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O plus E誌 2013年12月号掲載
 
 
REDリターンズ』
(サミット・エンターテイン
メント/ウォルト・ディズ
ニー・ スタジオ配給)
      (C) 2013 Summit Entertainment, LLC.
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [11月30日よりTOHOシネマズ スカラ座ほか他全国ロードショー公開予定]   2013年9月26日 TOHOシネマズ梅田[完成披露試写会(大阪)]
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  快適なテンポで堪能させてくれる前作以上の痛快譚  
  話題を呼んだヒット作品の場合,味をしめて作られた続編,続々編は,第1作を超えられず,興行的にも次第に先細りになることが多い。ところが,屈託のない娯楽作品の場合,続編の方が充実し,前作以上の評価や興行成績を上げることがある。単純な定形パターンのストーリー展開ほど,長寿シリーズになるという傾向もある。登場人物の設定は既に紹介済みだから,じっくり物語を語りやすい。安定収入が見込めるので,脚本にも時間をかけ,旬の共演者を起用できる。世界各地でロケできるので,それが面白さにも直結するのだろう。
 本作は,まさにその方程式通りの続編であり,前作『RED/レッド』(11年2月号)を上回る楽しい娯楽作品,痛快作品である。原題は『RED 2』だが,この邦題の方がずっと好い。「よくぞ戻ってきたな。まだ3年足らずだが,待ち遠しかったぞ」と言いたくなる感じだ。ちょっとおさらいすると,表題の「RED」とは「Retired Extremely Dangerous」の略で,「引退した超危険人物」とのことだ。ロートルを集めたという点では,「凄腕傭兵部隊の消耗品軍団」の『エクスペンダブルズ』シリーズも似た企画である。同シリーズにもカメオ出演しているブルース・ウィリスが,こちらでは主演で,元スパイ達を集めたチームを率いているという訳だ。
 元CIAエージェント,フランク役のB・ウィリスを中心に,前作に引き続き相棒マーヴィン役のジョン・マルコヴィッチ,元MI6女スパイ,ヴィクトリア役のヘレン・ミレンが参加する。前作でモーガン・フリーマンを死なせてしまったのが残念だが,新たにアンソニー・ホプキンス,キャサリン・ゼタ=ジョーンズ,イ・ビョンホンらが登場する。これは,嬉しくなるような豪華メンバーだ。それでいて,散漫にならず,前作同様,各メンバーの個性を十分に活かした脚本が秀逸だ。
 監督は,『ギャラクシー・クエスト』(00年11月号)のパリソット。寡作だが,短編出身の監督だけあって,テンポが良い。物語は,静かに暮らしていたRED達(写真1)が,冷戦時代の小型核爆弾を狙うテロリストとの闘いに巻き込まれるというものだが,やることなすことが実にカッコいい。前作の評で「縦横無尽に敵を薙ぎ倒す痛快譚である。銃火器の使い方も上手い」と書いたが,まさに同じ感想であり,それがより洗練されている。話は二転,三転,四転で,最後まで飽きさせない。満載の銃撃戦もからっとしていて,くどくないのが美点だ。
 
 
 
 
 
写真1 こうして平穏無事だったのは,最初の少しだけ
 
 
  何よりも,女優陣の銃裁きが嬉しい。ロシアの女スパイで登場するC・ゼタ=ジョーンズは筆者の大のお気に入りだが,黒ずくめの見事なファッションでのアクション・シーンは魅力全開だ(写真2)。フランクの恋人役のサラ(メアリー=ルイーズ・パーカー)は,単なるOLだったはずが,REDと行動と共にする内に,隠れた才能が開花する。極め付けは,H・ミレンの射撃の腕だ。同じ英国人女性役でも,これがあのエリザベス女王を演じた人物かと驚く変身ぶりである(写真3)
 
 
 
 
 
写真2 C・ゼタ=ジョーンズは筆者のお気に入り
 
 
 
 
 
 
 
 
写真3 ヘレン・ミレンのこの過激振りも大満足
(C) 2013 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
 
 
 
  さてCG/VFXだが,全編でたっぷりと活用されている。主担当はMPCで,他にはMethod Studios, New Deal Studios, Luma Pictures等が担当している。分量的にはわずかだが、老舗ILMまでが参加していることからも,かなりの質と量であることが分かるだろう。ところが,そうしたシーンの画像が全く公開されないのが残念だ。
 想像するに,銃撃戦や爆発シーンの大半,コンピュータ画面のほぼすべては,VFX加工されているはずだ。青いスポーツカーを使ってのカーチェイスもいい出来だが,これも当然CGパワーあっての産物だ。物語は,ロンドン,パリについで,モスクワを舞台に展開するが,クレムリン内部は言うまでもなく,市内随所の光景も,どこか他の都市で撮影し,VFX加工したものだろう。
 そして、クライマックスの空軍基地での攻防が最大の見せ場である。離陸前に延々と続くアクションの連続に,こんなに長い滑走路があるのかと仰天するほどだ。ともあれ,サービス精神満点の痛快作なので,是非シリーズ化して楽しませて欲しいものだ。
 
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  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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