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O plus E誌 2007年6月号掲載
 
    
 
その他の作品の短評
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
   ■『GOAL!2』:3部作の2作目で,主人公の青年は世界一のクラブチームにスカウトされ,欧州チャンピオンにまで上りつめる。日本でのロケも含め,本物の試合と俳優の演技が巧みに合成され,サッカー・ファンは大満足だろう。ただし,主人公の心の葛藤もあり,第1作目のようなワクワクする展開はない。劇的にゴールに飛び込むボールの大半はCGだろうが,都合が良過ぎると感じる。大団円への繋ぎの作品という印象はぬぐえず,最終作のW杯に期待しよう。
 ■『女帝[エンペラー]』:世界を魅了するチャン・ツィイーの美貌を前面に打ち出した古代中国の宮廷もの。皇帝である兄を暗殺し,王妃も自分のものにした新帝に対して復讐を果たし,やがて女帝になるという凄みのある役だ。中国版「ハムレット」であり,重厚な舞台劇の様式美は日本の歌舞伎風でもある。監督はフォン・シャオガン。チャン・イーモウの『HERO』,チェン・カイコーの『PROMISE』に比べて,豪華絢爛の大作作りが上手い。映像美もカンフー・アクションも堪能できるが,このエンディングは余計だと感じた。
 ■『あるスキャンダルの覚え書き』:今年のアカデミー賞で主演女優賞と助演女優賞にノミネートされた演技派女優2人の共演作品。15歳の教え子と不倫関係に陥った美人教師(C・ブランシェット)と彼女の心を操りたい老教師(J・デンチ)の凄まじい執念を描く。いかにも賞狙いの作品だが,それだけのことはある。ただし,このネタなら邦画でもいい作品を作れるだろう。野際陽子と黒木瞳,倍賞千恵子と小雪,といった組み合わせは面白いだろうなと想像して観てしまった。
 ■『プレステージ』:19世紀のロンドンを舞台に新しいトリックを競い合う2人の奇術師の物語。世界幻想文学大賞受賞作を,『メメント』(01)のクリストファー・ノーラン監督が2大スター(ヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベール)を使って映画化した娯楽大作だけのことはある。時代を感じさせるマジック・ショーの演出もデヴィッド・ボウイ演じる天才科学者の存在も面白い。ただし「映画全体がトリック」と言い過ぎるゆえに,筆者には結末が読めてしまった。ある意味では,フェアプレイであるといえるが……。
 ■『キサラギ』:自殺したアイドルタレント「如月ミキ」のファン5人が1周忌に集まって,自殺の謎を探るという設定だ。ほとんどこの5人だけ,この一室だけで進行するワンシチュエーション劇である。この脚本がとてつもなく面白く,爆笑必至だ。1人オヤジくさい香川照之が実にいい。スタッフも俳優も楽しんで撮影しているのがよく分かる。本来舞台劇向きの題材であるが,そうした機会のない観客に映画化してその雰囲気を味わわせてくれるのも嬉しい。監督は,佐藤祐市。
 ■『ラストラブ』:田村正和14年ぶりの出演映画。いくら万年青年とはいえ,30歳以上も違う伊東美咲が恋人役はないだろうと思ったが,これがなかなか様になっている。韓流ドラマに近い何の変哲もないラブストーリーで,わざわざ映画館で観るほどではない。唯一の救いはNYの美しい風景くらいか。団塊の世代なら,死ぬ時はかくありたいなと感じるだろうが,田村正和並みのダンディさがない普通のオヤジじゃ到底無理だ。
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