|
CG,VFXは予想通りかなり登場する。旧作よりもSF性が高いので不可欠とも言えるし,最近のVFX技術を意識して書かれた新しい原作だとも言える。VFXの主担当は『ローレライ』と同様のマリンポスト社で,その他に10数社の名前が並ぶ。雲,噴火,鳥など,出来不出来の差が激しいのは,日本の実情を考えれば致し方ないが,大きな欠陥はなく健闘している方だろう。
難点を指摘するとすれば,ヘリの激突,城の炎上シーンなどに登場する模型の方だろう。ミニチュアと感じないレベルに仕上げるほどの予算と経験がないと言えようか。カメラももう少しロングに構えて,スケールの大きいシーンを見せて欲しかったところだ。『キングダム・オブ・ヘブン』『サハラ』と比べるのは酷かも知れないが,そのスケール感の差は歴然だろう。
色調も音楽もセリフも素人っぽ過ぎる。相変わらず日本映画の底の浅さが知れるようで残念だが,この映画に限っては,それがそんなにマイナスに出ていない。この稚拙な感じが, SFらしい軽さ,娯楽作品らしい楽しさ,笑いに繋がっている。「ご冗談でしょう…」という感じなのだ。人間ドラマを強調したい『ローレライ』よりも上出来だと言える。マイケル・クライトン原作の『タイムライン』(04年1月号)よりもずっと面白いことも確実だ。これは脚本が好いからだろう。エキストラ総数5,500人,馬500頭を動員したこの娯楽活劇は,合格点をつけていい成功作品の部類に入るだろう。 |
|