り戻したグレースは,コマ撮りアニメのアニメーターになる夢を追うことになる(写真12)。ようやく完成した短編映画の上映会を開いたところ,思いもよらぬ出来事が起こる……。詳しくは書けないが,ラストシーンは感動ものであった(写真13)


写真12 人生をリセットし, コマ撮りアニメのプロめざす(監督の自叙伝?)

写真13 (上)昔, 親子3人で訪れて楽しかった遊園地
(下)思い出のこの場所で何をしたかは観てのお愉しみ

 最近のメイン記事では本編の概要を書くようにしているが,上記をまとめるのに他の何倍もの時間がかかった。たった94分のSMAでありながら,グレースが辿った人生はまさに波瀾万丈であったからだ。脚本通りに俳優が演技する通常の映画でなく,中身の濃いこの物語を,クレイ人形を1コマずつ動かしながら撮影・編集するには,どれだけの時間を要したか,想像するだけでも気が遠くなる。

【コマ撮りアニメとしての評価と感想】
 監督・脚本は,豪州メルボルン在住のアダム・エリオットで,インデペンデント系のSMAアーティストである。家族・親族を題材にした短編『アンクル』(96)『カズン』(98)『ブラザー』(99)で頭角を表わし,『ハーヴィー・クランペット』(04)がアカデミー短編アニメ賞を受賞して注目を集めた。初の長編作品『メアリー&マックス』(09)では,アヌシー国際アニメーション映画祭のクリスタル賞(最高賞)を受賞した。本作は,それから15年ぶりの長編で,構想に10数年,直接の制作に8年かけた作品である。
 これは経歴を書き写しただけで,実は本作まで彼の名前を知らなかった。アカデミー賞は短編アニメまで点検する余裕はない。『メアリー&マックス』の名前は聞いたことはあったが,監督名までは知らなかった。アヌシ-のクリスタル賞を同時受賞した『コララインとボタンの魔女 3D』(10年2月号)が先に日本公開され,1年遅れとなった『メアリー&マックス』の年には,翌年受賞の『ファンタスティックMr.FOX』(11年3月号)を紹介したためかも知れない。いずれも長編SMA映画であった。
 今回本作の存在を知ったのは,GG賞,アカデミー賞両方の長編アニメ部門のノミネート作品であったからだ。同部門の選出,授賞の傾向について,少し触れておく。かつてはいずれも5本がノミネート数だったが,昨年からGG賞は6本対象になった。今年の場合,上記の有力3本,本作,『インサイド・ヘッド2』(24年8月号)『モアナと伝説の海2』(24年12月号)の6本が選ばれ,1本少ないアカデミー賞では『モアナ…』が外れた。長編アニメといっても,2Dセル調アニメ,3DフルCGアニメが主流であり,比率が少ないSMAの中でも,人形アニメ,本作のようなクレイアニメ,切り絵アニメ,砂アニメ等のすべてが対象となる。アカデミー賞では長い間,短編中心だったのが,『トイ・ストーリー』(95)以降,長編フルCGの急成長により,第94回の2002年(2001年公開作品が対象)から,長編アニメ部門が新設された。そうした経緯から,デイズニー&ピクサー,イルミネーションとドリームワークスを擁するユニバーサルのフルCG大作が中心となり,ワーナー,ソニー等のメジャー系が大半を占める。時々,日本の2Dアニメ,欧州系の芸術性の高いインデペンデント系アニメがノミネートされる。後者の場合,参加賞的な意味合いが強く,滅多にオスカーは得ていない。
 そもそも多大な制作時間を要する長編SMAは絶対数が少ない。当映画評が取り上げたのは,英国の『ウォレスとグルミット』『ひつじのショーン』両シリーズを誇る英国の老舗アードマン・アニメーションが5本,ライバルの米国のライカ社からは『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(17年11月号)(10年2月号)など3本,鬼才ウェス・アンダーソン監督が『ファンタスティック…』『犬ヶ島』(18年5・6月号)の2本,監督名を冠したSMAは『ティム・バートンのコープス ブライド』(05年11月号) 『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』(22年Web専用#7)の各1本で,その他はオランダ映画の『愛しのクノール』(23年7月号)だけのはずである。著名監督も一般映画が大半で,小中規模のSMAスタジオの全面協力を得て,ようやく長編SMAを撮り終えたのである。
 その意味では,実績のあるA・エリオット監督の15年ぶりの新作長編がオスカー・ノミネートされたというのは快挙なのである。例年なら,もっと有力候補扱いされてもしかるべきだったのに,インデペンデント系としては欧州の低予算CG映画『Flow』の評価が高く,SMA老舗の『ウオレスと…』が同年に重なったのが不幸と言わざるを得ない。
 貴重な長編SMAの中での本作の大きな特長は,徹底して従来のカメラだけでのコマ撮りに徹していることである。実物中心のSMAと言えども,最近はVFXを援用して見せ場を演出することも少なくない。背景に実物配置でなく,マット画を置いている場合も,CGを含むデジタルマットは使用せず,すべて手書きである。何千点とい小道具類も,3Dプリンター利用でなく,手作りあることを矜持としている。
 童話ベースのファミリー系映画が多い中で,監督自らが語るように,大人の映画であることをモットーにしている。イアン&ナレル夫妻のスワッピング愛好者という設定に呆れたが,彼らが里親であることを放棄するのは,ヌーディスト集団の仲間入りをして,クルーズ船での長期間世界ツアーに出かけるためであった(写真14)。見たくもない老女ピンキーの裸体も登場させている(写真15)。ギルバートが家を燃やしたのは,彼がゲイであることを嫌った里親ルースが同性愛者の2人に電気ショック療法を行ったためである(写真16)。エリオット監督自身がゲイであることを公言しているので,その人格を認めない人間を残虐な人物として描いたのだろう。


