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O plus E誌 2005年7月号掲載
 
 
 
スター・ウォーズ
エピソード3
/シスの復讐』
(20世紀フォックス映画)
 
  (C) Lucasfilm Ltd. & TM
  オフィシャルサイト[日本語][英語]  
 
  [7月9日より日劇1ほか全国東宝洋画系にて公開予定]   2005年5月31日 ナビオTOHOプレックス[完成披露試写会(大阪)]  
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  見事に繋がったエピソード3から4の掛け橋  
 

 本映画時評の定常的連載開始は 1999年9月号からで,その最初の作品が『SWエピソード1』『マトリックス』だった。それから6年,待望の伝説が完結する時がやって来た。5月19日の全米公開で記録的な観客動員を果たしたことは,すぐに世界中のメディアで報じられた。
 そんな中で,今回日本ではマスコミ用試写会はなしと伝わって来て,本号で紹介できないかと危ぶんだ。幸いにも,大阪では 5月末の早朝に試写会があることになった。あの脱線事故以来,以前にも増して運行遅延が目立つJR西日本では,京都の自宅から間に合わないことを恐れた筆者は,大阪・梅田に前泊することにした(さすがに,徹夜で並んだりはしなかったが)。
 翌朝 7時40分,ぎっしり満員の会場では,「最後は面白いんですかね?」と訝る若い(編集者らしき)女性に対して,隣の初老の男性は「これは,ええとか悪いとか,面白いかとかを述べる映画やない!」とたしなめていた。そーや,オッチャン,ええこと言うわ。世界中のSWファンの共通した想いを代弁しているな。隣のネエチャンも大人しく,じっくり観ていて下さいな。
 さぁ,始まった。いつもの音楽に乗って「遠い昔,はるか彼方の銀河系で…」という文字列が宇宙空間へと消えて行く。定番のオープニングだが,いま観ると余りにも単純で稚拙で,これが四半世紀以上前には感激した特殊効果かと今昔の感がある。何やらのったりした宇宙飛行艇の動き…。それが一転,とてもモーションコントロールでは表現し得ない素早い動きに転じる。多数の飛行艇を逆光で照らし出す朝日の描写も, CGならではの美しい光景だ。その後は,質・量ともに圧倒的な空中戦バトルが延々と繰り広げられる(写真1)。いやぁ,凄い。いくら最近はPreViz技術で,事前に徹底的に可視化できるとはいえ,これだけのボリュームは圧巻だ。現在の視覚効果は元々ILMが育て上げた技術であり,そのILMはルーカス・フィルムが本シリーズの特撮のために設けた部門であったのだから,当然と言えば当然だ。

 
   
 
写真2 描き込まれた背景は騒々しく目障り
 
     
 

 ■ 最大の見せ場は,アナキンとオビ=ワンの息詰まる決闘シーンだ(写真 3)。火炎を背景に,実写俳優の合成もしくは CG化したキャラでの対決自体は,今や珍しくもない。このアクションにリアリティがあり,思わずライトセーバーが実在する武器のように感じてしまう。一度完成した技術は何度でも再利用でき,かつ1作毎に進歩していることの証しだ。

 
     
 
写真3 火炎の中でのオビ=ワンとアナキンの凄絶な決闘は,最終作ならでは白眉のシーン
 
     
 

 ■ 完結編とあって新登場のキャラは少ないが,目立ったのはドロイド軍を率いるグリーバス将軍だ(写真 4)。阿修羅のごとく, 6本(8本だったかな?)もある手のそれぞれにライトセーバーを持たれたのでは,敵ながら戦い甲斐がある。動きも滑らかで,これがCGで描かれたキャラであることを忘れて没入してしまう。

 

 

 
 
写真4 新しい悪役キャラはグリーバス将軍
 
     
 

 ■ 描画力の向上で, R2D2が投写するホログラム映像も高精細化されている。R2D2の活躍ぶりもチューバッカの存在感ある出番もファンには嬉しい。前作であっと驚く騎士ぶりを見せてくれたヨーダは,しっかり本作でも偉大なる存在だ(写真5)。ヨーダの衣裳が一段と微妙な動きをするなど,技術的進歩も感じられる。

 
 

 

 
 
 
 
写真5 そして,この人の出番もしっかりと確保
(c)Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.
 
     
 

 ■ ジョン・ウィリアムズの音楽が,アナキンの焦りやこの完結編のエンディングに向けての緊迫感をかき立てる。まるで,ロック・コンサートを導くドラムのビートのようだ。この映画の成功の一因はここにある。
 ■ 『エピソード 1』から6年。抜擢されたユアン・マクレガーとナタリー・ポートマンは,本当に好い役者に成長したなと感じる。この2人の演技が,この完成編をコクのある満足度の高い映画にしたと言える。

 さて,ダース・ベイダーは誕生し,銀河共和国は陥落し,「エピソード 4」に繋がるパズルもすべて埋まった。長いエンドロールが終了して場内が明るくなった時,さっきのオッチャン(雑誌のデスクか, ラジオのパーソナリティか?)は,「あー満足や。上手いこと収めよったなぁ」とつぶやいた。ご同感です。 

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