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O plus E誌 2018年11・12月号掲載
 
映画サウンドトラック盤ガイド
   
 

■「アリー/スター誕生 サウンドトラック」
(A Star is Born OST)

   
 
 
 
  まずは,話題の音楽映画のサントラ盤からだ。全34曲入りと聞くと驚くが,実際には15点は音楽ではなく,出演者たちが語るセリフパートである。即ち,歌唱曲の19曲は映画での登場順で,その間をセリフが繋いで,物語の流れが把握できる。
 19曲の内,Bradley Cooperのソロが5曲,歌い方はAlan Jackson, ダミ声はBob Dylanに似ている。2人のデュエット曲は4曲あるが,劇中でも2人のヒット曲扱いの"Shallow"は,確かに名曲だ。Lady Gagaのソロでは,終盤の"Before I Cry"が上々だが,何をおいても語るべきはラストの"I'll Never Love Again"だろう。歌い出しは,『ボディガード』(92)の"I Will Always Love You"に似ている。そして,感動の熱唱と名曲度は76年版の"Evergreen"に勝るとも劣らない出来栄えだ。
 
   
 

■「くるみ割り人形と秘密の王国 オリジナル・サウンドトラック」
 (ユニバーサル ミュージック)

   
 
 
 
   国内盤が発売されているが,内容は海外盤と同じだ。全17曲収録で,15曲めまでが劇中で流れる演奏曲で,16曲目が映画のラストで流れた今売り出し中のピアニストLang Langの「くるみ割り人形 組曲」だ。そして,盲目のテノール歌手Andrea Bocelliが息子のMatteoと高らかに歌う"Fall On Me"がエンドソングである。
 注目は最初の演奏曲群で,James Newton Howardがチャイコフスキーのバレエ音楽を随所に鏤めて映画音楽化したスコアだ。ゲスターボ・ドゥダメル指揮のロンドン・フィルハーモニア管弦楽団の格調高い演奏は,映画を見ずに単独で聴いても十分に価値がある。
 
   
 

■「Dr. Seuss' The Grinch Soundtrack」
 (COLUMBIA RECORDS GROUP)

   
 
(A) 歌唱曲中心のサントラ盤 (B)オリジナル・スコア盤
 
 
   『グリンチ』のサントラ盤は,国内盤も発売予定だが,内容未定なので,輸入盤に触れておく。サントラ盤が2種類あり,表記は13曲入りで,グリンチゆかりの曲の新録が4曲,他は劇中でラジオ等から流れる既存のクリスマス・ソングである。このアルバムには新作の曲はない。
 1曲目はラッパーのTyler, The Creatorが歌うテーマ曲"You're A Mean One, Mr. Grinch"だ。他の既存曲もRun-DMCのヒップホップやThe Brian Setzer Orchestraのロック調の賑やかな曲が中心だが,Nat King Coleの定番曲や最近のPentatonixのアカペラ曲もある。単独のクリスマスアルバムとしても味のあるコンピレーションだ。
 これとは別に,Danny Elfman作曲のオリジナル・スコア(演奏曲)を収録したサントラ盤「Dr. Seuss' The Grinch (Original Motion Picture Score)」(25曲収録)も発売されている。映画音楽としては,正統派の作品だ。
[付記]
 上記(A)(B)のいずれにも収録されていないが,日本の配給会社はSiaが歌う"Ho-Ho-Ho”をメイン曲扱いして,CMや劇場などでは流している(国内盤にボーナストラックとして収録される可能性もある)。映画中でも流れる軽快な曲だ。
 ただし,この映画のために作られたオリジナル曲ではない。昨年(2017年)発売されたSiaのクリスマスアルバム「Everyday Is Christmas」に既に収録されていた曲である。
 
   
 

■「Destination Wedding (Original Motion Picture Soundtrack)」
 (Lakeshore Records)

   
 
 
 
   最後は『おとなの恋は,まわり道』のOSTだ。映画も大作ではないので,国内盤はないが,輸入盤購入以外にデジタル配信でも入手できる。全17曲は音楽担当のWilliam Rossのオリジナルスコアで,歌唱曲はない。BGMとして格別に心地良かったので取り上げることにした。
 1曲目だけ典型的なモダン・ジャズだが,2曲目以降はアコースティック中心のラテン音楽だ。2曲目と13曲目の冒頭にトランペットが鳴り響き,時々アコーディオンの音も聞こえるが。基本的にギター・デュオかギター・トリオによる演奏である。この快適さは何かに似ているなと思ったら,そうだゴンチチ風だ!
 
   
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