写真14 里親夫婦はヌーディストグループに加入し, クルーズ船で長期旅行に

写真15 こちらは, 老女ピンキーのヌードシーン

写真16 同性愛者であることがバレ, 2人は電気ショック療法を強いられる

 その他も,デビュー作以来,親族や知人の観察結果を物語に取り入れている。グレースに溜め込み僻があるのは,自らの母親をモデルにしたらしい。グレースを生まれつきの口蓋裂にしたのは,敬愛する友人がそうだったからで,彼女は売春婦,麻薬中毒者,空想家,ヌーディスト,ファッションデザイナーだったという。その一部はナレルやピンキーの行動として描いている。監督の父はアクロバット道化師,母は美容師であったことが,本作にも反映されている(写真17)。本作の父パーシーも「メアリー&マックス」のメアリーの母もアルコール依存症であり,マックスはアスペルガー症候群,パーシーは睡眠時無呼吸症候群,ピンキーの晩年はアルツハイマー病として描いている。こうした症状名,病名を一々明示する必要があるのかと思うが,そうした親族や知人の観察結果から,彼らの経験した逆境やトラウマを,人生をやり直すチャンスと捉えていることが読み取れる。


写真17 ピンキーと一緒に美容院に行き, お揃いのへアースタイルに

 カタツムリを選んだのは,この生物は後戻りできず,前に進むしかないからだという。グレースがSMAア-ティストを目指し,カタツムリを描いた作品を完成させたことが,この監督の本作に賭けた意欲の表われだと言える。子供が理解できる映画ではないが,ある種の文化的価値だ。こういうアニメ作品があることをもっと知られて欲しい。

【アイテム,美術セット,印象的なシーン】
 既に述べたように,本作にはCG/VFXは全く使われていない。エリオット解説する「Behind the Scenes」映像は多数公開されているが,いずれもSMAの撮影スタジオ,セット,クレイ人形に関するメイキングであって,他のメイン記事のようにVFXのメイキング解説ではない。既に画像は何点か掲載したが,多数の小道具,多才な人物のクレイ人形,印象的なシーンを多数お見せしたい。総じていえば,他のどのSMA作品よりも,細部の拘りがあり,精巧にデザインされている。
 実を言うと,筆者は『メアリー&マックス』は未見である。今回何とか観ようとしたが,ネット配信では見当たらず,レンタルDVDも貸出し中であった。予告編を見る限り,本作の方が人形も小道具も圧倒的に精巧である。『メアリー&マックス』はほぼモノトーンで,一部だけ赤色が目立つが,本作はかなりカラフルになっている。
 ■ まず,冒頭のピンキーの病床シーンの後,タイトルバック映像として,長回しのワンテイクショットがあり,室内に膨大な数の物品が所狭しと積まれている(写真18)。本作では3,500個の小道具を使ったそうだが,この映像では約7,000点あるというから,過去作で使った小道具も含めたのだろう。一旦こうしてから必要物品を取り出して撮影するのは大変だから,全編の撮影終了後に積み上げたに違いない。もうこのシーンだけで圧倒され,監督と制作チームの拘りが感じられる。ちなみに,写真14のクルーズ船のような大型アイテムは200セット組み,撮影スタジオは9つ設けたという。


