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O plus E誌 2008年9月号掲載
 
 
 
スター・ウォーズ
/クローン・ウォーズ』
(ワーナー・ブラザース映画 )
 
      (C) Lucasfilm Ltd. & TM  
  オフィシャルサイト[日本語][英語]  
 
  [8月23日よりサロンパス ルーブル丸の内ほか全国松竹・東急系にて公開中]   2008年8月9日 リサイタルホール  
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  SWファンにとっては,そう侮れない一作  
 

 この映画の製作を知り,スチル写真や予告編を観て感じたのは,「ジョージ・ルーカスは相変わらず商魂たくましいな。生涯ずっとこのSWネタで何度も稼ぎまくるのだろうな」である。2005年に全6作の完結編の『エピソード3』を作り終えて,残る映画人人生をどう送るのだろうかと思ったら,今年に入って『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(08年7月号)とこの映画と,製作総指揮の2編が立て続けに公開である。もう20年以上もこの両シリーズに関わる作品(含,TVシリーズ,特別編,関連ゲーム)にしか携わっていないから,ある意味で映画作家としては進歩のない人である。
 この映画の監督は,若手のデイブ・フィローニ。彼自身がSWシリーズと共に育ったファンの1人である。内容は,『エピソード2/クローンの攻撃』(02年8月号)と『エピソード3/シスの復讐』(05年7月号)の間の物語として位置付けられ,両作品で簡単にしか言及されていない「クローン大戦」を具体的に描いているという。既にアメリカでは2003年から2004年にかけて2DアニメのTVシリーズとして放映されていたが,それを3D長編アニメ化して劇場公開しようという訳だ。『エピソード2』公開後から『エピソード3』までの間をTVで話題をつなぎ,シリーズも完結し,DVDを見飽きてファンが渇望してきた頃に,またまた隙間作品を映画にして話題を振りまくとは,事業家としては相当に凄いなと感心する(それとも,よほど好いブレーンがいるのだろうか?)。
 自前のLucasfilm Animationにとっての初の3D-CG作品だが,フォトリアリズムは全く追求していない。お馴染の登場人物の顔も相当なマンガ顔にデフォルメされていて,これでも3D-CGかと驚くほどである(写真1)。この安っぽさと騒々しさがどうにも気になって,最初20分ほどはストーリーに没入できなかった。CG多用で全編PreVizされていたとはいえ,やはり実写版だからこそSWシリーズは楽しかったのかと再認識した。

 
   
 
 
   
 
 
 

写真1 お馴染のジェダイ・マスターもこんな風に表現
(上:ヨーダ,下左:オビ=ワン・ケノービ)
(C) Lucasfilm Ltd. & TM.All Rights Reserved.

 
   
   この落胆から救ってくれたのは,日本人声優の絶妙の吹替えである。偶然日本語吹替版を観たのだが,これが怪我の功名だった。英語版の声の出演者には,ジェダイ評議会議長のメイス・ウィンドウ,ドゥークー伯爵,C-3POに,実写版と同じサミュエル・L・ジャクソン,クリストファー・リー,アンソニー・ダニエルズを起用しているのだが,オビ=ワン・ケノービ,アナキン・スカイウォーカー,パドメ・アミダラといった主演級には,本物のユアン・マクレガー,ヘイデン・クリステンセン,ナタリー・ポートマンを配していない。ところが,日本語吹替版は,森川智之,浪川大輔,坂本真綾といった実写版と同じキャスティングだから,彼らは元を知りつくしているわけだ。森川智之のセリフを聴いているだけで,マンガ顔のオビ=ワン・ケノービが,しっかりユアン・マクレガーのように見えてくるではないか。
 気分が乗ったところで,中盤から後半の盛り上げはさすがだと感じた。各種宇宙船や戦闘機もドロイド戦士たちも,3D幾何モデルは既に存在している。ナブー星の光景もしかりである。ならば,大したコストをかけずに,かなり複雑な戦闘シーンも描けるわけである。世界観や実写シリーズを知らなくても,後半は十分楽しめるだけの見せ場になっている。さすが,ハリウッド映画だ。 
 勿論,主ターゲットは世界中のSWファンである。いつもの登場人物に加えて,「ジャバ・ザ・ハット」や第1作目でタトゥーイン星の酒場で見かけた顔ぶれと再会できるのは嬉しい。ファンにとっては,そう侮れない一作である。『エピソード3』と『エピソード4』の間のTVシリーズも放映予定というから,まだまだルーカス・フィルムのビジネスは続きそうだ。            
 
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  (画像は,O plus E誌掲載分から追加しています)  
   
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