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O plus E誌 1999年12月号掲載
 
 
『ジークフリート&ロイ』
( Lスクウェア・プロダクション他製作
/IMAX社配給)
 
       
      (1999/10/26 NY SONY IMAXシアター)  
         
     
   人気マジシャン・コンビ「ジークフリート&ロイ」の伝記と彼らの舞台を描いたIMAX 3D映画の最新作で,99年10月から東京アイマックス・シアター他,世界各地で上映されている。
 彼らのマジック・ショーは,ラスベガスNo. 1のアトラクションで,他よりもかなり高目の価格設定なのに,チケットはいつもすぐ売り切れてしまう。筆者は95年,96年,98年とラスベガスに行くたびに見る機会を得たが(写 真2),いつ見ても何度見てもこの大仕掛けなマジックには飽きがこない。良い席はホテル宿泊先が優先されるので,98年には彼らのショーが常設されているミラージュ・ホテルに泊まったほどである。
 
 
写真2 ジークフリート&ロイの ショーチケット[途中トイレにいった時,再入場用にホワイトタイガーのシールを貼ってくれた (一番下)]
 
 ジークフリートとロイの2人のドイツ人少年がマジシャンを志す青春記と,彼らの華麗な舞台の大画面 で忠実な再現が,バランスよく1つの作品の中にちりばめられている。それをつなぐCGによるガイド部分も,紙芝居風あるいはサーカス調タッチでなかなか味がある。3D映画というと,とかく視差を強調した演出が多いが,この作品はそれが目立たない。時折,彼らのショーのシンボルであるホワイト・タイガーやホワイト・ライオンが迫ってくるのが効果 的だが,嫌味はなく目も疲れない。
 テレビで見る「世界のマジック・ショー」は,迫力はイマイチなのが欠点だが,さすがにIMAXの大画面 ,しかも3Dとなると舞台の華やかさが伝わってくる。マジシャン仲間でも好評らしい。撮影は,正面 からだけでなく,舞台の袖から,ジークフリートの後ろからと多彩である。
 ここまで迫ってタネはバレないかとついつい考えてしまうが,もちろん都合の悪いアングルから撮っている訳はない。見事なマジックは素直に感動すれば良いのであって,いちいちタネを見つけ出そうというのは野暮の極みである。と思いつつも,3Dならどこかに矛盾は発見できないかと目を凝らして見てしまうのが凡夫の浅ましさである。
 CG部分はいうまでもなく,伝記部分の映像も見事にピントが合っているが,舞台の部分はややソフトフォーカスでエッジもやや白く見えていた。これは単に光量 のせいなのだろうが,ミラーやレンズを使ったタネのためではないかと疑ってはみたくなる。残念ながら,そんな浅薄な発想で見破れる訳はなかった。
 古典的なマジックはともかく,彼らのような超一流で大仕掛けなものには,もはやハーフミラーのような単純なトリックは使っていない。たとえ,幾何光学系が関与していたとしても,3Dの視差再現には矛盾がないはずである。
 そんなことを考えながら見ているのは職業柄筆者くらいかもしれない。これは,もっと素直に楽しめる作品で,IMAX 3D映画の中では間違いなく秀作の部類に入るだろう。実の舞台の素晴らしさにはかなわないまでも,「ジークフリート&ロイ」の魅力は十分伝わってくると思う。ついでながら,オフィシャルサイト(http://www.siegfriedandroy.com) もかなり凝った素晴らしい出来映えである。
 上記2本のIMAX3D作品のそれぞれの前に,ディズニーの『ファンタジア2000』予告編が流れた。2D作品であるが,一瞬息を飲む美しさと迫力だった。『ファンタジア』は1940年の作品であるが,そのコンセプトを今度はIMAXで表現しようという発想だけで魅力的である。2000年1月1日世界一斉公開されるが,IMAXファン,ディズニーファン必見と予想しておこう。
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