写真18 映画のタイトルバックとして流れる長いワンテイクシーン。
部屋が約7,000点の小道具で埋め尽くされている。

 ■ この種の小道具や什器が,室内に様々配置されている。古びたTVは骨董品的な趣きがある(写真19)。ケンとグレースの新婚家庭の部屋は驚くべき品数がある。よくぞここまで飾ったと呆れる(写真20)。グレースの寝室はまるでゴミ屋敷だ(写真21)写真22は,グレースの勤務先か図書館かは忘れたが,本ごとに異なった装幀を施し,背表紙には金文字の題名まで入ったものもある。芸が細かい。


写真19 そう言えば, 1970年代のTVはこんな感じで, 画面は4:3だった

写真20 (上)独身時代のグレース。カタツムリグッズはしっかり集めている。
(下)ケンとの新婚家庭。一気に物が増えたのはなぜ?

写真21 過食症グレースの寝室は, さながらゴミ屋敷

写真22 1冊ずつ本の装幀を変え, 題名をつけ, 一部は金文字にまでしている

 ■ 屋外では,町の店舗や住宅もかなり手が込んでいる(写真23)。その通りを走る自動車もレトロだが温かみを感じるデザインだ(写真24)。いずれも質感は高く,さすが全て実物のSMAである。これを実現するため,他のSMA作品に比べて,撮影スタジオやセットもかなり充実している(写真25)


写真23 (上)市内の目抜き通り沿いの店舗は手の込んだデザイン
(下)屋根上に大きな電波塔がある家は, ミニチュアセットとしてかなりの大きさ

写真24 (上)市中の暴走車, (中)郵便車, (下)ギルバートが乗るグレーハウンド・バス

写真25 (上)市街地部分の撮影用セット, (下)グレイハウンド・バスの撮影セット

 ■ キャラクターは200体以上作ったという。大群衆のシーンはなかったので。さすがに200人も登場しなかった。クレイアニメの場合,主要人物の表情や髪形を変えた頭部を予め数種類作っておくか,顔の一部を入れ替えるのは,よくある技法だ(写真26)。姿勢は針金を入れた手足を折り曲げて表現する(写真27)。グレースやギルバートは年齢によっても顔立ちが変わり,グレースは体形も変わる。ペットの犬や小鳥も多数同時に登場する。CGのようにコピーはできない。それらすべてを入れての約200体なのだと思われる。大半の人物はギョロ目であり,鼻が大きい人物も目立つ。本作の場合,瞼の開閉や目玉を回転させるだけで,異なった表情に見せる手法も多用している。『メアリー&マックス』と比べても,他のSMA作品と比べても人物の顔立ちや髪形もかなり精巧に作っている(写真28)(写真29)。老女ピンキーだけは別格で,様々な衣装(写真30),様々な場面で登場する(写真31)。それらを観ているだけでも楽しい。


写真26 (上)髪形を変えたグレースの頭部の交換
(下)セリフに合わせて口の形を差し替えるパーツ

写真27 中に針金が入っているので, 手足は容易に曲げられる

写真28 一癖も二癖もある人物たち。髪形も千差万別。(下)は裁判長。

写真29 こうやって, 5人, 7人並べると, 人物造形はかなり多彩

写真30 さながらピンキーのファッションショー。一番下は天に召された時の服装。

写真31 酒場では葉巻で一服, 家庭菜園では紙巻き煙草で一服。かなり洒脱な婆ちゃんだ。

 ■ カタツムリは,生きていて動く扱いのものだけでも何種類か登場するが,数えるのを忘れていた(写真32)。名前があるのはシルヴィアだけである。その他の動物では,犬や鳥も登場するが,どれも目玉は大きく,愛らしい(写真33)


写真32 様々なカタツムリ。一番の上のシルヴィアは渦が逆に巻いている。

写真33 ペット犬や小鳥も目玉は大きく, 愛らしいデザイン

 ■ 車の排気ガス,船が掻き分ける海の波,バスタブ内の泡等は,CGを用いれば簡単だが,本作は頑なにそれは拒否し,リアリティが重視せず,擬似的な表現で済ませている(写真1, 写真14, 写真24を参照)。最も分からなかったのは,炎の表現である。ギルバートが燃やした小屋の火災はリアリティが低いが,それなりに火事らしく見える(写真34)。一方,彼が大道芸人として口から吐く炎は見事だった(写真35)。本当に火をつけて撮影した訳はないから,どうやって実現したのだろう?


写真34 リアリティは高くないが, 一応火事らしくは見える

写真35 ギルバートが口から吐く炎はかなり見事。どうやって描いたかは不明。
(C)2024 ARENAMEDIA PTY LTD, FILMFEST LIMITED AND SCREEN AUSTRALIA

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