|
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(注:本映画時評の評点は,上から,,,の順で,その中間にをつけています。) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
デジタル効果のスケールが人間ドラマを引き立てる | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ストレートな題名から分かるように,『ユナイテッド93』(06年8月号)に続く9.11もので,5年前の同時多発テロの惨状を人間ドラマとして描く。同じUIP配給だが,こちらはユニバーサル作品ではなくパラマウント作品だ。同時期の事実を描きながら,『ユナイテッド93』がまだ早過ぎると非難されるのに対して,この映画は許せるという声が多いのは,瓦礫の下から救出された2人の生存者のことを語っていて救いがあるためだろう。それでいて,この渾身の大作が米国では大きなヒットとなっていないのは,週末に家族連れで映画を楽しむ平均的アメリカ人にとって,まだ振り返りたくない重過ぎるテーマなのだと察することができる。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■ 大別すれば,事件以前にまだWTCのツインタワーが存在するNYの数々の光景,ビルの倒壊やその直後の様子,一昼夜を経た救出後もなお粉塵が舞う町の光景である。約50万枚のデジタル写真を撮ったというが,そこからNYの町を再現しCG製のビルを合成するのも,地上から見上げるWTCとその倒壊も,現在のVFXをもってすれば,特筆するほど困難な作業ではない。 ■ 圧巻は倒壊後の瓦礫の山の表現だ。「グランド・ゼロ」と呼ばれた倒壊地点を表現するのに,200トンの瓦礫に900個の物体を散逸させたセットも組まれたが,写真1のような広大な光景はCGの助けなしでは表現できない。ここからカメラをどんどん引いて写真2に至る過程からも,このシーンがデジタル処理の産物であることが分かるだろう。 ■ もう1つの苦労は通常の煙や砂塵ではない,すさまじい噴煙の表現だ。これには新しい専用のボクセル・レンダラが開発されたという。ただし,写真3の光景などは,じっくり観るとカメラを振らずに2次元合成処理で済ませていることが分かる。噴煙に動きがあるだけに,カメラは固定でも作り物っぽく感じない。 ■ NYでのロケの一方,撮影の大半はLAの大型スタジオ内で行われた。写真4などは,まさに5年前のNYの町を彷彿とさせる光景だ。舞散る書類のCG表現は見事だが,このシーンもまたよく観れば2次元合成だ。 ■ 映画は人間ドラマ中心で,こうしたVFXシーンは期待したほど多くない。個人的には,他の警官や消防士の活躍も描き,ツインタワーの倒壊ももっと派手に描いて欲しかったところだが,観客を刺戟し過ぎないためにはこれくらいが丁度好いのだろう。それでいて,しっかりこれはあの9.11の物語なのだと意識させてくれる,上質のVFXであった。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
() | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
▲ Page Top | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||